2020-0915-man3718
万葉短歌3718 家島は3455
家島は 名にこそありけれ 海原を
我が恋ひ来つる 妹もあらなくに 〇
3455 万葉短歌3718 ShuH249 2020-0915-man3718
□いへしまは なにこそありけれ うなはらを
あがこひきつる いももあらなくに
〇=作者未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第141首。「回来筑紫(つくし)海路入京到播磨(はりま)国家島(いへしま)之時作歌五首」の第1首。男。
【訓注】家島(いへしま=伊敝之麻)[下記注]。海原(うなはら=宇奈波良)。我が恋ひ来つる(あがこひきつる=安我古非伎都流)。
【編者注-家島諸島】「家島諸島(いえしましょとう)は、瀬戸内海東部の播磨灘(姫路市から沖合い約18km)にあり、東西26.7km、南北18.5kmにわたり大小40余りの島嶼で構成される諸島。2006年、諸島全域が兵庫県姫路市に編入される。兵庫県の淡路島・香川県の小豆島・本州に囲まれている。・・・家島本島の真浦、宮が中心集落で、古くから天然の良港として瀬戸内海航路の要地、避難港であった。(Wp に拠る)
2020-0914-man3717
万葉短歌3717 旅にても3454
旅にても 喪なく早来と 我妹子が
結びし紐は なれにけるかも 〇
3454 万葉短歌3717 ShuH224 2020-0914-man3717
□たびにても もなくはやこと わぎもこが
むすびしひもは なれにけるかも
〇=作者未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第140首。「竹敷浦・・・歌十八首」の第18首。男。
【訓注】旅(たび=多婢)。喪(も=毛)。我妹子(わぎもこ=和伎毛故)。
2020-0913-man3716
万葉短歌3716 天雲の3453
天雲の たゆたひ来れば 九月の
黄葉の山も うつろひにけり 〇
3453 万葉短歌3716 ShuH224 2020-0913-man3716
□あまくもの たゆたひくれば ながつきの
もみちのやまも うつろひにけり
〇=作者未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第139首。「竹敷浦・・・歌十八首」の第17首。男。
【原文】15-3716 安麻久毛能 多由多比久礼婆 九月能 毛美知能山毛 宇都呂比尓家里 作者未詳
【編者注-ながつき】集中に13か所。原文表記はすべて「九月」。
2020-0912-man3715
万葉短歌3715 ひとりのみ3452
ひとりのみ 着寝る衣の 紐解かば
誰れかも結はむ 家遠くして 〇
3452 万葉短歌3715 ShuH224 2020-0912-man3715
□ひとりのみ きぬるころもの ひもとかば
たれかもゆはむ いへとほくして
〇=作者未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第138首。「竹敷浦・・・歌十八首」の第16首。男。
【訓注】ひとりのみ(比等里能未)。着寝る衣(きぬるころも=伎奴流許呂毛)。
2020-0911-man3714
万葉短歌3714 秋されば3451
秋されば 恋しみ妹を 夢にだに
久しく見むを 明けにけるかも 〇
3451 万葉短歌3714 ShuH224 2020-0911-man3714
□あきされば こひしみいもを いめにだに
ひさしくみむを あけにけるかも
〇=作者未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第137首。「竹敷浦・・・歌十八首」の第15首。男。
【訓注】秋されば(あきされば=安伎佐礼婆)。夢にだに(いめにだに=伊米尓太尓)。
2020-0910-man3713
万葉短歌3713 黄葉は3450
黄葉は 今はうつろふ 我妹子が
待たむと言ひし 時の経ゆけば 〇
3450 万葉短歌3713 ShuH224 2020-0910-man3713
□もみちばは いまはうつろふ わぎもこが
またむといひし ときのへゆけば
〇=作者未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第136首。「竹敷浦・・・歌十八首」の第14首。男。
【訓注】黄葉(もみちば=毛美知婆)。今はうつろふ(いまはうつろふ=伊麻波宇都呂布)。我妹子(わぎもこ=和伎毛故)。
2020-0909-man3712
万葉短歌3712 ぬばたまの3449
ぬばたまの 妹が干すべく あらなくに
我が衣手を 濡れていかにせむ 〇
3449 万葉短歌3712 ShuH223 2020-0909-man3712
□ぬばたまの いもがほすべく あらなくに
わがころもでを ぬれていかにせむ
〇=作者未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第135首。「竹敷浦・・・歌十八首」の第13首。男。
【訓注】ぬばたまの(奴婆多麻能)。我が衣手(わがころもで=和我許呂母弖)。
2020-0908-man3711
万葉短歌3711 我が袖は3448
我が袖は 手本通りて 濡れぬとも
恋忘れ貝 取らずは行かじ 〇
3448 万葉短歌3711 ShuH223 2020-0908-man3711
□わがそでは たもととほりて ぬれぬとも
こひわすれがひ とらずはゆかじ
〇=作者未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第134首。「竹敷浦・・・歌十八首」の第12首。男。
