無知の知

ほたるぶくろの日記

秋らしい日曜日

2024-09-30 07:25:36 | 日記
昨日は小雨が降ったり止んだりだったけど涼しくて助かった。
用事があって、朝からでかけていました。

昼は久しぶりに外で。



ここのビステッカは美味しい。
久しぶりです。



その後東京都美術館へ。
田中一村展 を予約してありました。

千葉寺時代の『秋色』。繊細さと配色の妙。
あの頃にその後の奄美時代に完成を見る絵の萌芽があったような。

昨年逝った父が好きな画家だった。
私も大変好みの画。
もうすぐ一周忌なのですけど、供養になったかな。








更年期の話 5

2024-09-25 21:49:58 | 生命科学
ようやくエストロゲンの話に辿り着きました。

医科学や生命科学は関係項目が多いうえ、どれも軽視できない程度に関わっているため、ざっくり説明するのが難しいです。

あまりに脇の関係性を端折ると誤解を生じたりします。
それが逆に健康障害を引き起こしたり、変な民間療法を生んだりしますので、気をつけています。
(まわりくどくてすいません。。ということです)

題名を更年期に変えました。

2)エストロゲン量の激減

これまでにも書いたように、エストロゲン激減による身体への影響の全貌はまだ未知の部分が多いです。
身体中全ての細胞がレセプターを発現しており、多種多様な代謝経路に関係することがわかっているためです。

ここではなるべく今わかっていることを、更年期障害の症状を上げつつどう対処するか考察します。

(1)関節痛、喉の違和感、ドライアイ、ドライマウスなど外分泌腺からの分泌液の減少に関わること
(2)骨粗鬆症など骨代謝に関わること
(3)自律神経失調による症状(ホットフラッシュ、発汗、動悸、高血圧、睡眠障害、、、)および精神心理的動揺
(4)脱毛など毛嚢(のう)の代謝に関わること




(1)関節痛、喉の違和感、ドライアイ、ドライマウスなど外分泌腺からの分泌液の減少に関わること

これはまず最初に気づく更年期の症状でもあるので、第一にあげました。
気づいてすぐにうまく対処しませんと、やがて大きな障害になります。
関節などは放っておくと変形してしまいます。

手指の関節はのちのちへパーデン結節、ブシャール結節などともいう指の第一関節、第二関節の腫れ、変形につながります。

痛みを感じるようになったら、まずは水分代謝に気をつけることかと思います。
関節へ負担をかけないよう、そっと手を使ってあげることも必要です。

道具を使うとか。
関節に対して垂直な力を加える動きはなるべくやめる、とか。
(雑巾絞りはそっとする)

利尿性のある飲料(カフェインを含むモノ)、アルコール、はなるべく控えて、純粋な水を摂ることでしょう。
対処は地味ですが、これが良いようです。

自然なことなので、身体が新しい状況に馴染むまで ”ほんの少し” いつもと違うことをする、くらいが良いのかな、と思います。

確かに身体中の"外分泌"が悪くなる、という症状なのですが、”外分泌”という機能を促進する薬剤など使わず、身体の中の水を動かす、という漢方(中医学)の考え方で対処する方が更年期には向いているように思います。

症状はあるが疾患ではないためです。

喉の違和感が強ければ漢方を試すのもありかもしれません。
ともかく、身体が変わってきているんだ、と強く認識して、摂取するものを変えていく必要があります。


(2)骨粗鬆症など骨代謝に関わること

更年期障害で静かに進行する一番怖い症状、と私は考えています。
足や脊椎の突然の骨折はほとんど命取りになります。

エストロゲンの低下がカルシウム代謝にどういう機序で影響を及ぼすのかはよくわかっていません。

ともかく更年期以降の女性は著しく骨密度が低下する、という事実はわかっています。

予防は何か、といえば適度な運動です。骨は「ある程度の」負荷がかかって初めて充実します。宇宙飛行を終えた方達は男性でもかなり骨がスカスカになっているようです。
縦になって骨に重力をかけること、歩くことです。
かかと落としも有効と聞きます。
ただし、負荷のかけ過ぎは禁物です。塩梅が難しいですね。

