①文科省作成 中学校道徳教材「私たちの道徳」(後註1)で引用されている曽野綾子氏の言葉
≪人生において何が正しいかなんて誰にもわからないのだから、自分の思うとおりに進んで、その結果を他人の責任にしないことが大切ではないかと思う。≫P27
誰でもいうような至極もっともな言葉ですね。これは、誠実ということを教える教材に白洲次郎(「プリンシプルを持って生きていれば人生に迷うことはない。」)と井上ひさし(「ある選択をするということは、その選択によって生まれるはずのマイナスをすべて背負うぞということでやんしょ。」)とともに載っている言葉です。
目立つのは三人の中で生存している方が取り上られているという事ぐらいでしょう。
なぜ問題だというのでしょうか。
②曽野氏の思想や発言
*沖縄戦について
=沖縄戦での集団自決強要はなかったとする人物です。
集団自決は、それこそ文科省検定の歴史教科書にさえ載っている歴史的事実です。
*沖縄や基地反対運動への蔑視
=「沖縄は元来資源もなく産業も発達していないので貧しい。基地問題で騒げばカネが出ることを学んで、「騒げば金が出る」というメンタリティーが沖縄の人たちに根付いている」(2007年雑誌「will」12月号)。
*人種差別
=産経新聞紙上でアフリカなどのアパルトヘイト<人種差別>を公然と発言。人種別に住む地域を分けるなどという差別は、ヒトラーの時代や、長い間アメリカの人種差別問題などを当然知っていての発言でしょう。次は金持ちと貧乏人、頭の良い人と悪い人と差別して住まわせますか。当然批判が巻き起こりました。クリスチャンでボランテイア活動もやり、他方ではこのような大衆侮蔑主義、差別主義者と批判される面も。
*女性蔑視
=「甘ったれた女性社員たちへ〜私の違和感、出産したらお辞めなさい」(「週刊現代」2013年8月31日号/講談社に寄稿)そこで、「彼女たちは会社に産休制度を要求なさる。しかし、あれは会社にしてみれば、本当に迷惑千万な制度だと思いますよ。」
法律で保障されている制度を「迷惑千万」とは!出産も安心してできないと苦しんでいる人や、そんな社会の仕組みを何とかしようと取り組んでいる人々への会社の立場?にたった「女性は家庭に入れ」と侮蔑発言。
*ご本人の子育ては?
=一人息子の育児経験について別の著書では、彼女の両親が離婚して母親と同居して、その母親が息子の面倒を見てくれたと発言しています。
これを受けて、夫の三浦朱門氏も「息子は彼女の母親が育てたようなものですね」と証言。 自分自身は息子の世話を実母に丸投げしておいて、働く女性たちには「出産」したらお辞めなさい」と説教していたということです。(なお、この三浦朱門氏も中教審委員の時に、「できない子はできないままで結構」などと差別的な発言をしたことで有名。)
*人権を要求することを侮蔑する発言
=人権は日本国憲法でも第十一条で「<基本的人権はおかすことができない永久の権利>として現在および将来の国民に与えられる」と定めるほど、普遍的なものです。曽野氏はこの人権を「要求してはいけないこと」の一つに挙げています。(「人生の基本を忘れた日本人、この世の偽善」PHP研究所)
③子どもたちはたまらない!
=このような差別的な考えの人が文科省の作成した中学校の「私たちの道徳」に「誠実」を教える人物として登場するのです。安倍政権が進める「道徳」がどのようなものか想像がつきます。
子どもたちが曽野氏がこのような発言をしている人物と知ったらどうでしょうか。反面教師に使ってくださいと登場させたわけではないでしょう。
「自由や人権は国民が不断の努力によって保持しなければならない」と、憲法第12条で念を押しているほど、この自由や人権は権力者や、それに同調するものによっておかされる心配があることを見すえていたのでしょう。
この曽野氏のような影響力がある人の発言には、特にいろいろな場で意思表示しないことには、秘密保護法などを見ればわかるように、自由や人権は簡単に奪われてしまうと歴史は教えてくれていると思います。
(後註1)
先日の中教審の答申で、道徳の「特別教科」化が事実上決定しました。現在「教科外活動」である道徳が格上げされて成績評価対象となり、検定教科書も導入されます。安倍首相の宿願である愛国心教育、今年4月から道徳教育の教科化に先立ち、文部科学省が『私たちの道徳』の教材を配布しています。学校で、道徳性まで評価されるのですが、「愛国心がある」などとは、どのようにして調べるのでしょうか、そして基準は誰が決めるのでしょうか。戦前の修身の評価を経験した人はどう思うでしょうか。
≪人生において何が正しいかなんて誰にもわからないのだから、自分の思うとおりに進んで、その結果を他人の責任にしないことが大切ではないかと思う。≫P27
誰でもいうような至極もっともな言葉ですね。これは、誠実ということを教える教材に白洲次郎(「プリンシプルを持って生きていれば人生に迷うことはない。」)と井上ひさし(「ある選択をするということは、その選択によって生まれるはずのマイナスをすべて背負うぞということでやんしょ。」)とともに載っている言葉です。
