器のこと 2023-05-14 | 日記・エッセイ 花器という名を冠するも花を挿すことを拒む器がある。外に開いた口はあるが、挿した花を鎮めず浮き上がらせる器がある。そうかと思えば、拙い手に委ねられた花を恬然と容れて自ずから定まる器がある。 “器の大きさ”の違いは外物の受容性にある。貪着で塞がれた、あるいは取捨の分別に縛られた器がある。反対に、来り寄るものを泰然と擁し、また其の去るを止めず、無尽の空(うろ)を蔵することも忘れた器がある。 « 残春に餞すべし│花信 | トップ | 大和未生流研究会の花│2023年5月 »