百姓通信

自然と素直に向き合い、全身で風を感じて私は百姓しています。
①土づくり②循環型③無農薬・無化学肥料④永続性を大切に!

遺伝子組み換え作物

2006-10-27 22:44:30 | 農業
アメリカで遺伝子組み換え作物の栽培が始まって10年。その技術の進歩は日進月歩のようだ。人間のエゴと欲の固まりのような遺伝子組み換え作物は、以前は除草剤を蒔いても枯れないのものが主であったが、現在は害虫にも強い、干ばつにも強い、窒素吸収力が高い等様々な特徴を併せ持つようになっているという。そういう何種類もの特性を併せ持つ作物を育てている農家は「今年は、害虫もいなくなった。殺虫剤を使わずに育てることが出来るようになったので、うさぎなどの野生動物が増えてきた。」と自慢しているという記事が載っていて、結びに「・・・日本との技術格差は拡がる一方だ。」と取材記者はまとめている。
人間のエゴで除草剤を蒔いても枯れない特性を埋め込んだ作物の栽培を進め、その作物の種を独占して販売する。資本主義の原理原則のようだが、“種”の独占は市場を思いのままに操ることが可能になる。本当にそういう欲望が認められて良いものなのか。除草剤を蒔いても枯れない遺伝子をもった作物を、我々は直接食しているわけではないが、間接的には食している。現在輸入している飼料の多くは遺伝子組み換えと思っても間違えではないだろう。
害虫に強い??作物ということは、害虫が食べると死んでしまう植物だということなのに、野ウサギが増えてきたと環境の改善を喜ぶ農家はあまりにも悲しい。今は良いが、近い将来どういう社会が待っているか、安易に想像がつく・・・害虫が食べて死んでしまう植物を、ウサギや人間が食べても死なないとは決して言えない。干ばつに強い植物は一見、異常気象の多発する現代社会にマッチした植物のようにみえるが、現代社会が持つ技術をもっと違う方面で活用し、植物の本来持っている生命力をもっと活用する方向で考える方が理想的ではないか。窒素吸収力を高めるというのも、窒素だけを高めることで、作物内の栄養に異常は来たさないのか、植物は窒素だけで育っているわけではない、すべてがバランスの中にあり、多様性の中の共生であるということに早く気づき、立ち止まり、後戻りすることが人類の正しい選択なのではないか。