このところ時間があると日本酒関係の検索をしたりしています。
予想はしていましたが、大分日本酒に関わる研究も膨大です。通の方の知識量も半端ではありません。私はといえば日本酒の様々の用語にも不案内なため、逐次検索しながら勉強に励んでいます。
圧倒されるのは日本酒造りに使われる酵母の系統。個性のある酵母の系統がいくつもあり、日本醸造協会はそれらの酵母を大切に維持、頒布しているそうです。日本酒によってはそれら酵母の種類まで瓶に記してあるお酒もあるそうな。それほどに酵母のつくり出す香りの成分は重要なようです。
今の一番の関心は香りと味の成分。するとすぐにカプロン酸エチルと酢酸イソアミルが出てきました。吟醸香の正体はカプロン酸エチルだそうです。まあ全部で700種類くらいの香り成分があるとされているそうで、これら全てのバランスをどう取るか、で日本酒の味は変わるわけですね。
ワインもぶどうの品種でかなり味と香りの方向性は決まりますが、やはりその蔵ならではの酵母が重要なようです。お酒でもやっぱり酵母でしょうか。現在では速醸もとが多く、自然界からの硝酸還元菌や乳酸菌を使っていません。香りの成分の変化があるとすれば、酵母によるものでしょう。
しかし、生もと系のお酒ですと、やはり乳酸菌の個性が出てくるようです。最初に増殖する乳酸菌と硝酸還元菌は何処から来るか、といいますと、もちろん空気中のものもありますが、水です。その土地の地下水を使いますとその土地の菌が入ってきます。そして乳酸菌は麹、蒸し米にも付いています。それらの微生物は酒母作りの最初の段階に働くので、産生した成分は最終的な醪(もろみ)の中では大分希釈されますし、酵母によってさらに代謝されて異なった成分になっているかもしれません。しかし、何らかの痕跡が残るはずです。巷ではヨーグルトのような香りと酸味などと表現されています。
その土地の、その蔵の、その樽に受け継がれている乳酸菌や、硝酸還元菌によって味が異なってくる、とすれば、日本酒の個性とはまさしくその土地の個性と言うことができます。神業ですね。
ともあれ何かが違う、ということで生もと系のお酒が復活しているのかもしれません。単に伝統を守る、ということ以外にも違いがあるのではないでしょうか。
ここまで来ると、もう後は味わってみるしかないですね。これまでにも日本酒専門の居酒屋さんなどへ知り合いに連れられて行きました。日本酒に興味を持つようになったのも、その影響かもしれません。しかしこれまではどれを選んでいいのかも分からず、闇雲にあれやらこれやら注文していました。これからはスマホ片手にまずは検索して、味わう事になりそうです。楽しみが増えました。