
惜牡丹花二首 白居易
其一 翰林院北庁花下作
惆悵階前紅牡丹、晩来唯有両枝残。
明朝風起應吹盡、夜惜衰紅把火看。
惆悵(ちょうちょう)す 階前の紅牡丹
晩来 唯だ両枝の残れる有り。
明朝風起らば 應に吹き盡くすべし
夜 衰紅を惜みて 火を把りて看る
其二 新昌竇給事宅南亭花下作
寂寞萎紅低向雨、離披破豔散隨風。
晴明落地犹惆悵、何况飄零泥土中。
寂寞(せきばく)たる委紅 低れて雨に向ひ
離披(りひ)たる破豔(はえん) 散りて風に隨ふ
清明 地に落つるも 猶ほ惆悵す
何ぞ況んや 泥土の中に飄零(ひょうれい)するをや
(惜牡丹花二首│岡村繁著:新釈漢文大系「白氏文集 三」, p139-140, 明治書院, 1988)
六条摂政かくれ侍りて後、植ゑ置きて
侍りける牡丹の咲きて侍りけるを折りて、
女房のもとより遣はして侍りければ
形見とてみれば嘆きのふかみ草なになかなかのにほひなるらん
新古今和歌集・巻第八 哀傷歌 大宰大弍重家
ちりて後おもかげにたつぼたん哉
夜半亭蕪村句集 蕪村