また、筋トレなどもありかもしれません。筋肉が骨格、関節を守ってくれます。

たまには骨密度を測ってみるのも良いのではないでしょうか。レディースクリニックでの検診などで紹介してくれるはずです。

干し椎茸に代表されるビタミンD摂取にも気をつける必要があるでしょう。
カルシウム代謝のためです。カルシウム源の食品も摂って。


(3)自律神経失調による症状(ホットフラッシュ、発汗、動悸、高血圧、睡眠障害、、、)および精神心理的動揺

エストロゲンレセプターは神経系の細胞にもあります。

いわゆる「不定愁訴」もこの変化によるものです。
自律神経系が乱れるのです。
体温調節など、普段は淡々と進む自律神経系の仕事がうまくいかなくなるようです。

どうすることもできないので「ああ、自律神経系が混乱してるんだなあ」で済ませるしかないと思います。
それで済まない方もいらっしゃると思いますが、軽い安定剤などで乗り越えていただくのが良いと思います。

一時的なもので、身体はなんとか通常状態に戻ろうとしていますから、それを信じてじっと待つのがお得です。

私は音に過敏になり、血圧がかなり上がりました。慌てて内科を受診し、カルシウム拮抗剤を処方してもらい、今は落ち着いています。


(4)脱毛など毛嚢(のう)の代謝に関わること

これは見た目の問題で、命に別状はないのですが、心理的な問題にも直結しますから、やはり大事でしょう。

頭髪の薄毛に悩む方は多いかと思います。
カツラをご用意いただくのがベストかと。頭皮を守るためにも重要です。
帽子よりもいいのでは。
今は良いものが出回っています。



以上、一応更年期障害に挙げられている主症状は網羅したかと思います。


ホルモン補充療法なども提案されているHPを見ますが、それは最終手段かと思います。精神心理的な症状が強い時は選択肢に入るでしょう。
ただ、無闇に補充しますと、身体の調整能力を邪魔することになります。塩梅が大事だと思います。

どの症状もちょっと気になったら何かしらの対処をしておくのが良いと思います。
放っておくと悪化してQOLを下げますから。

大きなホルモンバランスの変化を乗り越えつつ、なんとかやっていく、というのが女性の身体なのだと思います。
対処を間違えず、なるべく身体の復元能力を信じ、生活する。
これに尽きるのではないかと思います。

そして具合が悪いのは単なる「気のせい」ではありません。
病気ではないが、放っておくと病気になるバランスの崩れた状態なのですから、きちんと自分の身体を思いやることです。


ご覧になる方の助けになれば幸いです。





更年期の話 4

2024-09-23 10:56:19 | 生命科学
更年期について前回は私の経験を中心に書きました。

もっと一般的に何が起こるのか、少し整理してみたいと思います。

元はといえば卵巣が長らくの機能を終えて衰退し、エストロゲンの産生が激減することです。

それによって起こることは大きく二つあります。
1)血中コレステロール値の上昇
2)エストロゲン量の激減



以下でそれぞれの変化がもたらす、身体の変化を詳述します。

1)血中コレステロール値の上昇
エストロゲン生成に用いられてきたコレステロールが大量に余ることで血中コレステロール値が上がります。
(これを異常値としてコレステロール値を下げる薬とかを処方するのはどうなの?)

