山の天気予報

ヤマテンからのお知らせや写真投稿などを行います。

猪熊隆之出演番組のお知らせ

2022-03-26 09:30:50 | おしらせ

弊社代表の猪熊が下記番組に出演しますので、お知らせします。

〇「雨飾山 ~天高く空を楽しむ~」 再放送
3/28(月)19:30~20:00  NHK BS4K/BSプレミアム
https://www4.nhk.or.jp/P5160/x/2022-03-28/44/10597/2012058/

〇「朝ごはんLab.」(5)「井川遥のチーズの薬膳がゆ」 再放送
4/1 (金)6:45~7:14 NHK BSプレミアム
https://www.nhk.jp/p/ts/MVW3K8LP2R/episode/te/Q2JZM1KKNW/

株式会社ヤマテン

広報担当

 

山の天気予報は、ヤマテンで。

https://lp.yamatenki.co.jp/

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猪熊隆之の観天望気講座181

2022-03-17 20:30:38 | 観天望気

寒冷前線が接近するときの雲partⅡ~西穂高・丸山~

前回は、寒冷前線が接近するときの天候の悪化について、天気図から予想する方法を学びました。今回は、雲の変化から早めに天候の悪化を察知し、避難行動につなげる方法です。

 冬季に寒冷前線が接近するときは、下図(図1)において、DからCに向かって天気が変化していきます。つまり、初めは青空に積雲が浮かんでいる程度(南西側に海がある山岳では早めに雲に覆われることがあり、暖候期には前線からやや離れたD側で風雨が強まる山もある)ですが、寒冷前線が接近すると、積乱雲群が現れ、やがてそれに覆われると激しい雨が降り、雷を伴うこともあります。そこで、まずは寒冷前線が接近する方角の空を確認することが大切です。

図1 寒冷前線付近で発生する雲

.寒冷前線が接近する方角の空を確認する

 寒冷前線が接近するときは、前線がある方角の空を確認します。

図2 4日の夕方に確認した、3月5日9時の予想天気図(気象庁HPより)

図2をご覧いただくと、寒冷前線は北アルプスの北西側から近づいてきます。そのため、北西側の空を確認するということになります。西穂高岳周辺では笠ヶ岳~抜戸岳方向の空ということになります。

写真1 栃尾付近の蒲田川と西側の空

残念ながら、新穂高ロープウェイ駅に向かうまでの車中では、山間部を走るため、北西側の空が眺められる場所がありません。そこで西の空を眺めると、青空に積雲と呼ばれる雲が浮かんでいて、天候を崩す兆候は特に見られません(写真1)。

写真2 南側の空を眺めると、雲が少し“やる気”を出してきている

他の方角の空を見てみると、雲がモクモクと上方へ成長して(“やる気”を出している)きています。このような兆候が見られるときは注意が必要です。

写真3 新穂高温泉付近からの笠ヶ岳方面の空

新穂高温泉が近づくと、笠ヶ岳方面の空が暗くなってきました。寒冷前線に伴う雲が接近してきていることを物語っています。

写真4 新穂高ロープウェイの車窓からの中崎尾根と抜戸岳~双六岳方面の空

やがて暗い雲は全天を覆うようになり、西穂高口に到着した頃には、雪もちらついてきました。天候悪化は明瞭ですが、今日は西穂山荘まで(丸山往復の可能性は残す)で、森林限界を越えることはないため、前進することを決めます。心配なのは前線通過時の落雷でしたが、雨雲レーダーや雷レーダーを確認したところ、活発な雷雲は大分北側を通るため、リスクは小さいと判断しました。

写真5 吹雪の中、西穂山荘到着

西穂山荘に到着する頃にはご覧の通り、吹雪に。ここで登りが苦手なお客様一人を除く残りのメンバーで西穂・丸山を目指します。もちろん、天候悪化で丸山登頂を止めるという選択肢は正解ですが、ここでは現場を熟知している渡辺幸雄さんが同行していたので、視界が非常に悪くなっても西穂山荘に辿り着ける自信があったこと、天気を学ぶツアーということで、吹雪になったときにどういう状況になるのかを学んでいただきたいということで出発。というのも晴れた日にしか登っていないと、いざ天候が悪化したときに、どの位厳しい状況に追い込まれるのかが分からないからですね。天気予報で晴れの日にしか行かない人が陥りやすいのが

