今回は巷に流布する「妄説」について少し書いてみます。
世間の関西人(といっても私のまわりの)言うところの「関東のうどん」は醤油色で「とても食べられない」ものらしいのです。
それを美味しく頂いて育ったわたくしですが、それが何か?
関東のいわゆる蕎麦やさんがこしらえる、そばつゆをベースにしたうどんのおつゆは強烈な「出汁」の味です。醤油は色は濃いですが塩分濃度は低いので塩辛さはありません。メイラード反応の結果生じたカラメル色です。これも味(特に香ばしい甘み)のうち。大変おいしい。
特にたぬき、や天ぷらだとつゆの味が引き立ちます。子どもの頃の私は毎回おつゆまで残さず美味しく頂いておりました。
一方で、別に関西のお料理を頂いても「薄味」とも思いませんし、しっかりしたお味のあるお料理と感じ、美味しく頂いております。もちろん出汁の種類は関東のものとは方向性は違うものの非常においしい。濃厚なお味も多いですね。大阪の「けつねうどん」など濃厚の極みです。ほんと、大好き。
旨味(この中にはアミノ酸系甘みもあります。)、甘味、塩味、ほんの少しの苦み、香ばしさ、場合によっては酸味。これらのバランスのあり方が重要です。関東の味も関西の味もそれぞれにその絶妙なバランスがあって、その違いは大変面白いものです。バラエティが豊富であることはとても大切なことです。
「関西は薄味、関東の味は濃い、だだ辛い(塩辛いの意味らしい)。」
とは何なんでしょう? どこにそんな関西の味や、関東の味があるのでしょうか?
私、以前からこの言葉を聞くたびに「はあ?!」と思っていました。一つにはとても料理の味が分からない、料理のできない(しない)方(専ら男性に多い)が言うせいもあったでしょう。
これまで、セクハラとパワハラにおびえていたため、滅多に反論しなかったわたくしですが、もういいかな、と思います。
ご冗談でしょ! いい加減なこと言うのは金輪際やめてください。
それから、関西の方(もっぱら上記の条件に当てはまる方)が良くされる質問。「関西の味は薄くて物足りないでしょう?」
ご冗談でしょ! いい加減なこと言うのは金輪際やめてください。
「関東の味は醤油味、関西の味は出汁の味」というのも大ウソです。
10代最後の頃に、奈良で親子丼を頂いたとき、余りに黄色い親子丼にちょっと引きましたけど、味には文句はなかったです。おお、関西の味文化は大分違うらしい、ということは学びましたが、「まずい」とは思いませんでした。
他文化について論評する時は節度ある、リスペクトを忘れない態度が重要だと思います。
これって、何に対しても重要だと思います。昭和も遠くなる今日、新しい時代をむかえるにあたり、心しておきたいことです。
多様であることは豊かであることですから。