ここでいう保守系議員とは、かつての自民党を中心とした55年体制の流れをくむ議員のことを言っているのですが、私自身も自民党員であり保守系の議員です。ただし、一口に自民党と言っても従来の幅広い考えを集約した党の体制であったことや、地方議員にとっては地域の代表の要素が大きいのであまり従来のイデオロギーに左右される考えは持っていません。従来の中央集権的な体制の中では、体制内における政治的実現を目指したほうがよいという考えもありました。とすれば勢い右肩上がりの成長戦略として自由主義的な自己責任を重んじる主張の中で、福祉政策よりも成長のための投資政策に重点を置くことになります。しかし、その成長戦略がことごとく失敗し、失われた20年と言われた時、国民生活の実態と大きく乖離してしまった現実に気づかざるをえません。自民党も福祉政策を怠ってきたわけではないと思うのですが、膨らむ社会保障に対する認識が甘かったことは認めなければならないでしょう。前にも少し述べましたように、自民党議員がどうしても福祉政策に弱くなる理由もここにあるのではないかと思っております。もちろんすべての議員がそうであるとは言いませんが、主張としては弱かったと思うのです。
福祉政策といえば、革新系政党や革新議員の主義主張だと思われているようなところがあります。しかし、今やこの課題は党派を超えて議論していく必要があり、多少の強弱の思いはあっても早急に取り組む政治課題であるような気がしてなりません。今の消費税議論にしてもその絵が描かれないまま単なる税率の議論に終始していることを見るとき、なぜか空しい気がします。年金問題も医療制度の改革も問題提起されてからただ時間が過ぎて行っているのではないでしょうか。
このような福祉政策の転換に際して、地方ができる、また地方議員ができる裁量はかなり限定されるため、歯がゆい思いをしているのは私だけではないと追います。このような思いから、昨年から希望して厚生委員の担当となり、勉強してきたつもりですが、絶えず制度という壁にぶつかってしまいますし、地方行政の限界を感じています。先月に国民健康保険の議会質問をしましたのも、何とかしたいという思いが強く、地方ができる範囲で制度不備を補っていかなければという要望になりました。
福祉政策は旧来のイデオロギー的な考えではもう解決できない段階に来ています。国への要望もさることながら、対立する組織にとらわれることなく地方政治の在り方を考える良い機会であるととらえ、福祉政策の議論をしっかりとしていかなければならないと思っています。ときどき、「民主党や共産党と一緒にやっている」という批判がありますが、そいう問題ではないことを付け加え、理解していただくことを望んでいます。
以上