毎日が山のこと

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宝永山(2021年8月28日)

2021-09-01 09:01:55 | 山日記

コロナ禍もふくめ、いろいろな事情で5月2日以来山歩きができないできた。

なんとか出かけられそうになったので、行き先に悩んだ末、富士山の宝永山、いや正確には宝永火口の縁の出っ張りに登って、下まで歩いてくだるという計画にした。

宝永山は2693mだが、火口底から登った最高点馬ノ背は2700mを少しこえる。ここまで登れば、酷暑の今でも涼しいだろうという判断だ。

 

久しぶりの東名高速をはしって、水ヶ塚の駐車場には7時少し前についた。快晴だ。

 

駐車場からは五合目までのシャトルバスを利用するが、まずは行列に並んで検温を受け、ふたたび列に並んで乗車券を購入する。

7時のあとに7時15分に次のバスが出発したが、まだ乗れない。結局7時30分のバスに乗車できた。補助席までびっしりだ。

 

 

40分あまりで五合目に到着。南アルプスの南の端が見えている。

 

同じ五合目でも吉田口とは大違い。はではでしい観光施設らしい建物はほとんど見られない。

 

バスに乗った登山客のほとんどは富士山をめざす人だ。新六合目までいっしょに登る。

 

 

快晴だけど下界ではすでに雲がわきはじめて、愛鷹山の越前岳にまとわりつきはじめている。

 

黒っぽい火山礫(スコリア)の斜面にタデの仲間が点々と生えていて、朝日をあびてかがやいている。

 

 

歩きやすい登山道を25分あまり歩いて、8時39分、新六合目の雲海荘に到着。

 

富士山をめざす人たちはここから上にあがっていくが、私は水平道にはいって宝永山をめざす。

 

振り返ると雲海荘のうえに半月が青空のなかに浮かんでいた。

 

水平だと楽ちんだ。

 

10分ほどで宝永山の第一火口縁に到着。

 

宝永火口は、そばに立つとやはり大きい。このすり鉢の中の土砂が、溶岩と共に空高く吹き上げられ、富士の東斜面から御殿場一体をおおいつくした。火山灰は遠く江戸まで到達した。

その一部が降り積もって宝永山ができた。

 

すぐに火口底にむかってくだったが、足元の砂礫がくずれて歩きにくい。

 

フジアザミ。ここ一ヶ所でしか見かけなかった。もう時期は終わりの感じだ。

 

 

下に降りてみると、斜面のたんなる盛り上がりにすぎない宝永山が、思いのほか大きく立ちふさがってくる。

 

火口壁の上部は絶壁になっていて落石も多いようだ。

 

10分足らずで火口底に到着。黒っぽいスコリアに混じって赤レンガみたいな石がある。

 

いよいよ宝永山目指して火口壁を登る。

 

火口の底が2420m、登りきった火口縁馬の背が2710m。標高差290mだ。

 

道はジグザグに登っているが、足元の砂礫がぐずぐずとくずれて歩きづらい。

 

 

降ってくる人の足元からは砂埃がまいたっている。

 

 

9時58分、ようやく馬の背まで登りきった。ここが今日の最高点。

尾根の先端である宝永山はここより少し低くなってしまう。

 

 

東側は広大な砂礫の斜面になっていて、御殿場口登山道の大砂走りという下山用の道があり、数人が歩いていた。

最高点から5分あまりで宝永山の標識に到着した。まだ山頂もくっきり見えている

 

日差しは強いが、下着のうえにTシャツ一枚でちょうどいい。

 

宝永火口の上には、砂走館らしい山小屋が見えている。そのあたりで3000mを少しこえるはずだ。

今日登っている人はほんとうに天気にめぐまれたと思う。

 

しかし、下界は雲海が広がり始め、わきたった雲がかけあがってくる。

足元の愛鷹山はすでに雲の中。遠く箱根らしい山が見えている。

 

 

雲の切れ間から見えた箱根らしい山を望遠で写してみた。

 

西を見ると斜面の向こうに南アルプス南部が見えている。聖岳かな?

