「いぶし銀」という言葉が気になるのは齢をとった証し。
そういうアーチストに憧れるし、自らもそう言われたらなあと心のどこかで願っている。
郷里の音楽仲間H君から、ボズ・スキャッグスのジャズアレンジ譜が入手できないかと問われた時、初めてボズがジャズを手がけていたことを知った。
まさに「いぶし銀」というべき落ち着いたヴォーカルでファンの多い彼がジャズを歌えばいいに違いない。
そしてボズの新しいアルバムが今月発売されるようだ。
ダイジェストを聴けば、スティーヴミラーバンドを思い起こすようなサウンド、キューバンミュージック、南部のアメリカンロック、などなどオムニバスアルバムを聴くようにイメージが次々と湧いてくる。
先日Oさんから送られてきたブラジルレコーディング音源を聴いて、現地のスリリングなバッキングに感動した。
ピアノにしても、ベース、ドラムス、とにかく滑らかだ。
譜面を見ながら弾いているのではない、発露する表現力がすごい。
楽器を弾いているというより、お香を焚いているそんな香りが漂ってくるような音の流れを感じた。
これはミュージシャンの力量によるものが大きいと思うが、レコーディングエンジニアの耳による世界がきっと異なるのだと思う。
現地に赴いたOさんの「1970年代の音にこだわっている」という情報が嬉しい。
そうか、やっぱり70年代の完成度への回帰はブラジルにも伝播していたか、と。
いや、ひょっとすると70年代の栄光がそのまま引き継がれているのかもしれない。
「TEMPO」の早い、遅いではなく、ゆとりのある音楽が聴きたい。
それはジャンル分けされた音楽世界でなく、「いぶし銀」と評されるアーチストの手がける音楽を指している。
グラスを片手にゆっくり聴きたいと思わないだろうか?
美しい人と。
ボズ・スキャッグス『ア・フール・トゥ・ケア』ダイジェスト試聴
Boz Scaggs
Boz Scaggs ''Skylark''