~どの方角の空を見るべきか?~
空を見るといっても、どの方角の空に注意したら良いのか分からない方も多いと思います。そこで、今回は観天望気の基本、どこの空に注目すべきかについて解説していきます。
雲は上空の風に流されていきます。そのため、風上側に発達した雲があるときは、その雲が近づいてくる可能性が高くなります。
空を見るときは、風上側の空を見ることが基本です。
それでは風はどこで調べればいいのでしょうか?登山口や谷の中では、風は地形の影響を受けてしまいますので、開けた尾根上に出たら、風の向きを調べましょう。コンパスで調べる方法もありますが、PROTREKをお持ちの方は、次の方法でお調べください。
PROTREKで風向を調べる方法
1.時計の12時の方向を風が吹いてくる方に向ける
2.右上のボタン押す
3.そこに書かれている方角が風向となります。
簡単ですよね!風向の変化は、天候変化の前兆にもなりますので、時々風向きを調べると天候変化を早めにキャッチすることができます。
さて、開けた尾根に出ない登山ルートの場合は、どうやって調べたら良いでしょうか。
その場合、雲の流れを見ていくのが一番です。空を見上げて、雲がどの方角に流れていくのか見ていきましょう。雲が向かってくる方角にコンパスを合わせるか、PROTREKの12時の方向を合わせて右上ボタンを押せば調べられます。あるいは事前に天気図から上空の風向を読み取っておいても良いですね。
春や秋は上空を西風が吹いていることが多く、西の空をチェックすることが多くなりますが、梅雨期や夏の時期は、上空の風がそのときの状況によって異なりますので、難しくなります。今回は梅雨期の空の見方をチェックしましょう。
6月2日(日)に氷ノ山で空見ハイキングをおこないました。そのときの天気図が図1です。
図1 南海上に前線がある気圧配置
このときは、南海上に梅雨前線が停滞していました。このように、梅雨前線が南海上にある場合は南側の空をチェックしていきます。前線付近は、天気が悪くなっていることが多く、空が暗くなっています。つまり、南海上に停滞前線があるときは、南側の空が暗くなっていることが多いのです。そして、その暗い空が近づいてくるようだと、前線が北上していることを示しており、天気が崩れていきます。逆に、南側の空があまり暗くなっていなかったり、暗くなっていたとしても(西から東に動いていくなど)近づいてこなければ、天気が崩れることはありません。
さて、この日の南の空を見てみましょう。
写真1 氷ノ山山頂から南側の空を見る
南側の空は暗くなっていることが分かります。高層雲(おぼろ雲)が広がっています。一方、北の空はどうでしょうか?
写真2 氷ノ山から北の空を眺める
写真2のように、雲が薄くなっていて巻層雲(うす雲)が主体です。雲が切れて青空が見ている部分もあります。このときは、山頂に向かっていくにつれて、北の空が明るくなっていき、青空も見えるようになっていきました。また、南側の暗い雲も近づいてくる気配はありませんでした。
このようなときは、天気が崩れる心配はなさそうです。
梅雨前線が南側にあるときは、前線がある方角の空を見ると良いでしょう。
文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)
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