百姓通信

自然と素直に向き合い、全身で風を感じて私は百姓しています。
①土づくり②循環型③無農薬・無化学肥料④永続性を大切に!

干潟とトンボ

2007-04-21 21:22:16 | 環境
干潟というと、海という発想になるが、湖にも干潟はある。多くの内湖を有していた琵琶湖はその大半を干拓地としてしまい、今更のように考えるともったいないことをしたものだ思う。干潟は自然の宝庫で、生物多様性の故郷のような生態系を維持していた。古事記では日本のことを「豊葦原水穂国(とよあしはらみずほのくに)」すなわちアシの繁った湿地に作物が豊かに実る国と紹介している。また本州のことを「秋津嶋(あきつしま)」とよんだりしていることから(「秋津」というのはトンボの古名。)おそらく葦原が豊かに茂ってトンボがたくさん飛び回っている国ということになるのだろう。
話は変わるが、トンボを一生懸命育てている農家があるという。彼は「田んぼを単なる食料を生み出す場として捉えるのではなく、湿地帯として見るんです。湿地帯がないと森が機能しないし、森が機能しないと海が豊かになれない。湿地帯、森、海が一体となって自然を形成している。自然はひとつのいのちだから、田んぼを健康にすることが、地球の環境問題にまでつながっているっていうことを実感したんです。湿地帯の王様はとんぼでしょ。だからとんぼが飛び立つような田んぼ作りだと。」 という。なるほど!!!
話を戻して、そんな干潟も、埋め立てられた干拓地と干潟のまま水を堰き止め農地として活用している干潟にわけられ、琵琶湖の場合は干拓されて早くも今年でもう40年になる。少し発想を変えて、トンボの育つ葦原と田んぼとの共生が考えられたら、新しい地域のあり方が、少しはみえてくるような気がする。
※写真は大中の広大な農地