閉経後もエストロゲンはアンドロゲンから脂肪組織のアロマターゼ(酵素)によって生産されます。
男性にも女性ホルモンがあるように女性にもアンドロゲン(男性ホルモン)はあって、効果しています。これは副腎皮質が産生しており、量はほとんど増減しません。
ただ、閉経後、おそらくアンドロゲンからのエストロゲン生成の経路が活性化されれば、ややアンドロゲン産生も増えて、コレステロールも消費され、血中 コレステロール値も下がるはずと思います。

コレステロールは肝臓が大量に産生していますが、必要がなくなった、というシグナルが入ればその産生も調整されます。
(食品中のコレステロールは気にしても意味はありません)

この辺りは緩やかに代謝の経路やバランスが調整されていくのだろうな、と想像されます。
ただし、かなり複雑な調整ですからそのつもりでのんびりと待ってあげる必要があるでしょう。
コレステロール値が上がっちゃったー! 
などと大騒ぎする必要もないと思います。
そんなことで薬を飲んだりストレスを感じると調整が一向に進まないでしょう。

問題なのは、年齢からして、社会的にもストレッサーの多い時期で、仕事上のこと、子供のこと、老親のことなどで自分への気遣いを後回しにしがち、ということです。

これをやってしまうと上記の複雑な調整は難航し、エストロゲン低下の影響が長く続き、不調は続き、さらなる健康障害を生むことになります。

コレステロール値(主にLDL)が上がって被害を受けるのは血管。
閉経後に動脈硬化が進む、などの話を聞いたことがあるかと思います。
慌てないで、心身をそっと労ることが重要です。
もちろん高血圧も動脈硬化の一因ですが、それは様々な社会的心理的ストレスのほか、2つめの更年期の要因からも起こります。

つづきます。。


更年期の話 3

2024-09-22 10:59:59 | 生命科学
更年期障害については「・・・などの不定愁訴を主とする云々・・」という説明がなされます。
その行間を読むに「気のせいだよ」という主張が聞こえるようです。

しかし、実はそんなに生やさしいものではない、と思っています。

大概の女性は、それでもいろいろ気をつけて過ごしていますから、
この時期を乗り越え、何と平均寿命87歳超(日本の場合)を生きています。
それなら何の問題もなかろう、と思うでしょうか?

閉経は平均50歳。
その後約40年生きるのです。
その年月を更年期以降の対応不備で不調を抱えたまま生きるのか?
長い人生の約半分を不調なまま過ごすのはちょっともったいない。


エストロゲンの量が激減するとは、産後と同様の変化があると考えて間違いありません。さらに「老化」もあります。

現状の医学では更年期の変化についてあまり良く把握できていません。
すぐに命への影響はありませんし、日本の女性は長生きです。
だから必要性が低いと考えられているように思います。


若冲

私の場合は手指の関節の痛みと喉の違和感が顕著な症状でした。

親指の付け根の痛みや手首の痛みがまずあって、産後の痛みの記憶が蘇ってきて、、、
そういえば、と気がつきました。
これは単なる整形外科系の問題ではなさそうだ、と。
この痛みは不思議と甘酒を飲むと良くなりました。
今もこれがどういう機序なのかは分かりません。
一般的なのかどうかも分かりません。


喉の違和感とは、喉になにか詰まっているような感じがあったのです。
何となく嚥下もスムーズではない。
飲み込む筋肉の問題ではなく、引っかかるのです。

少し調べてみたところ、漢方では更年期障害の代表的症状として『梅核気』と名付けられた症状が定義されており、これに対しては「半夏厚朴湯」が処方されていました。

これが私には即効性があって、良く効きました。
『梅核気』は西洋医学用語では「ヒステリー球」だそうです。
なんだかうんざりする名付けです。
「気のせいだよ」という声がまた聞こえてくるようです。

このとき漢方には女性の不調に対する処方が多くあるのに感心しました。
上記は私が使った処方ですが、そのほかにも様々な処方があります。
心理的な動揺に対しての処方もいくつかあるようです。

さすが5,000年の歴史と思ったことです。

「半夏厚朴湯」は飲んで効き目があったので、かかりつけの内科医に相談したところ、処方せんを出してくれました。
かなり有名な処方のようで、医者もこの処方を知っていました。
喉に違和感がある方は内科で相談するとよいかもしれません。


