今日は、2月21日~22日に催行された「山の天気ハイキング飯縄山&戸隠高原」の際に見られた雲について紹介します。
21日午前中は良く晴れていました。下の天気図を見ても飯縄山(長野県北部)を含む中部地方から北日本にかけて高気圧に覆われていることが分かります。
21日午前中、まず出てきた雲が下の写真の巻雲です。巻雲はこれまでにも何度も紹介してきましたが、今回現れた雲(赤い囲みの部分)は、昇り竜のような形をした雨巻雲です。このような形の巻雲は、天気が崩れることの前触れとなることが多くなります。
21日午後の天気図(下図)を見ていきましょう。高気圧の中心は三陸沖へ早くも抜けているのが分かります。そして、東シナ海には前線を伴った低気圧が発生しています。
21日午後になると、空の状況も変わっていきます。巻雲に変わって、薄い白っぽい雲が西の空に大きく広がってきました(緑色の囲み)。この雲は巻雲よりやや高度の低い巻層雲(うす雲)です。また、その一部にレンズ雲(赤い囲み)が現れています。このような雲は、上空で風が強くなっていて、なおかつ湿った空気が入るときにできます。つまり、天候が悪化するサインとなる雲です。
さらに1~2時間経つと、巻層雲(うす雲)が灰色っぽくなってきて西の空全体に広がってきました。これは高層雲です。太陽がおぼろげに透けて見えるため、「おぼろ雲」とも言われます。巻層雲→高層雲に変わり、西の空から大きく広がるときは、山では数時間後に雨や雪が降り出すことが多くなります。
この時も下の天気図のように、翌日は低気圧や前線が日本列島を挟むようにして通過し、南風が全国的に強まって西日本から雨となりました。
今回の天気変化は、低気圧や前線に伴って天候が悪化する、もっともよく現れるパターンでした。南風が卓越するので、南側に海がある山岳では高層雲が上空に現れると同時に、低い雲が発生して霧に覆われることがあります。天気図から雲の変化の理由について考えてみると、天気が一層面白くなるでしょう。
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文責:猪熊隆之