山の天気予報

ヤマテンからのお知らせや写真投稿などを行います。

猪熊隆之の観天望気講座198回 車窓からアルプスの天気を予想しよう ~特急あずさ・中央道編~

2024-01-19 14:23:24 | 観天望気

東京方面から八ヶ岳や中央アルプス、北アルプス方面に向かうとき、中央線の特急「あずさ」や中央高速道路を利用する方が多いと思います。実は、登山口に向かう道中の車窓からでも分かることが沢山あります。今回は、冬型の気圧配置が強まるときの天気です。

冬になると、日本列島の東側や北側に低気圧、中国大陸に高気圧がある冬型と呼ばれる気圧配置が多くなります。冬型と言えば、日本海側では雨や雪、太平洋側では晴れという天気が代表的ですが、冬型の気圧配置が強まると、北アルプスや御嶽では猛吹雪となり、中央アルプスや八ヶ岳、南アルプス北部でも吹雪となることがあり、稜線では暴風が吹き荒れます。したがって、そのような天気のときは、森林限界を超えるのは危険です。

図1 冬型が強まるときの気圧配置


冬型が強まるかどうかは、予想天気図で確認するのがおすすめです。図1のように、等圧線が日本付近でびっしりと走り、間隔が狭いときは冬型が強いときです。

冬型が強まるときは、特急「あずさ」では勝沼~塩山間で左手に見える南アルプスの山並みに注目します。中央道では、一宮御坂から甲府昭和IC間でほぼ正面に見える南アルプスに注目します。

写真1 塩山付近から西の方角の空。


写真1では晴れている日に見えるはずの間ノ岳や北岳、鳳凰山が雲に隠れています。このような雲に白根三山や鳳凰山が覆われているときは、南アルプスの北部や八ヶ岳、中央アルプスでは吹雪いており、稜線では強風が吹き荒れています。北アルプスでは恐らく猛吹雪となっていることでしょう。

写真2 鳳凰三山~甲斐駒ヶ岳にかかる雲


韮崎を過ぎると左手に鳳凰三山が見えてきますが、写真2のように、山に雲がかかっているときは冬型が強いか上層の寒気が強い証拠です。いずれにしても山は吹雪いていると思った方が良いでしょう。鳳凰三山~甲斐駒ヶ岳でこのレベルだと、八ヶ岳や中央アルプスはもっと悪い天気になっているはずで、北アルプスは猛吹雪や大雪に見舞われることが多くなります。このようなときは、小淵沢付近から雪がちらつき、富士見駅付近では吹雪いていることもあります。

進行方向右側の席を取った場合には、八ヶ岳にかかる雲が参考になります。八ヶ岳にかかる雲から天気を推測する方法は、166回をご参照ください。

https://blog.goo.ne.jp/yamatenwcn/e/31e7d862c5b21b5c161766de111cb9ea

富士山はこのようなときでも晴れていますが、上層の寒気が強いときは、写真3のように、富士山の山頂付近にモクモクとした雲が出ていることがあります。このようなときは、関東平野でも午後、天候が急変する恐れがあります。実際、この日は午後から天候が急変し、都心でも初雪になりました。

写真3 富士山にかかる“やる気”のある雲


また、富士山で東側にたなびいている雲(旗雲 はたぐも)が出ているとき(写真4)は、暴風が吹き荒れている証拠です。このような日は晴れていても上部で行動することは非常に危険です。

写真4 旗雲が出ているときの富士山


車窓からの風景で、このように目的の山の天気が推測できます。ぜひ、活用して安全に登山しましょう。
文・写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)
※図、写真、文章の無断転載、転用、複写は禁じる。

 

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「サンダーバードアルペンフライトパラグライダー」スタートのお知らせ

2024-01-19 11:53:59 | おしらせ

いよいよ、「サンダーバードアルペンフライトパラグライダー」がスタート!日本アルプスの3,000m級の山頂からタンデムフライトを楽しめる、本当に特別なプランです。弊社代表の猪熊が気象アドバイザーを務めさせていただいております。
アルプスの空の旅、一緒に堪能しましょう!


