~カラフェスで見られた雲partⅠ~
随分、前の話になりますが、7月下旬、2年ぶりに開催された涸沢フェスティバル。初日と2日目はお天気も良く、20年ぶり位に奥穂高岳の山頂を踏みました。
空もさまざまな表情を見せてくれました。特に印象的だった雲について、2回に分けて紹介していきます。
今回はうろこ雲と飛行機雲について紹介していきます。
1. うろこ雲
この雲は、カラフェスの初日に見られました。丁度、大城先生が講演中で登山者にとって大変貴重なお話をしていただいたのですが、私は雲が気になって、カメラを手に右へ左へ挙動不審な行動を取ってしまいました。大城先生、ごめんなさい!
さて、この雲ができる原理は、実はお味噌汁にあるのです。103回に詳しく書いてありますので、ぜひ読んでみてください(下記サイト)。
https://blog.goo.ne.jp/yamatenwcn/e/bde8b7d9880a9c60757451375a388ef3
1. 十字の飛行機雲
さて、こちらも初日ですが、常念山脈上空に十字の飛行機雲が!まるで青空をキャンバスに絵を書いているみたいですね。
皆さんは飛行機雲ができる仕組みをご存じですか?「排気ガスが出ているだけでしょ。」とお思いの方、残念ながら違います。飛行機雲は煙ではなくて雲なんです。
飛行機雲ができる仕組みは大きく2つに分けられます。
ひとつ目は、排気ガスが生み出す雲。もう一つは飛行機の主翼の後ろなどに渦ができることによるものです。
もう少し詳しく説明しますと、一つ目は飛行機から排出されるガスは300~600℃という非常に高温。一方、飛行機が飛ぶ高さの空気はマイナス40℃以下という低温。高温の排気ガスが低温の空気中に放出されると、ガスの中の水蒸気が急激に冷やされて氷の粒になって雲を作る訳です。
また、二つ目の方は翼の上と下で気圧差ができることから、風が生まれ、渦を形成します。渦の中心では気圧が下がることから気温が低下し、空気が飽和に達して氷の粒ができるのです。
こうしてできる飛行機雲。よく「飛行機雲が長く残ると天気が崩れる」と言われますが、これは上空高い所の空気が湿っていると、飛行機雲はすぐに蒸発することなく、長く残るからです。上空の空気が湿っているとき、低気圧が接近することが多いですから、このことわざは一理あります。ただし、一時的に上空に湿った空気が入って地上付近の天気と関係のないこともあり、そのような場合は当てはまりません。また、梅雨や秋雨の時期は天気が良くても上空に水蒸気が多いので、飛行機雲が長く残ることが多いですね。
文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)
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