アップルゼラニウム
実は先週くらいはもっと花があったのですが、ひと段落して、花がらを摘んだところです。
もう少しするとまた咲くと思います。

アップルゼラニウム
実は先週くらいはもっと花があったのですが、ひと段落して、花がらを摘んだところです。
もう少しするとまた咲くと思います。
薔薇の季節になりました。近所の丹精されているお庭の薔薇が今年も開き始めました。
こちらは去年もアップした記憶があります。花がハート形です。
こちらは花の形がちょっと違います。剣弁高芯咲き、でしょうか。
そしてこちらは初めて見る色合い。
平咲きで、シャクヤクのようなポピーのような感じのする薔薇。
毎年楽しませて頂いております。感謝致します。
さて、先日の虫下しの薬の話しを書いていて、久しぶりに生物のエネルギー単位、ATPのことを改めて考えました。ATPはアデノシン三リン酸のこと。アデニンがリボース(糖の一種)と結合したアデノシンにリン酸基が3つついたものです。アデノシン自体は割合ありふれた物質なんですが、リン酸基が3つあるのはとても不安定。エネルギーレベルが高く、容易にリン酸基を手放してエネルギーを放出する性質があります。
生化学実験ではエネルギー源として加えてやらなくてはならない反応が結構ありますが、分注してマイナス80℃に保管してあったATPが分解してしまっていて実験失敗、なんて言うのはありがちなことです。
このATPをどうやって作るか、が生物学の定義する「呼吸」であり、私たちが摂取した炭水化物がこのATPを作ることに効率よく利用されることが重要です。
大きく3種類ありますが、普通の細胞では主に使われているのがクエン酸回路。その他に解糖系、電子伝達系があるのですが、がん細胞はなぜか解糖系を使う。例の寄生虫は専ら解糖系を使っているので、宿主(人間や動物)に害のない虫下しとして解糖系の酵素阻害剤が使われます。
連休中に出た週刊現代の記事、元ネタは英大衆紙『サン』誌の4月27日の記事
CANCER MIRACLE Granddad claims DOG medicine got rid of his ‘head-to-toe’ cancer after docs gave him three months to live
(がんの奇跡 おじいちゃんは犬用の薬で身体中にあったがんを取り除いた。3ヶ月前、彼は3ヶ月の命と告げられたのに。)
しかし、もう少し調べてみますと実はかなり前からフェンベンダゾールにはがん治療に使える可能性があると分かっていたようです。
この記事は2009年の慶応義塾大学の記事です。
「虫下し薬が「がん」に効く? メタボローム解析でがんが回虫と同じ代謝を使うことを示唆 」
フェンベンダゾールは、動物の消化管などに寄生する回虫などの寄生虫に対する治療薬です。どうやって寄生虫を退治するのでしょうか?
普通のほ乳類動物はクエン酸回路という代謝経路を使って酸素を用いてATP(細胞が細胞内の遺伝子複製や物質合成、タンパク質合成などに使うエネルギーの元)を作り出しています。
面白いのはあらゆる生物が細胞内でのエネルギーの元としてATPを使っていること。小型の電池のようなものです。
寄生虫も小さいながら多細胞生物で、それらの細胞内でも遺伝子複製やらタンパク質合成、物質合成をしています。そして、使えるエネルギーの元はやはりATP。しかし、それを造り出す代謝経路はほ乳類細胞と異なっています。寄生虫には特徴的なATP産生経路があって、酸素を用いない酵素反応経路を用います。
この酵素反応を選択的に阻害するのがフェンベンダゾールです。それゆえ動物に害のない、駆虫薬として用いられているのです。
ところで、がん細胞は特殊な代謝をしています。このがん細胞の特殊な代謝経路については、すでに1955年オットー・ワールブルグ(ドイツ人生化学者、1931年黄色酵素に関する業績でノーベル生理学・医学賞受賞)が指摘していました。
好気的条件下でも腫瘍細胞は解糖系に偏った代謝を行っていることを明らかにし、『ワールブルグ効果』と呼ばれています。この原理は現在ポジトロン断層法(PET)に応用され、身体の深部にあるがん細胞を外から非侵襲的に調べる機械に応用されています。
ところで、hiさんのご質問についてですが、
「話題の駆虫剤は 腸からは ほとんど吸収されないとのこと。」
フェンベンダゾールのWikipediaにはそう記述がありますが、プロベンズイミダゾール(体内でベンズイミダゾールに変換)である、フェバンテルですとこちらに記載があるように、経口でも吸収されるようです。
少し探しましたが、フェンベンダゾールの吸収のデータが見つけられませんでした。フェバンテルのデータを見る限り、経口摂取してもきちんとフェンベンダゾールの血中濃度が上がるようです。
したがって、おそらく最初の記事の方がフェバンテルを服用された場合、血流、およびリンパ液内の薬剤が身体中の腫瘍細胞に届いたのではないか、と思います。
臨床の先生方には頑張って頂きたいと思います。
この30年くらいの世界の変化はすごい。
その中で日本も変わっている。
こんな変化は もしかすると 今までもあったのかもしれない。
世界は いつもこんなふうに 変化していたのかもしれない。
私が もっと変化は緩やかだと 思い込んでいただけかもしれない。
あるいは 私の老化のせいかもしれない。
自分の変化が遅くなって、周りの変化が速く見えるのかもしれない。
あるいは長く生きてきたので、
子どもの頃の世界を憶い出すと その世界との違いが大き過ぎて
目眩がするようになったから かもしれない。
どっちにしても 年を取ったということか。。。
* 写真は地下鉄『表参道駅』の出口のひとつ。ビルとビルの隙き間に出てきます。