洗濯は主に化学、微生物学の知識を総動員するべし の巻
前回は私の洗濯機に関する最近のとほほ体験を書きました。あまりここまでお間抜けなことをやる人はいないだろうなぁ、という体験ではありましたが、そうして分かったことは「洗濯においてある程度の水は必要」ということです。「節水」も大事ですが、洗濯時の節水が過ぎますと、結局2度3度と洗濯を繰り返すことになり、さらに水を使うことにもなります。時間と水を無駄にして、さらに衣服も痛めているということになります。私が購入した洗濯機は「節水」がデフォルト設定になっていましたが、これはもうかえって無駄な機能なのではないでしょうか。
大昔、私が子どもの頃の洗濯機は水を出しっぱなしですすぎをやっていました。それは確かに無駄なことでした。その記憶から「節水」への過剰な期待をしてしまったのかもしれません。これまでの洗濯機の進化はすごいものです。水を流しながらの1槽式、脱水機がついた2槽式になり、いつ頃からか溜めすすぎになりました。いつの時点で溜めすすぎになったのかあまり記憶がありません。そして全自動洗濯機が出てきました。当初はこの全自動には皆さん懐疑的だったかもしれません。私も随分最後まで2槽式を使っていました。ドイツに行って洗濯機を購入する際、初めて全自動にしたと思います。ドイツの洗濯機はドアが手前に開くものでしたが、ドアに強化ガラスの窓があり、中で起こっていることが見られたので、ジッと観察していたこともあります。
そうして帰国して、超多忙であったため、迷わず全自動を購入。でも乾燥機には手を出しませんでした。その後主人が乾燥機を使っていたことから、自然に乾燥機を使うようになりました。そうしてこの乾燥機が壊れたのを機に出始めの洗濯乾燥機にトライしました。それが前回の洗濯機。その辺りから「節水」「エコ」が目玉になっていたと思います。そこまではいろいろ失敗もありましたが、洗濯機自体に問題を感じたことはありませんでした。
この前回の「節水型」洗濯機になってから「あれ?」なことが多く、しかもこの洗濯機、洗濯中は中の様子が確認できなかったため、何が問題なのか分からなかったのでした。まあ、確かにもう少し気をまわしていればよかったのですが、あの頃は今から比べますと本当に忙しく、とても洗濯機の問題点を考える余裕はありませんでした。今年になってやっと少し余裕のある生活になったため、こうして洗濯機のことを考えることができている次第。
さて、前置きが長くなり過ぎました。子どもに伝えたい洗濯マニュアルに行きましょう。
1)面倒だけど分類しないと
洗濯機での洗濯でもっとも重要な下準備は分類です。何でも一緒に洗濯してしまうと悲惨なことになります。
分類のカギと分類する順番は、まずは「素材」で分類し、さらに色移りを警戒して「白いものと色の強いもの」に分類。
さらにその中でも汚れの強いもの、例えば汗だくのもの、泥汚れのものを別にします。
子どもが小さい頃は食べ物がべっとりついたお洋服、どろんこの服、などはさっとすすいで洗剤液に浸しておきました。
<素材による分類>
(1)洗濯して干すもの:化学繊維(熱に弱いし、さっと乾く)たとえばストッキング、フリースなど
綿と化学繊維の混紡のもの
麻
ウール製品
ワイシャツなど(綿製品でも乾燥機ではしわができるので)
小さめの洗濯ネット(必須!!)に入れて、洗濯中に表面が傷まないようにします。表面の毛羽立ち、毛玉のようなものをある程度予防できます。
(2)洗濯乾燥できるもの(乾燥機にかけられるもの)
:綿製品、たとえばTシャツ、下着類、靴下、タオル、ハンカチ、ふきん
<色による分類>
(1)白いもの
(2)色が出そうなもの:色の濃いもの(できれば色の系統にも注意)
<汚れによる分類>
汚れが酷いもの(皮脂、汗の酷いもの、油汚れなども)は下洗いしてから、その他のものと一緒に洗います。完全に別にする必要はないとおもいます。この作業は小さい子どもさんががいると必須。うちも子どもが3、4歳くらいまでは子どもの食べこぼしの服など、洗剤液に浸け置きしていました。これをしませんと、汚れが残り、そこにカビが発生します。子どもの前掛けの黒い点々がカビだと気づいたときは動転しました。これも私のとほほ体験です。
