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父の著書「ヘミングウェイの女性たち」が国書刊行会50周年記念冊子に紹介されたわけ

2022-11-20 | 読書(芸術、文学、歴史)

先週、父の七回忌の法要のために山口の実家に帰省したら、国書刊行会から郵便が届いていると母が言う。なんだろうと見てみたら、同社の創立50周年を記念した小冊子が同封されていた。国書刊行会は、そのお堅い感じの名前とはかけ離れた「世界幻想文学体系」などファンタジーやオカルト系の書物の出版で学生時代から知られていたが、正直、その手のジャンルの好事家でも読書魔でもない私にはあまり縁がなかった。だから、地方の大学で英語を教えていた父が、唯一の書籍「ヘミングウェイの女性たち 作品と伝記の間」を国書刊行会から出すという話を少し不思議な面持ちで聞いた記憶がある。

 

いとうせいこう、奥泉光、京極夏彦といった文筆に携わる著名人約50名が、同社の書物を3冊ずつ推薦した冊子がなぜ送られてきたのだろうと思いながらページをめくってみると、なんと父の本が紹介されていた。紹介者は、「文筆家/編集者/ユーチューバー」の肩書きを持つ吉川浩満氏で、なんとご本人が国書刊行会に入社して初の担当書籍が父の本だったというのであった。「仕事をするだけで勉強になる編集業務の『お得感』に驚嘆すると同時に、その難しさに嘆息した」と紹介文にはある。https://www.kokusho.co.jp/50th/recommend/%e5%90%89%e5%b7%9d%e6%b5%a9%e6%ba%80 (私が選ぶ国書刊行会の3冊。どうやら40周年にも同じ企画があり、こちらも推薦者には著名作家がずらりと並ぶ)

 

今年、自分が本を出すにあたり父の書籍を久しぶりに再読したのだが、過去の論文を下敷きに抑制のきいた文体で書かれており、なかなか頑張っているなと見直したのであった。なぜ、国書刊行会で出版することにしたのかその経緯は聞きそびれてしまったが、巻末の丁寧な索引や主要参考文献を見れば、執筆にあたり私より多くの労力をかけたことが想像できる。こんなところに紹介されていたよ、仏壇に手を合わせながら報告したのであった。

 

 


 

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