【訓注】恋忘れ貝(こひわすれがひ=故非和須礼我比)[06-0964恋忘貝、07-1147恋忘貝、など集中に5か所]。
2020-0907-man3710
万葉短歌3710 潮干なば3447
潮干なば またも我れ来む いざ行かむ
沖つ潮騒 高く立ち来ぬ 〇
3447 万葉短歌3710 ShuH223 2020-0907-man3710
□しほひなば またもわれこむ いざゆかむ
おきつしほさゐ たかくたちきぬ
〇=作者未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第133首。「竹敷浦・・・歌十八首」の第11首。男。
【訓注】いざ行かむ(いざゆかむ=伊射遊賀武)[間投詞「いざ」訓の原文は、多く「去来」「率」]。潮騒(しほさゐ=志保佐為)。
2020-0906-man3709
万葉短歌3709 家づとに3446
家づとに 貝を拾ふと 沖辺より
寄せ来る波に 衣手濡れぬ 〇
3446 万葉短歌3709 ShuH223 2020-0906-man3709
□いへづとに かひをひりふと おきへより
よせくるなみに ころもでぬれぬ
〇=作者未詳。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第132首。「竹敷浦・・・歌十八首」の第10首。男。
【訓注】家づとに(いへづとに=伊敝豆刀尓)[0306、2326、など参照]。
【原文】15-3709 伊敝豆刀尓 可比乎比里布等 於伎敝欲里 与世久流奈美尓 許呂毛弖奴礼奴 作者未詳
2020-0905-man3708
万葉短歌3708 物思ふと3445
物思ふと 人には見えじ 下紐の
下ゆ恋ふるに 月ぞ経にける 阿倍継麻呂
3445 万葉短歌3708 ShuH223 2020-0905-man3708
□ものもふと ひとにはみえじ したひもの
したゆこふるに つきぞへにける
〇阿倍継麻呂(あへの つぎまろ)=第3656歌参照。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第131首。「竹敷浦・・・歌十八首」の第9首。男。左注に、「右一首大使」。
【訓注】物思ふ(ものもふ=毛能毛布)。下紐(したひも=之多婢毛)。
2020-0904-man3707
万葉短歌3707 秋山の3444
秋山の 黄葉をかざし 我が居れば
浦潮満ち来 いまだ飽かなくに 大伴三中
3444 万葉短歌3707 ShuH223 2020-0904-man3707
□あきやまの もみちをかざし わがをれば
うらしほみちく いまだあかなくに
〇大伴三中(おほともの みなか)=第3701歌参照。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第130首。「竹敷浦・・・歌十八首」の第8首。男。左注に、「右一首副使」。
【訓注】黄葉(もみち=毛美知)。浦潮満ち来(うらしほみちく=宇良之保美知久)。
2020-0903-man3706
万葉短歌3706 玉敷ける3443
玉敷ける 清き渚を 潮満てば
飽かず我れ行く 帰るさに見ゆ 阿倍継麻呂
3443 万葉短歌3706 ShuH223 2020-0903-man3706
□たましける きよきなぎさを しほみてば
あかずわれゆく かへるさにみゆ
〇阿倍継麻呂(あへの つぐまろ)=第3700歌参照。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第129首。「竹敷浦・・・歌十八首」の第7首。男。左注に、「右一首大使」。
【訓注】玉敷ける(たましける=多麻之家流)。清き渚(きよきなぎさ=伎欲吉奈芸佐)。帰るさ(かへるさ=可反流左)[「<さ>は<さま>と同源」]。
2020-0902-man3705
万葉短歌3705 竹敷の3442
竹敷の 玉藻靡かし 漕ぎ出なむ
君がみ船を いつとか待たむ 玉槻
3442 万葉短歌3705 ShuH223 2020-0902-man3705
□たかしきの たまもなびかし こぎでなむ
きみがみふねを いつとかまたむ
〇玉槻(たまつき)=前歌参照。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第128首。「竹敷浦・・・歌十八首」の第6首。女。左注に、「右二首対馬娘子名玉槻」。
【訓注】竹敷(たかしき=多可思吉)。玉藻(たまも=多麻毛)。靡かし(なびかし=奈婢可之)[下記注]。み船(みふね=美布祢)。
【編者注-〈なびかふ〉関連】02-0194(長歌)靡相之(なびかひし)、-0196(長歌)靡相之(なびかひし)、07-1396於礒将靡(いそになびかむ)、10-2013靡見者(なびかふみれば)、15-3705多麻毛奈婢可之(たまもなびかし)。
2020-0901-man3704
万葉短歌3704 黄葉の3441
黄葉の 散らふ山辺ゆ 漕ぐ舟の
にほひにめでて 出でて来にけり 玉槻
3441 万葉短歌3704 ShuH223 2020-0901-man3704
□もみちばの ちらふやまへゆ こぐふねの
にほひにめでて いでてきにけり
〇玉槻(たまつき)=(次歌左注に)対馬娘子(つしまをとめ)。「竹敷にいた遊行女婦」。
【編者注】遣新羅使人等の歌(3578~3722、一四五首)の第127首。「竹敷浦・・・歌十八首」の第5首。女。次歌左注に、「右二首対馬娘子名玉槻」。
【訓注】黄葉(もみちば=毛美知婆)。にほひにめでて(尓保比尓米■弖〔■=偏:人+旁:弖〕)。
【2020年09月01日】2010年11月01開設から 3591日
【アクセス数】トータル閲覧数984566PV トータル訪問数281481UU