目立つのは三人の中で生存している方が取り上られているという事ぐらいでしょう。
なぜ問題だというのでしょうか。
②曽野氏の思想や発言
*沖縄戦について
=沖縄戦での集団自決強要はなかったとする人物です。
集団自決は、それこそ文科省検定の歴史教科書にさえ載っている歴史的事実です。
*沖縄や基地反対運動への蔑視
=「沖縄は元来資源もなく産業も発達していないので貧しい。基地問題で騒げばカネが出ることを学んで、「騒げば金が出る」というメンタリティーが沖縄の人たちに根付いている」(2007年雑誌「will」12月号)。
*人種差別
=産経新聞紙上でアフリカなどのアパルトヘイト<人種差別>を公然と発言。人種別に住む地域を分けるなどという差別は、ヒトラーの時代や、長い間アメリカの人種差別問題などを当然知っていての発言でしょう。次は金持ちと貧乏人、頭の良い人と悪い人と差別して住まわせますか。当然批判が巻き起こりました。クリスチャンでボランテイア活動もやり、他方ではこのような大衆侮蔑主義、差別主義者と批判される面も。
*女性蔑視
=「甘ったれた女性社員たちへ〜私の違和感、出産したらお辞めなさい」(「週刊現代」2013年8月31日号/講談社に寄稿)そこで、「彼女たちは会社に産休制度を要求なさる。しかし、あれは会社にしてみれば、本当に迷惑千万な制度だと思いますよ。」
法律で保障されている制度を「迷惑千万」とは!出産も安心してできないと苦しんでいる人や、そんな社会の仕組みを何とかしようと取り組んでいる人々への会社の立場?にたった「女性は家庭に入れ」と侮蔑発言。
*ご本人の子育ては?
=一人息子の育児経験について別の著書では、彼女の両親が離婚して母親と同居して、その母親が息子の面倒を見てくれたと発言しています。
これを受けて、夫の三浦朱門氏も「息子は彼女の母親が育てたようなものですね」と証言。 自分自身は息子の世話を実母に丸投げしておいて、働く女性たちには「出産」したらお辞めなさい」と説教していたということです。(なお、この三浦朱門氏も中教審委員の時に、「できない子はできないままで結構」などと差別的な発言をしたことで有名。)
*人権を要求することを侮蔑する発言
=人権は日本国憲法でも第十一条で「<基本的人権はおかすことができない永久の権利>として現在および将来の国民に与えられる」と定めるほど、普遍的なものです。曽野氏はこの人権を「要求してはいけないこと」の一つに挙げています。(「人生の基本を忘れた日本人、この世の偽善」PHP研究所)
③子どもたちはたまらない!
=このような差別的な考えの人が文科省の作成した中学校の「私たちの道徳」に「誠実」を教える人物として登場するのです。安倍政権が進める「道徳」がどのようなものか想像がつきます。
子どもたちが曽野氏がこのような発言をしている人物と知ったらどうでしょうか。反面教師に使ってくださいと登場させたわけではないでしょう。
「自由や人権は国民が不断の努力によって保持しなければならない」と、憲法第12条で念を押しているほど、この自由や人権は権力者や、それに同調するものによっておかされる心配があることを見すえていたのでしょう。
この曽野氏のような影響力がある人の発言には、特にいろいろな場で意思表示しないことには、秘密保護法などを見ればわかるように、自由や人権は簡単に奪われてしまうと歴史は教えてくれていると思います。
(後註1)
先日の中教審の答申で、道徳の「特別教科」化が事実上決定しました。現在「教科外活動」である道徳が格上げされて成績評価対象となり、検定教科書も導入されます。安倍首相の宿願である愛国心教育、今年4月から道徳教育の教科化に先立ち、文部科学省が『私たちの道徳』の教材を配布しています。学校で、道徳性まで評価されるのですが、「愛国心がある」などとは、どのようにして調べるのでしょうか、そして基準は誰が決めるのでしょうか。戦前の修身の評価を経験した人はどう思うでしょうか。
国語や修身では、低学年では、「肉弾三勇士」や「軍神 広瀬中佐」「東郷平八郎」などなど。やがては
大東亜共栄圏のもと、八紘一宇の精神で侵略戦争に突き進む。
そして、敗戦。
先日、国会で自民党議員が、「八紘一宇」は良いことだと言っていが、敗戦後70年経って、この言葉を耳にして驚いている。侵略戦争の反省など求めても、無い物ねだりか!
戦争体験のない私でさえびっくりしました。まして、木漏れ日さんのように体験者は、亡霊がよみがえってきたように思うでしょう。
しかも、私より若い女性の自民党議員の口から出るのですから。その意味するところを知っていていうのでしょうね。
戦争スローガンの一番の柱を国会で肯定する時代になって来た、まさに「今は戦前」とだれか言っていたのですが。
これからも体験者の声をいっぱい発信してください。
なお、曽野綾子氏への関心も高く、この記事を大勢の方が読んでくれています。ありがとうございます。
17のつく日に平和を願う女性の行動日に参加しています。
多くの女性が参加していますが、このような人々こそ、道徳にふさえわしいですよね。
権利の学習が子どもたちには必要です。