詳しくは下記URLをご覧ください。
https://eruk.co.jp/thunderbird_staff.html

 

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山の天気を学ぶオンライン講座2024年第1回と年間予定ご案内

2024-01-13 10:25:39 | おしらせ

毎年ご好評頂いております山の天気講座につきまして、第1回の講座のご案内と今年の講座のスケジュールについてご連絡いたします。
2024年も引き続き新型コロナウイルス対策を考慮し、また、昨年の皆様のアンケートより、オンライン開催のご要望が多かったため、オンラインでの講座を継続することにしました。

オンライン講座は、やまスクとの共催で年7回の開催を予定しております。初回講座の案内は以下の通りになります。
テーマ:「山の天気の基礎」
日程:2月18日(日) 
申し込み開始時期:本メールをもって申し込みスタートとなります

●初級編「山の天気の基本を学ぼう!」 10:00~11:30
参考資料:山岳気象大全(猪熊隆之著・山と渓谷社)P45~60

●中級編「専門・高層天気図と衛星画像の見方」 13:00~15:00
参考資料:山岳気象大全(猪熊隆之著・山と渓谷社)P89~127

講師:渡部均
※講師は変更となる場合があります。
定員:各回とも70名
開催方法:オンラインZoomウェビナー

オンラインでの講座となりますので、全国の皆様にご参加いただくことができます。
また、通常の机上講座同様、質疑応答も可能となります。(後日、録画分の配信を3週間予定しております)。

参加費につきましては、一般の方とヤマテンフリー会員の方は3,500円ですが、ヤマテンプレミアム会員の方は2,500円となります(初級編、中級編両方をお申込みの方は一般の方とヤマテンフリー会員の方は6,500円、ヤマテンプレミアム会員の方は4,500円と、別々にお申し込み頂くより500円割引になります)。なお、2月16日(金)以降、キャンセル料がかかりますのでご注意ください。

お申し込みやキャンセル料などの詳細は下記URLをご覧ください。
※定員を越えた場合、詳細ページにアクセスできなくなります。お早めにお申し込みください。
お申込時のメールアドレスにつきましては、ヤマテンにご登録いただいているメールアドレス(ログイン時のメールアドレス)をご記入ください。

初級編 
https://shop.yama-school.com/store/products/2024-02-18-weather-basic

中級編 
https://shop.yama-school.com/store/products/2024-02-18-weather-mid

初級編・中級編セット 
https://shop.yama-school.com/store/products/2024-02-18-weather-set

講義を受ける際の操作方法につきましては、下記のやまスクのブログにて詳細な解説が記載されております。サポート体制も整えており、不明な点があっても安心です。
https://www.yama-school.com/blog/how-to-attend-zoom-webinar

2回目以降のオンライン講座日程につきましては、四季の天気についての学びのほか、過去の遭難事例を使ったアクティブラーニング形式での安全登山講座、中部山岳における山域別の気象を学べる講座をご用意いたしました。

・3月10日(日)「春山の気象」と題して
初級「高気圧・低気圧と前線」、中級「春山と低気圧の発達」
・4月10日(水)中部山岳における山域別の気象の特徴(夜開催)
・5月26日(日)「梅雨・夏山の気象」と題して
初級「これだけは知っておきたい!夏山の天気入門と梅雨の気象リスク」、中級「高層天気図から予想する梅雨と夏山の気象リスク」
・9月8日(日)「秋山の気象」と題して
初級「秋山の天気と低体温症を防ぐための知識」、中級「高層天気図から予想する秋山と台風の気象リスク」
・10月15日(火)過去の事故事例をアクティブラーニングで学ぶ(夜開催)
・12月1日(日)「冬山の気象」と題して
初級「雪山初心者のための冬山の天気」、中級「天気図で読む!冬山気象遭難を防ぐ方法」

時間は初級・中級ともに初回と同時刻を予定しております。平日夜開催となる4月10日と10月15日は19時半~21時を予定しております。詳細、申し込み等につきましては、開催時期一か月前を目途に、再度ご案内いたします。
※日程等は一部、変更となる可能性がございます。

ヤマテンの各種講座をご活用いただき、登山をより安全に楽しむための一助としていただければ幸いです。
2024年も相変わらぬご愛顧を頂けますよう、お願い申し上げます。

株式会社ヤマテン
気象講習係

 

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謹賀新年

2024-01-01 09:36:45 | おしらせ

新年明けましておめでとうございます。
平素よりヤマテンをご利用いただき、まことにありがとうございます。

創立13年目を迎える本年も、社員一同、予報検証に日々精進し、スペシャル予報の予報精度を向上してまいります。今夏には、予報期間を3日先まで延長するほか、ノーマル予報に警戒事項を追加するなど「山の天気予報」のバージョンアップにも取り組んでまいります。

また、引き続き、「山頂で観天望気」をおこなっていき、空や雲を見ることの楽しさや、安全登山につながる雲の見方を伝えていきたいと思います。さらに、ご好評いただいているオンライン気象講座を通じて、皆様が山の天気を学ぶ機会を提供してまいります。SNSでの情報発信も積極的に行なってまいります。どうぞご期待ください。

本年も皆様の安全登山のお役に立てるよう、社員一同、全力で気象情報を発表させていただきますので、何卒よろしくお願いいたします。

2024年1月1日
(株)ヤマテン 代表取締役
猪熊隆之

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