SARS-CoV-2感染症に対するワクチン開発が進められています。
開発の進められているワクチンの種類について書いていきます。
いろいろな理由から、開発している会社など、は出しません。悪しからずご了承ください。
どんな種類のワクチンが開発されようとしているのか。
1)SARS-CoV-2表面タンパク質(スパイク部分ペプチドを含む)
2)SARS-CoV-2表面タンパク質のmRNA
3)SARS-CoV-2表面タンパク質の遺伝子を組み込んだベクター(ウイルスを使うグループもある)
4)生ワクチン(弱毒株)
1)、4)は古典的なワクチンといえます。2)、3)が遺伝子ワクチンとして今回初めて開発されているものです。
ウイルスの表面タンパクに対する「特異的免疫反応」(特に特異的抗体産生、その他いろいろな反応系が動きます)をいかに効率よく誘導するのか、がワクチンの評価基準のひとつです。
しかもその産生されてきた「特異的抗体」はウイルスに結合して感染力を失わせるものでなくてはならない。
以前から書いているように、場合によっては、特異的に結合して効率的に細胞内に取り込まれるようにする抗体もあり、SARS-CoVのワクチンでもこれが起こったと聞いています。これとよく似ているSARS-CoV-2 (COVID-19の責任ウイルス)なので、研究者は非常に心配しています。
2)、3)の遺伝子ワクチンについて、それらを接種することによって我々の遺伝子が変化する、とか組み替え人間になる、とかの記述を見ました。
そのようなことはありません。
外来性の遺伝子はワクチン・ベクター(運び屋)によって我々の標的細胞に入り込み、一時的にウイルスのタンパクを作ります。
細胞内に入ったウイルスの遺伝子は、mRNAだろうが、DNAだろうが、いずれは分解され、なくなります。
ワクチン・ベクターはそのように設計されているのです。
このベクターについてはかなり長い歴史があります。もうかれこれ30年以上かけて開発されてきており、これまでにもいろいろな分野で使われてきています。
したがって、基本的には1)、4)と変わらず、目的のタンパク、ないしはペプチド(タンパクを小さく切ったもの)を身体のなかに入れ、それに対する特異的免疫反応(特に抗体産生を開始させること)を引き起こすことが期待されています。
研究者、専門家が危惧するのは、安全性については全くもってケースバイケースであることです。
何が起こるのか、望まない危険な副反応が起こらないか、十分な検討が必要だ、ということです。
1)〜4)の準備はあっという間にできます。
問題はその後です。
1)についてはアジュバンドの問題もあります。(これについては、また項を改めます。)なんにせよ、人間の体に入れ「免疫反応を動かそう」というものです。
難病のほとんどは自己免疫疾患で、免疫反応の暴走であることを考えたとき、その危険性を想像していただけますでしょうか。
ともかく、慎重にことを運ばないと悔やんでも悔やみきれない事態になりかねないのです。楽観は危険です。