この3日連続、沖縄タイムスの1面(一部)に那覇市長選を巡る事が報じられている。2022年10月23日に行われる那覇市長選は、保守・オール沖縄共に候補者が絞られ、8月25日から始まる沖縄県知事選と同時に動き出すだろう。
候補者は保守が知念覚氏(副市長・58)、オール沖縄が翁長雄治氏(県議・35)だ。翁長雄治(たけはる)氏は、翁長雄志元県知事の次男。元県知事は2000年-2014年まで那覇市長を務めていた。2014年4月から11月まで副市長を務めていたのが、今の市長城間幹子氏だ。
この歴史の中に沖縄の保守政治家、翁長雄志氏の新基地建設反対への転換があり、「沖縄アイデンティティー」を掲げた保革共闘により2014年の県知事選で沖縄県民は翁長雄志知事を誕生させたのだ。2018年の県知事選は翁長知事の病死により早まり、元知事の意向により玉城デニー氏が候補者となり、玉城デニー知事が誕生したのだった。
だが自民党(中央政府)も黙っていなかった。沖縄自民党に活を入れ、隷下に組み込んできたのだった。
城間幹子那覇市長が後継に押したのは(明示ではないが)副市長である知念覚氏である(その時点では翁長雄治氏の名前が挙がっていなかった)。これから城間幹子氏がどう判断するのか不明だが、現在の県知事選は玉城デニー氏を推し、9月12日から10月23日までどうでるかが、注目される。いずれにしてもオール沖縄をつくってきた歴史が一部経済界の離反から、さらに政治家の構成まで、沖縄アイデンティティーが脱色されかねない。
私は新基地建設反対を鮮明にしている翁長雄治氏を推す。しかし事は、市長選の結果ばかりか、今後の沖縄の命運を決して行く翁長雄治氏の、政治力が問われていることは言うまでもない。しかし彼はまだ35歳であり、那覇市議、沖縄県議をそれぞれ1期(それぞれ任期半ばで退任)という経験不足は否めない。今は父親が経験しなかった時代であり、焦らず、着実に沖縄アイデンティティーを育んでいただきたい。
本日の沖縄タイムスの記事に、翁長雄治氏へのインタビューがでている。彼は14年、18年の知事選、19年の県民投票を踏まえながらも、「県民が託した票を根源に頑張っていくべきものと考える」と答えている。また「オール沖縄を継続させるかどうか期待して形にしていくのは市民県民だと思う。(オール沖縄は)大きな変質はないのではないか」とも。
政治をつくっていくのは主権者である有権者であるが、これをとことん壊しているのが自公の政治。また国政野党もまったく抗し切れていないのが現実だ。沖縄では、有権者と政治家が足並みを揃えても、中央政治が踏み潰してくる。これにどう対抗していくかが問われている。
那覇市は人口31万人を抱える沖縄最大の都市だ。沖縄県民の5分の1を超えている。この数は沖縄県政を揺るがすと共に、那覇市に那覇空港や那覇新港と行った県外・国外との交通網のパイプが置かれている。また自衛隊の最大拠点が那覇空港の脇にある。それだけ国の圧力が強いところであり、那覇市政も県との連携を強め、国からの圧力に抗していく政治が求められている。そうでなければ、戦争への道を止められない。最大限の被害を受けるのは、嘉手納基地・普天間基地周辺と那覇空港周辺となるだろう。沖縄経済の確立のためにも那覇市の軍事化に歯止めをかけていきたいものだ。