最近、本を読んでいますと、自分自身の思い込みや理解不足を否応なく感じさせられます。昔に比べれば、いろいろなジャンルの本を読むようになったこともあるでしょうが、自分の知識不足を今さら嘆いても仕方ないのかもしれません。
例えば、山岸俊男著「安心社会から信頼社会へ」(中央公論新社)を読んで、必ずしも日本人は他人を信頼していないという実証実験が載っています。日本が世界の中で信頼社会であると言われるのは、旧来からの慣習や制度の上に成り立っているのであり、それによって安心社会だと言われているというものです。網野善彦著「日本とは何か」(ちくま学芸文庫)を読むと、日本は農業社会という常識を考え直さなければなりません。商業貿易が中世から盛んに行われ、ある意味歴史の表に出ない歴史の裏の社会の成立によって、信用取引である為替もはやくから発達していることが示されています。マイケル・サンデル著「これからの正義の話をしよう」(早川書房)では、資本主義が持つ人間の尊厳に対する危うさを感じさせられました。
いずれにしても、常識を常識としてとらわれない、多面的な視点で物事をとらえるべきだということをつくづく知らされます。『脚下照顧』とは、自己を見つめなおすということですが、自らの戒めとしたいと思っております。
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