ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『九月になれば』を観て

2020年09月02日 | 1960年代映画(外国)
『九月になれば』(ロバート・マリガン監督、1961年)を観た。

ニューヨークの若き実業家ロバート・タルボット。彼は毎年9月、ローマの恋人リーザとイタリア避暑地の海沿いの別荘で1ヵ月ほどヴァカンスを楽しむ。
だが今年は7月に突然イタリアにやってきたタルボットは、早速「別荘で会おう」とリーザに電話する。
そのリーザ、タルボットがいつまでもプロポーズしないため諦めてイギリス人のスペンサーと結婚しようとしていたところ。
驚いた彼女はとりあえず、急いで別荘に向かうことにした。
 
こちらは、別荘を管理している執事のクラベル。
主人の留守中は別荘をうまく利用しようと、その間はリゾートホテルとして営業している。
そこへ主人のタルボットがやってきて、クラベルは大慌て。
タルボットは、自分の別荘に若い娘たちがはしゃぎながら部屋に入っていくのを見て、ビックリ・・・

タルボットは、何でここに他人であるアメリカの女学生たちがいるのかクラベルに問い詰めるが、クラベルの方はノラリクラリ上手に話を切り返す。
学生の一人、心理学専攻のサンディ。言いくるめるクラベルの話を信じ、戦争で精神がダメージを受けてここのオーナーづもりのタルボットの精神を救おうと頑張る。
しかし残念なことに、このことで真相がばれてしまい、クラベル、クビを言い渡される。

そんなこんなで、そこへ、タルボットが別荘にやってくる道中、車で抜きつ抜かれつした4人組のアメリカ青年もやってくる。

このようにして話は、イタリアの陽光の明るさとマッチしてうまくシナリオに乗り、ドンドン飽きもさせずテンポよく進む。
そしてトラブル続きであっても、これは正真正銘の素敵なロマンティック・コメディとして最後は花開く。

その妙は人間関係。
タルボットとリーザ、サンディに対し車でやって来た青年のトニー、この二組の恋のやり取り。
サンディの保護者気分になったタルボットは、サンディにトニーを寄り付かせないようライバル意識をチラつかせる。
一方リーザは、サンディに恋について示唆したりする。
そのリーザにトニーは憧れに近い感情もある。
その他に、主人トニーと執事クラベルの主従トラブルや、女子学生たちの付添いアリソンとクラベルの恋愛絡みも出てくる。

いずれにしても、青春を謳歌することに前向きの若者たちと、少し上世代のタルボットとリーザの恋愛やり取り。
何とも言えない懐かしさを含んだあの時代のほのぼのとした雰囲気に、無条件に浸ってしまう。
そして、これはいい、と堂々と叫んでもいいやと思ったりする。

タルボットがロック・ハドソンで、リーザはジーナ・ロロブリジーダ。
片やトニーはボビー・ダーリンであり、サンディがサンドラ・ディー。
このコンビが何とも言えない。
もっともこれが縁でボビー・ダーリンとサンドラ・ディーは結婚したりと、オマケがつく。

この作品の主題曲、ボビー・ダーリンの『九月になれば』は、シングル盤のレコードを十代に買って今だに持っている。
だから、昔から一度は観てみたいと思っていた映画である。
それが今ごろになってやっと叶えられたということになる。
それとダブって、ボビー・ダーリンと言えば、彼の半生映画『ビヨンド the シー 夢見るように歌えば 』(ケヴィン・スペイシー監督、2004年)も観ているなぁ、と思い出したりする。

九月になれば / ボビー・ダーリン楽団【YouTubeより】


コメント (2)
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