私が子供の頃。今月58歳になるので、50年前くらいの頃ですが、結構、停電であった気がします。
でも、今は台風などの災害や、何かの事故でという事はあるかもしれませんが、あまり停電を経験することがなくなりました。
これは30年以上前の話ですが、東京の日野という所に出張してした仕事の話です。
あるメーカー系の会社の仕事をしたのですが、そこは、例えば発電所などの制御をするシステムを開発している会社でした。
そこには、体育館の何倍にもなるような場所に、発電所などに納入される大型の制御盤が所狭しと置いてありました。先日、川内原発が再稼働した際のニュース映像で、原発を稼働させるために、オペレーターの方が操作し、稼働状況が表示される映像が出ていたと覆いますが、壁いっぱいに置かれた大型のシステムです。
そこで私が担当したのは、停電が発生した時に、影響を最小限にするための電力会社向けのシミュレーションをするシステムを開発する仕事でした。
説明を言葉で書きますので、想像してみて下さい。
『変電所』というのがあります。
変電所を中心として、何本もの電線が放射線状に延びています。その電線を横につなぐ電線が張り巡らされています。イメージは、『蜘蛛の巣』です。
横につなぐ電線にはスイッチが付いています。このスイッチは通常「閉じる(オフ)」になっています。
一方、縦に放射線状に延びた電線には、一定間隔でセンサーが付いています。このセンサーは、電線から電源をとっています。
変電所にあるコンピュータから、縦の電線にあるセンサーに対して、『お前、生きてるかー』という問合せをします。電線から電気が流れているセンサーは、『生きてまーす』と返事を返します。これを、1本の電線にあるいくつものセンサーに対して、順番に、繰り返し繰り返し問合せを続けています。
数日前に、千葉県で竜巻が発生して、電柱が折れていました。前回の台風で、電線が切れて垂れ下がっている映像もありました。
また、交通事故で、車が電柱にぶつかり、電線が切れる事もあります。
そういう異常が起こると、先ほどの『お前、生きてるかー』の問合せに対して、電線が切れて電源をとれなくなったセンサーは返事ができなくなります。すると、変電所のコンピュータは、どの電線の、どこのセンサーが返事をしなくなったかを認識します。そして、その先にどれだけの電力需要があるかを計算します。
工場などがあれば、多くの電力が必要になります。
変電所のコンピュータは、返事をしなくなったセンサーの先にある、横につなぐ電線にあるスイッチを「開く(オン)」に切り替えて、隣の電線から、切れた先の電線に電気を流します。隣の電線だけでは足りない場合は、更に隣の電線との間の横につなぐ電線のスイッチも「開く」にして必要な電力を賄います。
こうする事で、電線か切れた場所の短い区間だけが停電して、その先は通常と変わらない状態で電力を供給するようにしています。
どこで異常が発生し、その先の電力需要を計算し、どこのスイッチを「開く」にするかをシミュレーションするシステムを開発していたのですが、何が楽しかったか。
そんな仕組みがある事自体を知らなかったので、良く考えられているなーと感心した訳です。
この仕事に携わらなければ知らない事でした。
初回の打合せの時に、電柱に手動のスイッチがあるという話を聞きました。
電柱の上から、スイッチを操作するロープの様なものがぶら下がっているのが、それですよ。と言う説明を受けました。
初回の打合せの日の帰り、私は電柱を見上げながら帰りました。確かにありました。
知らなければ、知らない世界と言うか。知らなくても困らないのですが、私達の生活は、そう言う知らないところで、誰かが考えて、工夫して、守ってくれているので支えられているのです。
昨日のブログで、夜中の保線作業の事をお伝えしました。終電から始発までの真夜中の時間に、保線などの作業をして、レールや設備の保全をしてくれているので、私達は安全に鉄道を利用できているんですね。
長くなりましたが、そう言う、印象に残った仕事でした。
もちろん、今はもっと進んでいると思います。
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