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猪熊隆之の観天望気講座127

2019-04-28 23:00:41 | 観天望気

虹のようなものの正体は?

~神秘的な光学現象~

今回は、今日、信州(長野県)や飛騨地方などで見られた虹のような、不思議な現象について解説していきます。

まず現れたのは、比較的良く現れる現象、日暈(ひがさ、にちうん、英名ハロ)です。

写真1 4月28日(日)蓼科上空に現れた日暈(ハロ)

空に浮かんでいる薄い雲は氷の粒でできています。この氷の粒に太陽光が屈折する(折れ曲がる)ことによってできます。光は色によって折れ曲がる角度が違うことにより、色が七色に分かれて見えるのです。

詳細は、観天望気講座93をご参照ください。http://blog.goo.ne.jp/yamatenwcn/e/3f8e6696c91739f680fe1f447cf2236a

続きまして、こちらは比較的珍しい現象、環水平(かんすいへい)アークです。今日、現れた環水平アークはその帯の太さと言い、色の鮮やかさと言い、長さと言い、最高級のものでした。私もこれだけのものを見たのは初めてです。

写真2 蓼科上空(茅野市豊平)で見られた環水平アーク。これだけ鮮やかで長いものは珍しい。

写真3 桜と環水平アーク。中央部が広がっている。

空にある薄い雲は氷の粒(氷晶)でできていますが、環水平アークができるのは、

1.この氷晶が薄くて水平に浮かんでいる

2.太陽光が薄い氷晶の天面(上の面)から横面(横の面)に抜けて2回屈折する

上記の条件がそろったときにできます。ハロと同じように太陽光が氷晶に屈折し、プリズムの原理で色が分かれることによって虹色に見えます。ハロと違うのは氷晶が水平にそろっていないといけないことや、薄い氷晶でないとできない点です。その分、現れる頻度は減少します。

今日はこの2つだけでなく、幻日環(げんじつかん)も見られました。幻日環とは、天頂(私たちの真上にあたる地点)を中心とした太陽を通る光の輪のことです。これも比較的レアな現象で、薄い氷晶(氷の粒)に太陽光が反射して見える現象です。

写真4 蓼科上空に現れた幻日環

このように、今日は3つの光学現象が見られました。中でも環水平アークの規模、鮮やかさは本当に感動ものでした。

文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)

※図、写真、文章の無断転載、転用、複写は禁じる。

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