第2回は、前日、前々日に発表される山頂天気予報の利用方法についてです。第1回は、こちらをご覧ください。
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③山頂天気予報を確認
木曜日発表の「今週末のおすすめ山域」で、登る山を決めたら、次は2日前と1日前に「山頂天気予報」を確認し、実際に行くかどうか、あるいはリスクが高い場合には登山ルートを変更して、よりリスクが少ないルートにするかどうか、あるいは予定通り行く場合には、リスクを減らすために、そのための装備を用意したり、リスクの高い行動時間を避けるなどのマネジメントが必要になります。実際に、甲斐駒ヶ岳の予報を見ていきましょう。
事故の前々日(17日)に発表した予報では、18日(土)の降雪量について「気象予報士のコメント」欄には50cm前後の降雪の恐れと書かれています。ヤマテンの予報では、天気マーク以上に、コメント欄に具体的な気象リスクや重要な解説が書かれていますので、必ず読んでください。
ヤマテンが17日に発表した気象予報士のコメント
24時間で30cm以上の降雪があったとき、急激に積雪が増えている状況や、降雪の後で積雪がまだ安定していない時間は、雪崩のリスクが高まります。どの位の時間で安定するかは、気象条件にもよりますが、降雪の翌日は不安定だと思った方がいいです。特に午前中はリスクが高いと思ってください。私の知っているガイドは30cm以上新雪が積もったら、ガイド登山を必ず中止しています。今回は、50cm以上という大雪になることが想定されている訳ですから、いかに翌日が晴れ予報でも雪崩のリスクがある登山ルートの場合、登山を一日後ろにずらすか、それが無理なら中止にすべき状況です。本来であれば、当日までに弱層が形成される気象状況かどうか、あるいは雪崩のリスクがあるルートなのかどうかが良く分からないという方は、とにかく30cm以上の降雪があったら、翌日はどんなに晴れても登山中止と考えてください。もちろん、美ヶ原や北八ヶ岳の池(冬は雪原)めぐりのように、平らで雪崩が起きるような場所がなければ別ですが。
さて、前日(18日)に発表された天気予報では事故当日、一日中、晴れる予想になっていますますが、気象予報士のコメントでは雪崩の危険性について警戒を呼びかけています。前々日と前日で予報が変わることもあるので、前日の予報でも必ずチェックしましょう。ちなみに、夕方の17時頃に予報は更新されます。雪崩の起きやすい場所は、大樺沢など具体的に記載されている場所以外にも発生する可能性があります。もちろん、現場で地形を見て判断することも大切ですが、雪崩地形の見方が分からない方は、コメントに「雪崩のリスクが高い」「積雪が不安定」「雪崩に警戒」ということが書かれている場合には、雪崩のリスクがある山には行かないようにしましょう。
なお、雪崩は様々な要因が重なって起きるので、積雪や地形、気象などについて学ぶことが重要です。日本雪崩ネットワークが主催する講習会などに参加されることをおすすめします。
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