今回は、先月下旬に美ヶ原でおこなった山の天気ハイキングの際に見られた雲について説明します。
まず、一枚目は巻雲です(下の写真)。
この観天望気講座でも何回も登場している雲です。低気圧や温暖前線が接近する際にまず最初に現れる雲として知られています。雨巻雲と晴れ巻雲がありますが、今回は典型的な晴れ巻雲です。実際、2日間とも素晴らしい天気になりました。
続いて下の写真をご覧ください。2つの雲があります。北アルプスの中腹辺りに浮かんでいる雲(赤い囲み線1)と手前の山腹に浮かんでいる雲(紫の囲み線2)です。
1の雲は、細長く、薄い(厚みがない)雲です。この雲のてっぺんの高さは綺麗にそろっています。これはこの雲の上に安定した層があり、これ以上雲が上昇できないためです。おそらく、前日、日本海を通過した谷の影響で、日本海からやや湿った空気が残り、それが北アルプスの斜面に沿って上昇してに冷やされたことによってできた雲ですね。
2の雲は、安曇野盆地で朝発生した霧が蒸発して水蒸気となり、日射によって暖められた空気が山にぶつかって上昇してこの水蒸気が冷やされたことによってできた雲だと思われます。
下の写真をご覧ください。太陽の周りに虹のようなものができています。これを日暈(ひがさ、にちうん)と呼びます。氷晶がプリズムとしてはたらき、太陽からの光が、氷晶(巻雲や巻層雲の中の氷の粒)の中を通り抜ける際に屈折されることで発生します。
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文責、写真:猪熊隆之