・エマージェンシーシートやツェルト、非常食などの緊急時の装備を持参しない

・視界が悪くなると、どういうことになるかの想像力に欠ける(道迷いや雪庇踏み抜きのリスクを軽視)

・暴風雪下でスマホを使って地図アプリを確認することの困難さを知らない。よって印刷した地図を持たずに吹雪に遭遇して道迷い→低体温症

・低体温症の怖さを知らない。予防法、処置法を知らない

また、怖さを知れば、天候が悪化していく兆候が見られたときに、引き返すという選択肢を取るのですが、知らないと何となく前進してそれこそ、致命的な結果を生むことになるからです。残念ながら、先日も谷川連峰で天候が昼頃から急変する日に、暴風雪の中、身動きが取れずに2名が亡くなってしまうという事故が起きました。

さて、登山を継続するにはギリギリの風速15m/s前後の猛吹雪の中、登頂。帰りは視界がほとんど効かない中、渡辺ガイドのさすがのルートファインディングで無事、西穂山荘へ。安全地帯がすぐそばにある所で、信頼できるガイドさんや経験者の元で猛吹雪を体験することは良い勉強になりますが、そうでない場合は決して実行しないでくださいね。

写真6 猛吹雪の西穂・丸山

文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)

図、写真、文章の無断転載、転用、複写は禁じる。

 

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猪熊隆之の観天望気講座180

2022-03-16 09:11:01 | 観天望気

寒冷前線が接近するときの雲partⅠ~西穂高・丸山~

低気圧が接近してくるときに、天候が崩れていくときの天気変化は主に2つのパターンがあります。ひとつは温暖前線が接近してくるとき、あるいは低気圧が南海上を通過するときの崩れ方。この場合、天気は徐々に崩れていきますので、雲の変化を見ていくと、あとどの位で天気が崩れていくのかが予想できます。また、天気の崩れ方も緩やかなので、気象遭難が起こりやすい天気にはなりません。このときの雲の変化は、何度か過去に掲載していますので下記、URLをご参照ください。

  • jRO「雲から天気を学ぼう第7回

https://www.sangakujro.com/%e9%9b%b2%e3%81%8b%e3%82%89%e5%b1%b1%e3%81%ae%e5%a4%a9%e6%b0%97%e3%82%92%e5%ad%a6%e3%81%bc%e3%81%86%ef%bc%88%e7%ac%ac%ef%bc%97%e5%9b%9e%ef%bc%89/

  • 猪熊隆之の観天望気143回

https://blog.goo.ne.jp/yamatenwcn/e/40a843cfcac7868d5e28a30404c830fc

 もうひとつは、寒冷前線が接近するときです。こちらは天候が急激に悪化し、前線通過時には落雷や強雨、強雪など激しい気象現象をもたらします。また、前線通過後は、日本海側の山岳で大荒れの天気になることもあり、気象遭難が起こりやすい天候変化になります。先日、西穂高・丸山でおこなった空見ハイキングでは、このパターンの天気変化となり、午前中は良いお天気だったものの、昼頃から天候が急変し、午後は猛吹雪になりました。このようなときに、気象遭難が多発します。天候の急変を予想する方法は、

1. 登山前に天気図を確認する

2. 登山中に天候悪化の兆候を雲や風の変化から察知する

以上の2点になります。今回は、西穂・丸山の空見ハイキングを例にして、この2点を実際におこなっていきます。このツアーは、アルパインツアーサービスさんで企画・実施していただきました。当初は、ロープウェイで西穂高口から歩き出し、西穂山荘経由で丸山に登頂して西穂山荘に宿泊。翌日、丸山を往復した後、西穂高口に下山という予定でした。しかしながら、数日前に、登山中の天候が悪化することが予想され、2日目の6日はロープウェイが運休になる可能性があったので、ロープウェイを使わずに上高地を経由して釜トンネル入り口まで徒歩で下山する可能性があるということを旅行会社からご参加者にお知らせしました。その結果、15名満席だったご参加者が7名になりました。

