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猪熊隆之の観天望気講座117

2018-10-06 18:00:19 | 観天望気

~カラフェスで見られた雲partⅡ~

前回に続き、涸沢フェスティバルで見られた雲の後編です。今回は、穴あき雲と巻雲(けんうん)です。

1. 穴あき雲

穴あき雲(ホールパンチ雲)とは文字通り、雲の中に、雲のない穴のような部分がある雲のことです。上の写真では、一面にうろこ雲が出ている中で、真ん中辺りに雲がない部分があります。

穴あき雲ができる理由は、水滴でできている雲と氷晶(氷の粒)でできている雲、両方が混ざり合ってできているとき、水滴でできている雲の中で、その水滴が冷やされて氷晶が発生します(飛行機雲が通過したり、雲の高度があがって冷やされたり、高い所から氷の粒が落ちてきたりするなどして)。そうすると、水より氷の方が成長しやすいので、水滴は蒸発し、蒸発した水蒸気が氷晶を成長するのに使われていきます。その結果、水滴が蒸発した所が穴が開いたようになるのです。上の写真は大きな穴ですが、下の写真のように、もっと小さな穴もあります。

写真2 小さい穴の穴あき雲

この穴は小さいですね。渦もできているようです。渦によって氷晶ができた可能性もありますね。この写真はさらに、彩雲(さいうん)や波状雲まで重なっている、超レアモノです。

2. 巻雲(けんうん)

巻雲は空のもっとも高い所に浮かんでいる雲です。文字通り、カールしているような雲もあります。

写真3 カールしている巻雲

巻雲は半透明の美しい雲です。透けて見えるのは、氷の粒でできているからです。氷は太陽の光を透過します。美しさの理由は、まさにこの透け感にあります。カラフェスでも沢山の巻雲が現れてくれました。どれが一番美人かな?とワクワクしながらシャッターを押していました。美しい雲は、心を癒してくれますね。

写真4 涸沢上空に現れた美しい巻雲

繊細な、それでいて洗練された、空に描かれた模様のような雲ですね。こんな雲をまた見たいものです。

文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)

※図、写真、文章の無断転載、転用、複写は禁じる。

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