酷い汗のもの(私の判断基準は絞れるくらい)は水で汗をざっと流すのは必須です。
私の判断基準は「この酷い汚れが洗濯液に溶けて他の洗濯物にもくっつくかも?」と想像したときにぞっとしたらわける、というものです。
汗や尿などには大量の尿素や塩類が入っています。この汚れは水に溶かして流して行くしかないのですが、普通の洗濯機の洗い、すすぎの過程では流し切れない量のようです。水での下洗いが必須です。
運動部の子どもさんがいらっしゃれば下洗い必須かもしれません。汗と泥は水でまず流しませんと洗濯機の中に尿素、塩類、土、砂が溜まって行きます。これはカビや細菌類の餌です。子どもさんがお風呂に入るときに、ついでに水洗いをしてもらったらいいかもしれません。
脇の汗や襟首などは汗の他にかなりの量の皮脂がついています。セスキ酸や重曹の水溶液をスプレーし、5分以上おいてからさっと水で流します。子どもの制服の汗じみはこれで撃退しました。
2)洗剤は主に2種類
私はもっぱら合成洗剤です。洗濯石けんの使用は石けんかすの対策を万全にしませんと大変です。それに関してはネット上に沢山の情報がありますので、そちらを参照されることをお勧めします。洗濯洗剤の種類は主には2種類です。pHの違い。大抵は弱アルカリか中性洗剤です。
(1)ウール、シルクなどを洗うには専用の洗剤がありますが、これは中性。ウール、シルクなどの動物性タンパクでできた衣服は絶対にこれで洗います。
(2)普通の洗濯洗剤は主に弱アルカリです。中には中性のものもありますが、洗濯液が酸性に傾かないようにビルダー(洗浄助剤)が配合されています。汚れは水を酸性にするものが殆どだからです。あまりその辺りは深く考えても仕方ないのですが、洗濯石けんを使うときは要注意です。合成洗剤を使用している限りはあまり考えなくても大丈夫です。ただし、洗剤の量はメーカーが勧める量を厳守するべきです。洗浄に至適な濃度をメーカは実験で確かめているからです。少なくても多くても洗浄力は落ちます。
その他に最近の洗濯洗剤の多くには酵素が配合されています。酵素は小さなタンパク質で、脂肪を分解する酵素、タンパクを分解する酵素、が主に洗剤には使われています。効果を発揮させるためには浸け置きが必須です。忙しいときには洗濯機の1時間ほどの浸け置き洗濯コースなどで使用するのがいいかもしれません。手間をかけられるときには人肌のお湯で1時間ほど浸け置きをしてすすいでから、普通の洗濯をするときれいになります。
血液がついたら水でまずきれいに流し、酵素洗剤液かセスキ酸水溶液か重曹水溶液につけて1時間置き、すすいで普通にお洗濯。
(3)セスキ酸と重曹
どちらもアルカリ性水溶液として脂質、タンパク質の分解をしてくれます。台所の手ふきなど、調理中の手を拭きますから、油とタンパク質がべっとりついています。こういうものはセスキ酸水溶液にしばらく浸けてからすすいで洗濯をすると本当にすっきり洗濯ができます。上の方にも書きましたが、運動や重労働で汗みどろになったシャツなどは、皮脂もたっぷりついていますからセスキ酸水溶液につけてすすぎ落としてからのお洗濯が必要です。
3)洗濯の前に確認!干す時間があるかを確認してから洗濯すること
洗濯は終わったら速攻で干すべし。これは洗濯物のためにも洗濯機のためにも最重要です。洗濯のみした場合は槽乾燥コース(あれば)か蓋を開けて洗濯槽を乾燥させることも重要です。カビの増殖は温度、水分、栄養分です。どれかがなければ増えません。乾燥しておくことは最も簡単で効果的なカビ防止策です。
以上、とりあえず今子どもに洗濯の方法として知っておいて欲しいことをまとめてみました。
今回は柔軟剤のこと、色落ちのこと、大物の洗濯、しみ抜き、漂白剤のことなど特殊な洗濯については何も書きませんでした。漂白剤は余程のことがない限り私は使いません。柔軟剤も静電気防止のために使いますが、香りの強いものなどは避けています。香りの化学成分でアレルギーをおこしたり、周囲の香りに敏感な方(特に病気で治療を受けている方など)のご迷惑にもなりますので、使っていません。
清潔で気持ちのよい生活のためにも大事にしたい洗濯です。