1. 登山前に天気図を確認する

 予想天気図は、気象庁や民間の気象会社のHP、ヤマテンの山の天気予報サイトなどで見ることができます。それぞれメリット、デメリットがありますので、使いやすいものを選ぶと良いでしょう。まずは、気象庁などのHPなどで見られる天気図から確認しましょう。

 こちらの最大のメリットは見やすいことです。数値予報と言われるコンピュータで計算した結果の気圧配置を、気象庁の担当の方が高気圧や低気圧、前線などを書き加えて見やすく作り直したものです。最大のデメリットは24時間ごとの予想図しか見られないことと、最長でも2日後の予想図しか見られないことですね。さらには、気象庁で書かれる前線は、構造がしっかりした前線のみ(つまり、強い前線のみ)です。構造があまりはっきりしていない、あまり強くない前線は天気図に書かれませんが、山では弱い前線でも天気が崩れることが多くなります。

 これらの特徴を踏まえたうえで、気象庁の天気図を見ていきます。寒冷前線が接近するとき、天気図上に前線が書かれる場合と書かれない場合があります。書かれている場合は、その前線が通過する時間帯を予想することが大切です。

図1 3月4日(金)の夕方に確認した5日9時の予想天気図(気象庁提供)

図1をご覧いただくと、日本海北部に低気圧があり、そこから延びる寒冷前線が北陸沖から山陰地方へと延びています。図2では、この寒冷前線が関東地方の沖合まで進んでいます。図1は午前9時の予想、図2は21時の予想ですから、寒冷前線が西穂高岳付近に達するのは、図1のすぐ後であることが想定できます。しかしながら、この天気図では、具体的にいつ通過するのかが分かりません。

図2 3月4日(金)の午前中に確認した9日21時の予想天気図(気象庁提供)

そこで3時間ごとの予想図が見られるヤマテンの専門・高層天気図で確認していきます。ここでは2つの天気図から確認していきましょう。

図3 3月4日9時を基準とした5日12時の地上気圧+降水予想図

地上気圧+降水予想図で寒冷前線の位置を特定する方法は、長細い降水域を見つけることです(図3,図4の赤い破線枠内)。これを見ると12時には北海道の渡島半島付近から佐渡島~北陸沿岸にかけて降水域があり、この辺りに寒冷前線が予想されています。

図4 3月4日9時を基準とした5日15時の地上気圧+降水予想図

3時間後の15時の予想図(図4)では、この降水域が東に移動し、東北の日本海側から北アルプス付近にかかっているのが分かります。これは前3時間(つまり、12~15時)の降水予想図ですから、寒冷前線は12時~15時に通過することが考えられます。しかしながら、線状の降水域は寒冷前線でないときにも出現するので、中・上級者の方は、1,500m上空の相当温位+風予想図を見る方が確実です。

図5 850hPa面(上空1,500m付近)の相当温位+風予想図(512時)

相当温位予想図についての説明は下記URLをご参照ください。

jRO「雲から天気を学ぼう第26

https://www.sangakujro.com/%E9%9B%B2%E3%81%8B%E3%82%89%E5%B1%B1%E3%81%AE%E5%A4%A9%E6%B0%97%E3%82%92%E5%AD%A6%E3%81%BC%E3%81%86%EF%BC%88%E7%AC%AC26%E5%9B%9E%EF%BC%89/

●猪熊隆之の観天望気講座106

https://blog.goo.ne.jp/yamatenwcn/e/c584eb15e1f2ad97e8e4dfb4e4fca545

ここでは、寒冷前線の位置を特定する方法をお伝えします。

・線が集中している所の端(相当温位が高い方の端)

・風向が変化している所を結んだ線(南西と西、あるいは南西と北西など)

これらの特徴が見られる場所が図5、6の赤い破線で囲んだ所です。

図6 850hPa面(上空1,500m付近)の相当温位+風予想図(515時)

寒冷前線の位置は12時では佐渡島付近から北陸沿岸~京阪神辺りですが、15時になりますと、奥羽山脈~上信越~長野県北部付近に達しています。つまり、1215時の間に西穂高岳付近を前線が通過していることが分かります。ちょっと難しいですかね。この方法だと気象庁の天気図に書かれていない前線を探すことができます。

これらの情報から5日の午後は寒冷前線の接近に伴い、天候が急激に悪化することが考えられます。さらに前線通過後は、図2のように冬型の気圧配置となり、等圧線が本州に4本以上かかっていますので、北アルプスなど日本海側の山岳では大荒れの天気になることも予想されます。こうしたことを考えて、12時までには森林限界内に下山するような行動計画を立てたいところですね。

PartⅡでは寒冷前線の接近に伴う、雲の変化と登山中の判断方法について見ていきます。天候悪化のサインを早く見極めること、そして引き返すポイントを決めることが重要になります。お楽しみに!