ところで、この「半夏厚朴湯」の生薬配合を観察しますと、興味深い。
詳細は割愛しますが、どれも水分代謝を制御するものなのです。

水か、、と思っていたのですが、
エストロゲン量の変化による症状で「むくみ」などが挙げられています。
また、ドライマウス、ドライアイ、なども結局液体の分泌がうまくいかない症状です。
喉の違和感も唾液などの分泌のせいかもしれません。

そういえばガマ腫(唾液腺が詰まって唾液が溜まって腫れる)になったこともありました。石でもできたか、と思って、口腔外科の方に超音波で探ってもらったのですが、何もないとのことで「そのうち治りますよ。」で終わりでした。実際その後すぐに治ったのですけど。。。
これも唾液腺の内部で一部液の分泌が悪くなって腺管が詰まってしまったと考えられます。

関節の痛みも関節液の分泌が悪くなっているせい、と考えると理解できます。滑膜から分泌されるものですが、この滑膜にはエストロゲンレセプターが大量にありますから。

なるほどな、と思ったことでした。
漢方の処方は勘所を突いているのでしょう。

半夏厚朴湯は約1年ほど服用し、嚥下の違和感がなくなってきた頃に辞めています。
関節の方へは効果しないのだろうか?
そういえば服用を辞めてから関節の症状が出てきたような。
ではまた服用すれば良いのか?

まだ、確信が持てるに至っていないのですが、再開するかもしれません。

つづきます・・






更年期の話 2

2024-09-18 07:22:17 | 生命科学
前回も書きましたが、私は産後かなりひどい手首の関節痛になりました。

その頃は「産後のエストロゲン低下で関節痛が起こることがある」
などとは知られておらず、
単なる腱鞘炎だと思い、湿布をしたりしていました。

その後、月経周期が戻ってくる頃には治っていたと思います。
忙しい毎日でしたし、どんな経過であったか今となっては正確に思い出せません。


エストロゲンは女性ホルモンの一つですが、男性にも少量あります。
男性の場合は生涯量的な変化はほとんどありません。
精巣で産生されるので、精巣の機能が落ちると量が減ります。
男性でも関節の問題を起こす方を見聞します。


女性の場合はエストロゲンの量が一生を通して「大きく」変化します。

乳児で高く、その後低下し、思春期に上がる。
月経周期でも変化し、排卵準備の一時期に高くなり月経の開始とともに低下する。
妊娠とともに高くなりますが、この変化は数倍どころではなく、3桁、つまり1,000倍を超える方もいます。
妊娠後期のエストロゲン産生は胎盤が主体(通常は卵巣)のため、出産後には急激に低下することになります。
つまりエストロゲン量が1,000分の1に落ちます。

全身の細胞にレセプターがあるホルモンですから、急激に減少して具合が悪くならないほうがおかしい。
そこに持ってきて出血もしています。帝切などの場合、外傷もあります。

さらに、赤ちゃんがいるので、世話も必要。
(これは周りの方が助けられるはず)

普通に考えて、身体が保たない、と思いますよね。
ここのところ、出産を自分のことと関係ないと思っている方達に良く認識していただきたい。
恐るべきライフイベントなのです。
かつて日本だけではなく、世界中の女性の平均寿命は短く、その死亡時期は周産期に集中していたのです。
「産後の肥立がわるくて」などと綺麗事を言っていますが、周産期は恐ろしく血まみれのライフイベントなのです。
心して向かうべき事案です。
子供は決してぽろっと生まれるものではない。
環境が整っていなければ女性は簡単に命を落とします。
そしてもちろん子供も。

少子化対策についての議論を聞いていると、上記の部分についてどのくらい理解した上で話がなされているのか、著しく不安になります。

出産一時金でどうにかなる問題ではありません。


若冲

話が逸れてしまいました。

女性における女性ホルモン量の変化は大きい、という筋に戻ります。
妊娠可能年齢の間、月経周期の増減を重ね、50代になる頃に卵巣の活動が不活発になり、エストロゲン量はやはり急減します。

そして、いわゆる更年期障害が始まります。

つづきます。