これは21年前の12月なので季節外れなのだが、前回のと同じ岩山つながりということで投稿する。
西上州には岩山が多いが、その中でもひときわ立派な岩峰が毛無岩だ。
その姿は、堂々としたバットレスをめぐらして、ヨセミテのエルキャピタンを思わせる。
といってもヨセミテ行ったことないけど・・・
もちろん実際のスケールでは比較にならいないだろうが、写真だけならどうだ。
ヨーロッパの古城のような風格があると思うのだがいかがだろうか。
毛無岩があるのは、荒船山の南東。荒船山の最高点、行塚山から黒滝山へと東へ伸びる稜線の上。
荒船山の北東端の岩場に行けば稜線上に飛び出した姿を見ることができる。
この毛無岩に、南の道場から沢ルートで登り、尾根ルートでくだった。21年前の12月だった。
自宅を5時ごろにでて、7時すぎ下仁田にむかう途中、鹿岳、四ッ又山などに朝日があたりはじめた。
星尾集落付近から朝日をあびた西上州の名峰、立岩を望む。
こちらは毛無岩の西にあるイデミ岩を従えた1245m峰と思われる。
登山口の道場へとむかうが、途中からは目的の毛無岩を眺めることはできない。
7時50分ころ登山口の少し手前の道が広がったところで路肩に駐車した。
少し歩くと赤い鳥居の山神社があった。ここから急な舗装の道を少し歩いていくと毛無岩登山口の標識があった。
道の脇は斜面を開いた畑が広がり、地面は霜で白くなっていた。
先ほどの岩峰を正面に眺めながら沢へと入っていく。
赤テープを目印に沢を右岸、左岸へと渡り返して進んでいく。
最初に目についたこの滝まで車をとめたところから25分くらい。
沢道なので日が差し込まない。木々の間から日の光をあびた岩峰が見える。
最近のガイドブックには途中にトタンづくりの造林小屋があると書いてある。
残念ながら私は写真を撮らなかったので記憶に残っていない。
もっぱら枝のシルエット越しにみえる輝く岩壁を眺めていた。
沢の詰めに近づくと道がはっきりしてきた。
この滝まで、先ほどの滝から30分弱だ。
滝から50分、急登を登りきるとそこが相沢越。相沢というのは道場とは反対の稜線の北にある集落だ。
昔はこの道もちゃんと使われていたのだろう。
峠に並べられていた丸太に腰をおろして小休止。
稜線を東へと歩きはじめるといよいよ目的の毛無岩が姿をあらわした。
急峻な南壁にたいして北側は急ではあるものの木々におおわれていて少し緊張をやわらげてくれる。
ルートは、樹林帯と岩場の境をなすリッジを木の根につかまりながらよじ登る。
振り返るとはるか西に荒船山のテーブルが見えた。
右端の断崖の上が艫岩あたりだろう。
夢中だったので登り始めの写真を撮り忘れた。
いよいよ毛無岩の頂上目前。右側の絶壁の高度感がすごくて背筋がぞわぞわしていたことを思い出す。
山頂には10時25分に到着。道場を出発しておよそ3時間だ。
見下ろした谷が私が登ってきた沢ルートだ。
はるか下に見えていて見下ろすのが怖かった。
これはどのあたりを撮ったものだろうか。たぶん南東方向だろう。
こちらはお隣にある立岩。こちらも周囲を垂直の岩で守られているが、割としっかりしたルートがあるので安全に登れる。
カメラを標識において記念撮影。
下りは反対の東へとくだる。
下をのぞき込むと・・・(冷や汗)
南側の岩の切れ目から立岩を望む。
こちらは北側の展望。谷間にダム湖の荒船湖が見えていた。
毛無岩の岩壁の下を迂回してくる登山道に合流。
ここから少し荒船山方向にもどったところから道場へくだる尾根道にはいった。
しばらく見通しの悪い樹林の中の尾根道を下る。
なんとか近くから毛無岩を見上げてみたいと見えそうな地点を探しながらくだって、11時50分、ようやく少し藪漕ぎをして見えるところに出ることができた。
でもまだ木が邪魔をしていてすっきりとは見えない。
すぐ目の前には毛無岩の岩壁の下につづく岩尾根がみえた。
さらに15分ほどくだると今度は全体が見渡せる地点があった。
ここがガイドブックに書いてある第2展望台らしい。
いやいやさすがに立派な岩だ。
難攻不落の城を思わせる。
その先の尾根道もかなり荒れていて倒木がたくさんころがっていた。
南へ南へと下っていた尾根が先端部で東へと曲がると急斜面をくだり、沢へと下りていく。
午後1時5分、沢にでた。目印に岩が積んであった。
荒れた沢筋を少しくだる。
ようやく山道に出ることができた。
沢に出て20分ほどで道場の集落に帰ることができた。
出発の時の山神社の前で無事帰還の記念撮影。
岩組の美しい道場の集落。
13時30分車に到着。
ルートファインディングあり、リッジ登りあり、一部藪漕ぎありの楽しい一日だった。
帰りは車を立岩の下までまわしてその姿を写真におさめて帰路についた。
割と名の知られた西上州の立岩は車で近くまでいって見られるから。
でも今日登った毛無岩は残念ながら車で近づいてもみることはできない。
ここに知名度での差があるのだろう。
道路からはなかなか見えないが、南にある大屋山の山頂西側の岩場からは見える。
それがこの写真。ちょっと角度が横になってしまう。
正面から見るなら立岩がいいのだろうけど、私が登った時の写真が見つからない。
藪で毛無岩の方は見えなかったかもしれない。時間があればまた立岩に登って確かめてみたいものだ。
20年以上たっているが、このコースはたぶん今もほとんど変わっていないと思う。