文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)

図、写真、文章の無断転載、転用、複写は禁じる。

 

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山で学ぶ観天望気(空見ハイキング)ツアーのご案内

2022-03-13 20:27:06 | おしらせ

空や雲を見ることを楽しみ、山の天気について学ぶツアーを実施します!
皆さんのご参加お待ちしております。

●磐梯山と西吾妻山 雄国沼湿原 雲見トレッキング 3日間
生息株数は尾瀬を上回る全国一のニッコウキスゲが咲き乱れる雄国沼を訪れる花見&雲見(くもみ)を楽しむツアー。吾妻連峰ではツアーだからこそできる、グランデコスキー場から天元台スキー場へと抜けるプチ縦走をおこないます!
日程:2022年7月1日(金)~3日(日)
企画・実施:毎日企画サービス(毎日新聞旅行)
郡山駅集合・米沢駅解散
ツアーの詳細や申し込み方法は下記URLにてご確認ください。
https://www.maitabi.jp/parts/detail.php?course_no=21066

そのほか以下のツアーがございます。
【募集中】
●伊豆諸島で天気を学ぶ 八丈富士と三原山 3日間
日程:2022年4月8日(金)~10日(日)
企画・実施:株式会社アルパインツアーサービス
集合場所:東京・竹芝桟橋 / 22:00
ツアーの詳細や申し込み方法は下記URLにてご確認ください。
http://www.alpine-tour.com/tourinfo/details.php?keyno=3385

【満員、キャンセル待ち】
●本州一雨が多い山に、山岳気象予報士と行く 秘境・大杉谷から大台ヶ原と東大台 3日間
日程:2022年4月22日(金)~24日(日)
企画・実施:株式会社アルパインツアーサービス
集合場所:名古屋駅 太閤通口 銀の時計前 / 7:45
ツアーの詳細や申し込み方法は下記URLにてご確認ください。
http://www.alpine-tour.com/tourinfo/details.php?keyno=3340

 

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山の天気を学ぶオンライン講座(第3回)のご案内 ※申し込みは3/28~

2022-03-13 14:54:12 | おしらせ

平素より「山の天気予報」をご利用いただき、まことにありがとうございます。

第3回オンライン気象講座につきまして、以下の通りご案内いたします。なお、お申し込み開始は3月28日(月)からとなります。お申し込みが開始となりましたら、改めてご案内いたします。

テーマ:「春山の気象」
日程:4月17日(日) 
申し込み開始時期:3月28日(月)

●初級編「高気圧・低気圧と前線」 10:00~11:30
参考資料:山岳気象大全(猪熊隆之著・山と渓谷社)第4章

●中級編「春山の天気と低気圧の発達」 13:00~15:00
参考資料:山岳気象大全(猪熊隆之著・山と渓谷社)第7章

講師:渡部均
※講師は変更となる場合があります。
定員:各回とも70名
開催方法:オンラインZoomウェビナー

オンラインでの講座となりますので、全国の皆様にご参加いただくことができます。
また、通常の机上講座同様、質疑応答も可能となります。(後日、録画分の配信も予定しております)。

参加費につきましては、一般の方は2,500円ですが、ヤマテン会員の方は2,000円となります(初級編、中級編両方をお申込みの方は一般の方4,500円、ヤマテン会員の方は3,500円と、別々にお申し込み頂くより500円割引になります)。なお、4月15日(金)以降、キャンセル料がかかりますのでご注意ください。

また、2022年に予定しておりますオンライン気象講座は以下でご確認いただけます。
以下URLより「ヤマテン主催講座」をクリックしてください。
https://www.yamaten.net/workshop


この機会にぜひ受講いただき、登山をより安全に楽しむための一助としていただければ幸いです。
皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。

株式会社ヤマテン
気象講習係

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