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れいわ元年、日本の社会に新たな光が射した

2019-07-24 | 政治、経済

れいわ元年、日本の社会に新たな光が射した

 

14日間の参院選挙選をへて、日本に新しい希望が生まれたと感じた人が228万人いる。

「無党派層は寝ていてほしい」とかつて政権与党の政治家が言ったというが、今回マスメディアは、強力な政府に忖度したのかごとく、まるで選挙など行われていないかのような低調な報道しかせず、終わってみれば、「与党勝利」と見出しを打ち、「争点なく低投票率」と自らのことは棚に上げて、他人事のような記事を書いた。ここまでマスメディアの劣化を痛切に感じたことはなかった。もはや「報道」という名にはほとんど値しない。

 

こうした意図的な黙殺にもかかわらず、ネット上でもリアルの場である街頭演説でも、大きな関心を集めて山本太郎率いるれいわ新選組は、比例区で4.8%を得票し、2人の障がい者を国会に送りこむことに成功した。 無関心と諦めに覆われた政治の固い岩盤をうがち、熱い血潮を噴出させた。 選挙戦が進むにつれ、れいわの演説会場は、およそ政治集団の催しとは思えない熱気と興奮に包まれていった。

 

「生きているだけで素晴らしい、とみんなが思える社会を実現しよう」と山本太郎が問いかけるだけでは、これほどの説得力は持ちえなかったはずだ。山本が選挙告示ギリギリで擁立した9人の候補者たちは、難病のALS患者、重度の障がい者、元拉致問題被害者会副代表で東京電力エンンジニア(蓮池透)、トランスジェンダーの東大教授、脱サラしたコンビニ店長、ホームレス経験者のシングルマザー、元投資銀行役員、環境活動家、沖縄創価学会の反乱分子と、今の社会問題を代弁する「当事者」たちの一群であった。自らをまだ粗削りで未熟な政治家と認める山本の選挙公約は、これらの候補者たちの弁によって裏付けられ、市民の誰もがいずれかの候補者の言葉に呼応し、共感を呼ぶ形を作り上げた。

 

バックに支援団体など一切持たないれいわの選挙は、文字どおり草の根であり、わずかでも寄付したりボランティア登録すれば、すぐにメールで返事がきて、毎日のように選挙演説の動画やボランティを募るメッセージが送られてくる。 旗揚げから2か月半あまりで最終的に寄付額は4億円を超え、終盤では新聞広告も掲出できたし、街頭集会では、チラシやポスターを持った老若男女のボランティアが堰を切って広場にあふれた。3時間にもおよぶ集会が終わっても、多くの聴衆がテントに殺到し、チラシやポスターを求め、寄付用紙に記入する。山本を始め候補者たちは、すべての希望者一人一人とスマホで写真に収まり、その列は終了後一時間以上たっても途切れない。まるで人気ミュージシャンのライブのような光景が繰り広げられた。「国会にこの10人の面倒くさい当事者たちを送り込みましょう。そうすれば面白くなりますよ」とまくし立てる山本の司会は巧みで、「ない所からとるな。あるところから取れ」といったわかりやすい標語を織り込んだ演説はスッと頭に入ってくる。俳優として磨かれた弁舌の巧みさは、もちろん政治家離れしている。

 

国会で激しい言葉で首相や大臣を追及したり、一人「牛歩」で法案に反対するような山本を「パフォーマンス」、と嫌う向きも少なくなかった。しかし、そのような人も、山本がおちゃらけとは真逆の「ガチンコ」真剣勝負の男であると分かれば一挙にファンになる。視聴者が心を打たれずにはおかれない街頭演説の一つが、「5.5小倉演説」として既に有名だ。 聴衆の一人が、「あんた一人で政治が変えられるんかの?」と皮肉っぽく訊ねたのに回答する山本は、「この国は壊れて行っているじゃないですか。みんな食い物にされているんだって。政治しか変えられないじゃないか。だってみんなに食べさせてもらってるやん、力貸してください」と感極まって涙ながらに訴える。これを見て心を打たずにはいられない。 筆者の友人にも、この動画を見て山本のファンになった人が何人もいる。これほど真剣に弱者を、貧しきものを思いやり、公正な社会を実現しようと全力で立ち向かう政治家は見たことがない。この国でも、もしかしたらもっと公正な社会が、経世済民が実現するかもしれない、そう思わせる誠実と不屈の精神と勇気を、人は山本に見出す。この演説は、支持者から「神演説」と言われているが、山本の魂の叫びがここにあるのだ。

 

