メーという調味料、といいますか不思議な液体がベトナムにあるらしいです。どこのご家庭でも自家製のメーがあって。作り方は簡単。加熱したご飯と水をまぜてペットボトルに入れてその辺りに放置。2〜3日すると出来上がり。酸味があって、魚の匂い消しのためメーで洗ったり、調味料としてスープに入れたり、煮物に入れたり。売られているメーもあるようです。
これって乳酸菌と麹菌の水溶液でしょうか。すごいですね。
もう感動ものです。これに酵母が入ってアルコール発酵したら日本酒です。どぶろくなどこんな感じで始まっているわけですね。放っとけばできる環境なのがすごい。
ご飯も今の時期、残ったものをお鉢に移して、うっかりしていると何だか変な匂いが。。。なんて良くありますよね。大体納豆系の匂いがしますが、これって枯草菌でしょうか。カビが生えるまでほっとくことはあまりないとおもいますが、まあ放っておけば生えます。それこそいろいろ、カラフルなことになります。
普通の生活圏には数百から数千の種類の微生物がいます。その時の条件に応じて、ある菌に適した環境があればそれがわっと増えてきます。その全てを消毒する?滅菌する? まあ、不可能でしょう。
考えた方がいいのは「そんなことをする必要があるのか?」 です。
そもそもわれわれの身体は微生物に守られています。皮膚然り、大腸しかり。おそらく口腔内もそうでしょう。問題はどういう微生物が常在しているのか?だと思います。殺菌や滅菌より、微生物の種類に気を配る方が現実に即していると思います。おまけに日本はアジアの気候風土で、微生物にとってはかなりの好条件なのですから。
この何十年も滅菌、殺菌と騒ぎ立てている今の日本のご家庭内の常在菌はどうなっているんでしょうか?とても心配。今の日本のお家でメーを造って、果たしてどんなメーになるのやら。どぶろくはできるんでしょうか?
発酵食品を沢山使うと、そこにいる菌が空中にも拡散します。台所から始まって人につき、あちこちに運ばれ、家中に広がって行きます。「手入れ」をすると、その時の人に付いていた微生物も一緒につきます。そうしてそこの微生物相が変化するかもしれません。ぬか床のお手入れはぬか床の上下を返して酸素を中に入れること、底の方のぬかの嫌気性菌を不活発にすることを目的としていますが、こういう効果もあるでしょう。
長い歴史の中で培ってきた、われわれの暮らしと仲の良かった微生物たちをもう一度家の中に増やしてあげたいと思います。そんな思いで発酵食品を使っていると、消毒剤があまり使えなくなります。そこで重宝するのがお酢やクエン酸など。
もっと微生物たちと共存する生き方を考える方が日本の暮らしには合っていると思います。