政府から独立した立場で政策提言をする「科学者の国会」とも呼ばれるのが、「日本学術会議」です。菅首相はその学術会議の会員選任に当たり、政権と異なる意見の学者を排除するという暴挙に出ました。
しかも、排除して理由も明らかにしないのですが、安保法などに反対の意思表示をした学者が多いといいます。中には、加藤陽子東大教授のように、小泉政権下で公文書の在り方にかかわってきた人もいます。公文書を隠匿したり破棄したりしてきた政権の官房長官として、都合の悪いことの一つなのかと疑ってしまいます。
これらは今までに無かったことで、学術会議の独立性や学問の自由を侵害に当たると批判されています。
菅首相は安倍元首相の下、官房長官として二人三脚で憲法を無視する行動や立法をしてきました。安倍政治を継承するという首相の、「意にそぐわないものはやめさせる」という会見での民主主義を理解しない発言を実行に移したということでしょうか。
安倍政権下で、内閣法制局長官のすげ替えや、検事総長人事への介入などをやってきて、人事によって支配することのうまみに慣れてしまい、道理と法による民主主義的な政治をする感覚もなくしてしまったのでしょうか。
安倍政治の独裁的な手法を引き継ぎ、学問の世界さえもイエスマンで固めるという発想です。トップに立つ者の最もしてはいけないことと言われます。
国民には、携帯の値下げなど支持を得られやすい、いわばニンジンをぶら下げて目くらましをして、本音の所では「恐怖政治」的な人事で始末する発想です。いずれ多くの国民にも真実がわかってしまうのではないでしょうか。多様な価値観を認めあうという社会の流れに逆行するものです。同じ価値一色に染めないと気がすまないとしたら、新たな全体主義ではないでしょうか。