女郎花そも茎ながら花ながら 與謝蕪村
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女郎花(オミナエシ)は学名Patrinia scabiosaefolia Fisch.、オミナエシ科、オミナエシ属の多年草である。オミナエシを基原植物とする生薬は「敗醤」(はいしょう)で、性味は苦、辛、微寒、帰経は肺経、大腸経、肝経、効能は清熱解毒、破瘀排膿である。『金匱要略』には腸廱を治療する排膿解毒薬として「敗醤」を用いた薏苡附子敗醤散が挙げられている。腸廱は、急性虫垂炎、腹膜炎、ダグラス窩膿瘍などの腹腔内の種々の感染症、腹腔内膿瘍を指す。
「腸癰の病たる、其の身甲錯、腹皮急、之を按せば濡かに、腫状の如く、腹に積聚なく、身に熱なく、脈数なるは、此れ腹内に癰膿ありとなす。薏苡附子敗醤散之を主る。
薏苡仁附子敗醤散方 薏苡仁十分 附子二分 敗醤五分
右の三味を杵いて末となし、方寸匕を取り、水二升を以て、煎じて半ばを減じ、頓服す。小便まさに下るべし。」
(「金匱要略」、第十八瘡癰・腸癰・浸淫病、脉証治)
「なうその花な折り給ひそ。花乃色は蒸せる粟の如し。俗呼つて女郎とす。戯れに名を聞いてだに偕老を契ると云へり。ましてやこれは男山の名を得て咲ける女郎花の。多かる花に取り別きて。など情なく手折り給ふ。あら心なの旅人やな。」
(「女郎花」(ヲミナメシ))
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「草の花は瞿麦。唐のはさらなり。日本(やまと)のも、いとめでたし。
女郎花。桔梗。牽牛子。刈萱。菊。壺菫。 龍胆は、枝ざしなどもむつかしけれど、異花どもの、みな霜枯れたるに、いと花やかなる色あひにてさし出でたる、いとをかし。」
(「枕草子」、第六十四段)
参考資料:
萩谷朴校注:新潮日本古典集成「枕草子 上」, 新潮社, 1977
清水孝之校注:新潮日本古典集成「與謝蕪村集」, 新潮社, 1979
廿四世宗家訂正著:「観世流大成版 女郎花」, 檜書店, 1998
何任著, 勝田正泰監訳:「金匱要略解説」, 東洋学術出版, 1988
三橋博監修:「原色牧野和漢薬薬草大圖鑑」, 北隆館, 1988
南京中医薬大学編著:「中薬大辞典 上」, 上海科学技術出版社, 2006
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女郎花(オミナエシ)は学名Patrinia scabiosaefolia Fisch.、オミナエシ科、オミナエシ属の多年草である。オミナエシを基原植物とする生薬は「敗醤」(はいしょう)で、性味は苦、辛、微寒、帰経は肺経、大腸経、肝経、効能は清熱解毒、破瘀排膿である。『金匱要略』には腸廱を治療する排膿解毒薬として「敗醤」を用いた薏苡附子敗醤散が挙げられている。腸廱は、急性虫垂炎、腹膜炎、ダグラス窩膿瘍などの腹腔内の種々の感染症、腹腔内膿瘍を指す。
「腸癰の病たる、其の身甲錯、腹皮急、之を按せば濡かに、腫状の如く、腹に積聚なく、身に熱なく、脈数なるは、此れ腹内に癰膿ありとなす。薏苡附子敗醤散之を主る。
薏苡仁附子敗醤散方 薏苡仁十分 附子二分 敗醤五分
右の三味を杵いて末となし、方寸匕を取り、水二升を以て、煎じて半ばを減じ、頓服す。小便まさに下るべし。」
(「金匱要略」、第十八瘡癰・腸癰・浸淫病、脉証治)
「なうその花な折り給ひそ。花乃色は蒸せる粟の如し。俗呼つて女郎とす。戯れに名を聞いてだに偕老を契ると云へり。ましてやこれは男山の名を得て咲ける女郎花の。多かる花に取り別きて。など情なく手折り給ふ。あら心なの旅人やな。」
(「女郎花」(ヲミナメシ))
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「草の花は瞿麦。唐のはさらなり。日本(やまと)のも、いとめでたし。
女郎花。桔梗。牽牛子。刈萱。菊。壺菫。 龍胆は、枝ざしなどもむつかしけれど、異花どもの、みな霜枯れたるに、いと花やかなる色あひにてさし出でたる、いとをかし。」
(「枕草子」、第六十四段)
参考資料:
萩谷朴校注:新潮日本古典集成「枕草子 上」, 新潮社, 1977
清水孝之校注:新潮日本古典集成「與謝蕪村集」, 新潮社, 1979
廿四世宗家訂正著:「観世流大成版 女郎花」, 檜書店, 1998
何任著, 勝田正泰監訳:「金匱要略解説」, 東洋学術出版, 1988
三橋博監修:「原色牧野和漢薬薬草大圖鑑」, 北隆館, 1988
南京中医薬大学編著:「中薬大辞典 上」, 上海科学技術出版社, 2006