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「おふくろの味」幻想~誰が郷愁の味をつくったのか

2023-03-22 05:19:31 | メンタルヘルス
湯澤 規子著 光文社刊 2023年初版 280P 1034円
雑誌の書評から拾った本だが 買う前に図書館で ヒットしたので借りてきた本。新書なので集中すれば1日で読める。さて漠然としたおふくろの味なのだけれど 料理寄りに書かれた本か?と言えばそうではない。読みはじめて ありゃ?と思ったので著者略歴をみたら 1974年大阪生まれの法政大学人間環境学部教授。筑波大学大学院歴史・人類学研究科単位取得満期退学。博士(文学)。専門は歴史地理学、農村社会学、地域経済学。なので 本書は個人の事情や嗜好というよりもむしろ、社会や時代との関連から解き明かしていく・・という社会学の本だが 結構面白い。著者も後ろの方に書いてるが おふくろの味という現代史。これが言われ始めたのが 昭和の後期で amazonのレビューに 「おふくろの味」という言葉は1957年の扇谷正造によるコピーライティングで、高度成長期に料理研究家とりわけ料理本の編集者や特産品開発者がのっかって、時代の流れを捉え、キャッチ―なコピーを作って、男性女性それぞれに響く方法で訴え、商品化して大きな流行を作った流れは見事なマーケティング戦略だったのだと思わせる本・・てのがあって 鋭いな・と思う。まあ それは置いといても あの時代の流れの中にいたあたしには ほう そうだったのか・・と面白く読めた。若いころから自分が食べたいものは自分で作って彼女なり嫁さんなりに これどうよ?とやってきたので男子でも料理ができなきゃ生きていけんよ?と言いたいところだが 昨今料理が既製品にシフトしていくのを見てるといまいましい。昨今の料理雑誌を見てるといかに簡単に安く目新しく・・ばかりが強調されてるように見えるが 食の多様化もいいんだけど まずはベーシックなものをちゃんと学んでないと応用だけ学んでも意味が無いかと。素材を見極める・・て高い素材を使えばいいわけではなく 旬の地元の安い食材をうまく使って素材を生かす調理が大事だと思う。東京にいると素材の季節感てあんまりないのだけど 京都にいるとスーパーの店先でもちゃんと旬の素材が出てくるし お豆腐もびっくりするぐらい美味しいので やっぱり京都というか関西はいいな・・と関西人のあたしは思う。東京は目新しいんだけどね。余談だけど本書の181Pに出てたのだけど 2020年の夏にSNS上でポテサラ論争てあったらしい。買い物をする若い母親に向かって見ず知らずの高齢男性が 母親ならポテサラぐらい作ったらどうだ・・と言って去って行った・・という事件らしいが あたしから見ればポテサラって結構手間がかかるし安い料理ではないんですが・・と言いたい。じゃがいも茹でて皮むいて マッシュして 玉ねぎもきゅうりもひと手間いるし人参はさっと湯がかないといけない。そこまでが手間がいるので少量だとお店で・・てなるのはよくわかる。食卓に座れば そこにちょこんとある何気ない料理だけど料理をしない男子にはあの手間がどれだけ圧力になるかわからないのだろう。
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