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映画「否定と肯定」 ヒトラーを免罪する論ー日本でも似たようなことがあるのでは?

2018年03月29日 | 政治・社会
 見たのは「否定と肯定」というアメリカとイギリスの合作映画で、一般の映画館では昨年12月の上映されたとのことでした。厚木のアミューで見たこの映画は、ナチスドイツによるユダヤ人虐殺の事実を矮小化したり、無かったとする歴史学者が現れ、それへの反論の著作を書いた女性歴史学者が逆に名誉棄損で裁判に訴えられるという事実をもとに映画化したものでした。

 ネオナチズムの人々は、アウシュビッツ収容所はなかったとか、ヒトラーによるユダヤ人強制移動はなかったという言説をなし、歴史的な虐殺の事実をなかったことにする歴史修正主義の立場で人々に偽造された歴史を広めています。

 これに対して学問的な立場から、確定されている事実さえも変えてしまうこれらの運動に、真っ向から反論すべく現地に足を運び、生き残りの人々の思いも聞いて告訴を受けて立ったのが主人公でした。訴えられた側に立証責任があるというイギリスの司法制度の中で、多くの有能な弁護士や学者に支えられて、さまざまな証拠を集めこの似非学者の「ホロコースト否定論」を論破し、裁判でも勝利するまでの格闘を描いた法廷作品でした。

 この映画の法廷では、ネオナチズムの歴史学者アーヴィングの著作の意図的なことが明らかにされます。つまり、弁護側の歴史学者により、彼は事実を反対に描いたり、現地の収容所にガス室があるにもかかわらず、消毒のための施設だと強弁するなど、ヒトラーの蛮行をなかったことにすることを主目的にしている事が明らかにされます。

 と同時に、この学者は、差別主義者であることも彼自身の言動によって明らかにされます。彼が講演で話したことや記録などにより、女性への蔑視と、ユダヤ人などへの人種的な偏見の持ち主であることが法廷の場とマスコミによって明らかになり判決が下されたのでした。

 なお、アメリカのジョージア州アトランタのエモリー大学で教鞭をとる原作者のデボラ・E・リップシュタットが昨年10月末に来日したそうですが・・・。原作となった著書の翻訳本「否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる戦い」も文庫で販売されています。

 この映画を見ながら、いろいろなことが思い浮かびました。

 ①日本にもある「南京事件はなかった」という主張。本を出版する学者や会社とそれに賛同する人の「人数が違う」「民間人の中に兵士が紛れていたじじつもある」などを 理由に、生存者の証言や当時同盟国であったドイツの記者も報告があるのに、歴史修正主義の立場からの言動はこの映画と同じようなことを主張しています。
  文科省もそれ を理由に教科書では両論があるという立場です。歴史的事実と言われたことに異論を出すことにより、人々に疑問を抱かせ、結果的に虐殺などの事実を軽 くしたり、無かったことにするという効果があげられます。 

 ②また、森村誠一氏が「悪魔の飽食」などで知らせた石井部隊による人体実験などを否定する論も出ています。アメリカ軍が資料を持ち去ったり、焼却してりして、当時の 担当者が出世したりるという事実がある中で、否定論が出てくるということは、戦争に向き合ってきた日本の私たちの問題でもあると思います。

 ③今、国会で論議されている森友問題です。財務省による公文書改ざんという恐るべきことがあり、内閣も吹っ飛んでしまうような犯罪ですが、政権は国民が一度大きな支 持を与えてしまったために圧倒的な多数の力で押しきろうとしています。
  佐川氏の国会証言を聞いていれば異常であることがわかります。答弁拒否の中にこそ真実があるのでしょう。これも映画とダブってきます。
 
 公文書の在り方を変えるようですが、結論だけ残して経過は一切残さないなど「簡素」にして公開されても国民はなにもわからないという方向になるのではと心配です。映画では、ネオナチズムの似非学者がヒトラーを免罪にするために動きましたが、わが国では?


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