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ヒラリーカムバック、オバマを僅差で破る (ニューハンプシャー予備選)

2008-01-09 | バラクオバマと米大統領選
これでさらに面白くなった。ここ数日の世論調査では勢いに乗るオバマ候補が、ヒラリーに10ポイント近い差をつけており圧勝かという雰囲気だったが、蓋を開けてみれば39%対37%という僅差でヒラリーがトップに立った。NPR(National Public Radio)などのメディアの分析では、ヒラリーの逆転の要因は、本人のどぶ板を踏む選挙努力と、6000人ともいわれる運動員で最後まで票の掘り起こしをした結果、まだ決めかねていた無党派層の票を呼び込めたこと。さらに、オバマ圧勝の雰囲気の中で、有権者の心理が抑制に働いたこと。そして、多分一番効いたのが、アイオワと違って今回は女性票がヒラリーに流れたことだ。 ヒラリーが有権者との対話で「選挙戦大変ではないですか」と言われて、思わずemotionalに涙目になったシーンが、全米のTVで何度も流されたが、これはむしろ彼女への同情をさそい、女性票が動いたようだ。 彼女が44歳で若き大統領になった夫ビルの知的に対等なパートナーとして、8年間ホワイトハウスで支えたことなどを思い起こした女性達が目覚めて、支持を表明したということだろう。全米の黒人の比率は13%だが、女性は人口の半分を占めるのだから、同じように政治の舞台で長く脇役に置かれた存在としては、女性のほうが先輩格だともいえるのだから。 

筆者も、父ブッシュからクリントン政権最初の時期にアメリカに在住したし、ヒラリーが政権初期に国民皆保険の実現のために医療保険制度の改革のためにリーダーシップをとって精力的に議会とやりあったのを見てきたし(共和党支配の議会で改革は挫折に終わったが)、それまでの内助の功に徹したFirst lady達とは全く別次元の存在感を示したことをアメリカ国民は皆知っている。そういう意味で、ヒラリーがアメリカの女性のイメージの変革に大いに貢献したことは疑いを入れないし、女性初のアメリカ大統領も可能という認識は、もう長い間アメリカ国民の間にあったのだ。 ヒラリーは大統領ふさわしい資格を備えていると思っている人がマジョリティーであろうし、ましてや、あれだけスキャンダルにまみれたビルや適性を疑いたくなるブッシュでさえ8年も政権にいたのだから、いわんやである。

もちろんオバマ候補との差はわずかだから、これからが本当の戦いになる。 長く支配的だった白人男性ではなく、女性と黒人の一騎打ちということ自体が全く新しいものだし、時代の変化を象徴する出来事だ。 近年これだけ話題になった大統領選も珍しいし、有権者やメディアにとっては全く目の離せない選挙戦であり、政治への関心が近年稀に見るほど高まっていることのプラスは計り知れない。 今後の選挙戦を通して、両候補の政策や考え方がより深く吟味され、有権者も考えることによって、候補者も国民もともに成長する機会が与えられよう。 筆者がアイオワでオバマ候補が勝利した感想を記したブログで、オバマの連勝を必ずしも望まないといったのは、こうしたことを無意識に感じていたからだと思う。

次の予備選は、来週火曜日のミシガンだ。 筆者も住んだこの州は、伝統的に民主党の地盤であり、労組も強い。黒人比率は全体では14%だが、最大都市デトロイトでは8割近かったはず。オバマ氏にやや有利という気がするが、さてどう出るか。しばらくCNNとNPRと睨めっこが続きそうである。

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