G7広島サミットが間もなく開幕するのでというわけでもないが、こちらの本を読んだ。首相在任期間は憲政史上最長の8年7カ月。第一次安倍内閣は2006年9月の発足だから、本書では過去15年以上の政治、経済、外交の主要な出来事を振り返りつつ、その時々の課題と政府の判断の理由を時の最高責任者から聞き取る形となる。 . . . 本文を読む
欧州で5年間にわたり、自動車産業の劇的な変化を取材してきた筆者の結論は、「そのスピードは正確にはわからないし、踊り場もあるだろうが、EVは間違いなく普及する」というものだ。「地球温暖化による気候変動を食い止めるための脱炭素が新しい世界のルールだとすれば、輸送分野(少なくとも乗用車)においてはEVが現状で最も合理的な現実解であり、避けては通れない自動車の新しいルールになりつつある」というのは、世界の自動車産業の動かし難い趨勢なのである。 . . . 本文を読む
約半年ぶりにJR品川駅で降りて構内の書店を覗いたら、新刊書の「売上第3位」の棚に本書があった。著者はエール大学助教授という素敵な肩書きを持ち、最近メディアでも時々名前を見かける若手の論客。パラパラを捲ると刺激的な文字が目に飛び込んでくる。
副題の「選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる」もそうだが、
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新書ながら、鋭い指摘にハッとさせられる内容で2回目を通した。 まず冒頭で意表を突かれたのは、「グローバリズムは既に止まってい る」と著者(中野剛志、柴山桂大)が明確に宣告していることだ。 . . . 本文を読む
2009年の10月の東京モーターショーで、マツダはエンジン、トランスミッション、プラットフォームにいたる一連の「スカイアクティブ」技術群を発表した。当時は、リーマンショックの後遺症で、どの会社も経営的に苦しんでおり、外国メーカーはこぞって東京モーターショーをスキップした。 . . . 本文を読む
アマゾンのカスタマーレビューにも、すでに多くのコメントがあるので、繰り返すこともないが、この本は相当な部分でノンフィク ションだろう。 高圧送電線にテロを仕掛ける話や、原子力規制庁の若手官僚と民放アナウンサー上がりのNPO研究員女性による内部告発など、通俗小説風に 脚色しているのは、たぶん出版社かプロライターによるもので、読みやすくするためだろう。 . . . 本文を読む
事故は収束などしていないことがよくわかる一冊。東日本大震災と福島原発の事故から3年がたち、メディアはそれぞれ特集を組んで、いまだ16万人を超す避難者の生活や帰還の困難を報道はしたが、フクイチの現状を伝えるニュースは、注意しないと目に留まらないほどの量に減っている。そうした中で、この「記者会見」シリーズの第3弾は、汚染水の漏えい問題の深刻さや、避難者支援法の実態など、現状と問題点を分かりやすく整理している。 . . . 本文を読む
昨年末に発足した安倍政権は、デフレ対策を最優先課題に掲げ、量的緩和やインフレターゲットを日銀に迫り、一か月余りで1ドルは78円から92円、ユーロ は120円台まで値上がりし、一挙に大幅な円安に転じた。 円高是正の効果が早くも輸出産業の業績にも表れ、株価も1万1000円台まで上昇した。 アメ リカ市場の回復、ユーロ金融危機の小康状態が、円安の環境を既に用意していたとはいえ、「マラソンを100m走のペースで走っている」と霞が関が評すると いうその果敢な行動、情報発信が成果を生んだことは評価してよいだろう。 . . . 本文を読む
今年読んだ本の中で、最も刺激を受けた一冊といっていいくらいの内容を持つ。 著者は1971年生まれで、東大から経産省に入り、現在は京都大学大学院に出向中という身分だが、経産省が主導するTPP参加を、愚の骨頂と一刀両断する。
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著者は、朝日新聞ロンドン支局特派員の現役記者。今やギリシアからイタリアに飛び火し、欧州のみならず世界を揺るがす不安定要因になっているユーロ危機について、EU各国の状況をこの2年間現地に足を運びながらまとめた本だ。 日本での報道だけだと断片的になりやすい知識を補い、現在の状況を把握する意味で助けになる。 . . . 本文を読む
言わずと知れた元三井住友銀行頭取、初代日本郵政公社社長を務めた西川氏の回顧録である。銀行家の著作が世に出ることは少ない。まして何かとスキャンダル絡みの企業清算が多かった住銀、そして小泉郵政改革の所産だった郵政公社の社長に白羽の矢が立った西川氏の回顧録だから、版元の講談社も力を入れて宣伝しているし、実際売れているようだ。 . . . 本文を読む
既に有名になった前経産省上級官僚の霞ヶ関批判の書であり、今年6月に出たものだ。発売時に手に取ったが、官僚政治の弊害は既に十分にわかっているつもりだから、また同じようなものだろうと買わなかった。今回改めて読んでみると、これまでの脱藩官僚の著した本の中でも、最も核心をついた内容であることがわかった。 . . . 本文を読む
例年より随分早い梅雨明け、その後の猛暑。しかし、節電の効果のせいか、なぜか夜は昨年ほど暑くはない。 震災から4ヶ月が経ち、被災地の復興と福島原発の安定化はいずれも長期戦だし、その間にも放射能汚染された福島産の肉牛が広範囲に流通したことがわかり、消費者は食の不安に怯える。 メルトダウンはおろか、メルトスルーした可能性も指摘される中、本当にどれだけの量の放射能がばら撒かれ、農業や漁業への影響はどこまで深刻なのか判然としない。 避難区域外で高い放射線量とともに暮らさざるを得ない人々は、累積放射能の影響に不安の毎日を送っている。 . . . 本文を読む
GWも終わりに近づいた6日、菅首相が(突然?)静岡県御前崎市の浜岡原発の点検中の3号炉のみならず、運転中の4,5号炉も休止を中部電力に要請した。いまやチェルノブイリを越える放射線を出したといわれる福島第一原発の事故を受けて遅すぎるという声もあるが、東海地震の震源の真上にあるといわれる浜岡であり、識者から危険性が指摘され続けていたので、その行動は高く評価したい。唐突だという地元の声もあるようだが、脱原発への一歩としてこのアクションなのであれば、これをきっかけにメディアや世論を導いていく転換点とすることも可能だろう。単なる一時的な政治的パフォーマンスに終わらないように祈りたい。 . . . 本文を読む
年末年始の読書のハイライトはなんと言っても、年末24日に出版されたばかりのこの本だった。「はやぶさ」ミッションの責任者による、世界初の「小惑星サンプルリターン」プロジェクトのドキュメントは、このプロジェクトの全貌を教えてくれると同時に、なによりも深い感動で心を打つ。「はやぶさ」がオーストラリアの夜空で、輝く火の玉となって大気圏で燃え尽きた映像の背後には、7年にわたる様々な困難を伴った「はやぶさ」運行の日々と、プロジェクトの発案から数えればなんと25年もの歳月があり、この果敢なプログラムが、日本の宇宙開発の歴史において独自の重要な位置を占めていたことがわかる。「はやぶさ」の成功により、少なくとも宇宙開発のこの分野においては、日本が信じられないことながらNASAを凌駕する飛躍を遂げたことがわかる。 . . . 本文を読む