 

展望を満喫して水分を補給し、ふたたび火口底にくだり、その後は第2火口、第3火口の縁をだどりながら、水ヶ塚へとくだる。

昼食は、第2火口縁あたりで取ろうと思う。

 

砂礫の道は、下りは比較的歩きやすい。

 

上りには一時間近くかかったのに、砂埃をたてながらくだって、火口底には15分ほどでついた。

 

第2火口をのぞこうとしたら、岩に鳥がとまっていた。イワヒバリのようだ。まだ若い鳥のようでそばによっても逃げようとしない。

 

第2火口は第1火口よりひとまわり小さい。

 

宝永山の南はずれにある崖。この部分だけスコリアがなくて赤っぽい堆積物が露出している。

 

 

日当たりのよい南斜面なので吉田口よりは森林限界が高い。2400mを下回るとカラマツが広がっていた。

 

第2火口縁から宝永火口を振り返る。ここでは火口の内部にもカラマツが進出している。

 

 

第2火口の縁の2352mピーク。ここで昼食休憩だ。

 

第2火口の底。少し雲が流れてきている。

 

2352m地点から道は2つにわかれていて、片方は第3火口の東側へとまわりこんでいく。

私の持っている登山地図にはこの東まわりルートしか書いていないが、現在は火口の西縁沿いにまっすぐくだる道もある。私はそちらを進んだ。すぐにカラマツ林に入っていった。

 

第2火口縁にいて気がついたのだが、私が予想していたより多くの人がこのルートを登ってくる。

私は下山道としてしか考えていなかったが、水ヶ塚から歩いて登ってくる人がぽつぽつだがいるのだ。

 

落葉松のほかにコメツガらしい木も混じっている。

 

林に入ると風があたらなくなって少し暑く感じたが、少し雲が広がってくれたので助かった。

 

15分程下ると標識があった。3合目だ。御殿庭という案内標識がある。

地図を確認すると2352mの分岐で東に進めば御殿庭上を経由してここに出られる。それがもとからの登山ルートらしい。

御殿庭。なんだか景色のよさそうな名前なので、そっちへ進めばよかったかなと思った。

 

少し下ると「村山修験者富士山修行場跡」という標識がたっていた。

修行したのはいつごろの話なのか私にはわからない。

 

次第に傾斜がゆるくなってきて、そろそろ二合五勺かなと思われる頃、私の10mほど前をシカが横切った。

カメラは手に持っていたのだが、構えるひまもなく林の中に姿を消してしまった。

 

しかし、そこで最近読んだ本に、自然の動物は人間を恐るけど、一方で興味をもって人間を見てもいるものだ、と書いてあったことを思い出し、カメラを構えてシカが姿を消した林の中をじっくりと覗いてみた。

いました。木の枝に姿を隠しながらも、顔をのぞかして私をじっと見ていた。

目があって、カメラをむけても逃げなかった。

 

そこからすぐに二合五勺に到着。左に曲がれば途中で火口の東縁をとおる道と合流し、御殿場口へとむかう。

 

数分すすむとまた分岐となる。私が向かう水ヶ塚への道とガラン沢をくだってスカイライン入口にむかう道にわかれる。

水ヶ塚へは左にすすむ。

倒木が増えてシラカバかダケカンバらしい木がまじってきた

 

木漏れ日が地上に届くらしくて花が姿を見せ始めた。

 

 

火山噴出物でおおわれている地面は、水流でえぐられたところからは黒っぽい砂礫が顔をだしていた。

 

二合目から一合五勺にかけては樹木の密度がさがって、明るく見通しがよい。

 

水流がつくった窪地には火山性の砂礫がたまり、人の足跡がたくさんついていた。

 

道が林道ほどの幅に広がって東へと向きを変えた。もう水ヶ塚も近い。

 

13時25分、無事に水ヶ塚に到着。

ほんとうに久しぶりの山歩き。

標高差1400mを歩いてくだったがそれほど疲れなかった、とその時は思っていたが、翌日から3日間、足の筋肉痛が取れなかった。

 

 

コメント
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