山本はどの街宣でも、必ず質疑応答の時間を設けている。これも普通の政治家はやらないことだ。福島駅前での集会では、聴衆の一人が「あなたは風評被害を広めている」と批判したが、これにも、「あるものを隠すのではなく、事実を明らかにし、議論することが大切では」と丁寧に何度も受け答えをして、意見は違うにせよ、質問者もそのことは評価していた。21日、開票センターでれいわの躍進の理由を聞かれた船子靖彦氏は、「山本代表の魅力」と答えていたが、正直であること、誠実であること、人を思いやることが、相手の心をも柔らかくし、自由にすることが山本の振る舞いを見ていると分かる。政治の出発点も人と人の対話であるということを教えられる。ソクラテスも、イエス キリストも、ブッダも親鸞も、このように人の話をよく聞き、優しく手を差し伸べる人であったのではないかと勝手に想像したくなる。 

 

山本を見ていると、アダムスミスやベルグソンが言ったように、人間にとってもっとも貴重な資質は「感情」や「情動」であり、知性はそれを補完し導いていくものだという気がする。一人の人間がすべてを知り、常に完璧であることはできない。豊かな感情と柔軟な心を持つ者は、人や自然との対話によって、常に気づきを与えられ、新しい発見をしていく。 それを導き人間の可能性を絶え間なく広げるのが知性であり、人の一生とはそのわくわくする発見の終わりない旅であるのだと思うのだ。

 

山本太郎とれいわ新選組は、確実に一歩を踏み出した。次に衆院選が訪れても、もやは「れいわの乱」に終わることはなく、「れいわ維新」か「れいわの革命」がこの先実現するかもしれないという希望が生まれた。この感覚は、1992年の日本新党ブームに似ているかもしれない。 しかも今回は殿様の末裔や二世三世議員らではなく、まさに庶民の代弁者の集まりなのだ。 与党は解散に慎重になるだろうが、今から衆院選が待ち遠しい。

 

 

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コメント
 
 
 
れいわの光は地方には届いていません (ヨシダ)
2019-07-25 18:41:36
テレビであまり取り上げられなかったことも影響しているかと思いますが、残念ながられいわ新選組の熱気は地方ではほとんど感じられませんでした。

参議院選の3か月前に設立された政党だから今回は仕方ないと思いますが、れいわ新選組の政策を実現しようとするなら、これからは地方議員を真剣に育成していく必要があると思います。

今回の選挙でN国党が議席を得たのは決してマグレではなく、事前に統一地方選等で30名近い地方議員を誕生させ、参院選地方区には37名も立候補するという戦略を実行したからこそ、全国から票を積み上げて当選を勝ち取ったわけです。

どんなに頑張っても今の野党に政権を取る勢いがないのは地方組織が貧弱だからだと思います。自民党は衆議院の全小選挙区に支部があり、現職の議員または次の選挙の予定候補者がいます。更にそれを支える地方議員がいます。地方組織を固めないと政権は取れない、または取れても長続きしません。

れいわ新選組の政策には、弱者への視線とか原発ゼロとか、私も賛同できるものがたくさんあります。でも、消費税廃止は非現実的なポピュリズムだと思います。

消費税に変わる財源として金持ちから税金を取ろうとすれば、本当の金持ちは日本から逃げ出します(すでに逃げている金持ちも多い)。法人税を上げたら、少子高齢化が進みマーケットが縮小することが明らかな日本市場に投資する企業は減るでしょう。

政権を取り、維持していくためには現実的な政策が必要であり、長期的な視点で痛みを伴う改革を受け入れてもらう様に国民を説得する必要があります。

山本太郎の演説には人の心を動かす力があります。単なる批判勢力ではなく、本気で政権を取りに行って欲しいと願っています。
 
 
 
Unknown (yasu)
2019-08-05 06:57:29
ヨシダさん、いつもコメント有難うございます。ばたばたしており確認するのが遅れました。れいわは確かに地方ではあまり知られていませんね。私の故郷や福岡の友人も知りませんでした。ですが、知らせるとファンになってくれました。野党が継続的な力を持ちえないのは地方組織の力が弱いからというのは全く同感です。一度は政権を取った民主党もそうでしたし、今の立憲もそのままですね。私の故郷でも、自民党は地方行政やコミュニティーのいろんなところに根を張っています。これを覆すのは容易ではありません。
れいわの政策、消費税廃止などについては、確かに目立つために極端に振ったところがあると思います。山本太郎は、実際に政権を取りに行くつもりのようですから、その過程では政策ももう少し現実的なものになるでしょう。今の政治不信の根幹は、国民が政治家を信じていないことですね。その意味で山本太郎なら信用できる、本当の市民の代表として国民のために政治をしてくれそうだ、というのが一番大きいと思います。NHKをぶっつぶす党が地方で沢山擁立していたのはしりませんでしたが、今後、れいわも党勢が増していけば、地方対策も実施していくと思います。山本太郎の真剣さと実行力は、これまでの彼の議員活動で実証されていますし、今回の選挙でも大勝利とはいかなくても、政党要件の獲得、障碍者の国会議員誕生という目標も達成しました。これからも政治を面白くしてくれることは間違いないと思われます。
 
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