著者は想田和弘氏。氏は1970年生まれでドキュメンタリー映画を作製し、アメリカの映画賞を受賞、氏の映画「テレビ」は世界200ヵ国近くで上映とのことです。
岩波ブックレット70ページの小冊子 600円+税でした。
この本は著者の次のような問題意識で書き始められています。(はじめにの項より)
・日本の政治の民主主義がいつまでも続かないのではないかという危惧を持ったということです。
その理由として次に三つのことをあげます。
①公務員や労働組合、知識人など次から次へと〈敵〉を作り出しては攻撃する橋下氏の登場に、主権 者の多くは溜飲を下げ、拍手喝采を送り、一部を除くマスメディアも賛美したこと。その後の維新 の会の結成と躍進、民主主義とは真逆のような人たちが民主的な手続きで急速にのし上がる光景を 目の当たりにしてからと言います。
②そこに、現行の民主主義を否定する自民党改憲案と自民党の躍進。
③日本国民はと言えば、歴史的な低投票率で、半分近くの主権者が投票しませんでした。成人の二人 に一人は、投票する権利を放棄することによって、民主主義の終了をめざす政党に圧倒的な議席を 与えてしまったのです・・・・・・・・。
つぎに目次にそって、私の関心のある項目を見ていくことにします。
第一章 言葉が「支配」するもの=橋下支持の「謎」を追う
・「橋下氏の言葉の感染力」では、人々の不満や懸念を掬い上げ、理性ではなく感情に訴える能力に たけていること。「民意」「決定できる政治」「既得権益」「税金で飯食う官僚」「文句あるなら やってみろ」等々。
・彼が次々と過激なネタを提供して、それが毎日のようにメディアにのり、ニュース報道を操ってい るかの如くエスカレートし、彼の宣伝になり支持率を上げることにつながった。
第二章 安倍政権を支えているのは誰なのか?
・「日本国憲法に点る黄信号」=改憲を掲げる自民党だけではなく、「みんなの党」「維新の党」な ど自民党以上に右翼的な側面を持つ党が抬頭してきていることにより憲法が危ない、民主主義が危 なくなっている。
(共産党や社民党以外の民主党は創憲、公明 党は加憲などあいまいさがあります。:自註)
・菅官房長官の言葉
「あたらしい日本をつくるために、自分たちの手で憲法を改正する。まずは96 条から変えていきたい。」を引いて、
自民党の憲法案での新しい日本とは、「国民の基本的人権が制限され、個人の自由のない、国家権 力がやり放題できる、民主主義を捨てた全体主義の国家」となるのではと危惧しています。
・自民党案の九章「緊急事態」は、ナチスの全権委任法と同じで、政府批判する個人は逮捕、新聞社 やテレビを閉鎖、宣戦布告も自由にできるうえ、徴兵拒否者は逮捕できると指摘しています。
(戦前の国家総動員法下の日本も同じです。現行憲法ではこんなことは決めていません。:自註)
・このように政治家がやりたい放題できるのは、主権がある民衆にこそ決定権がありますが、その国 民がどうも?ではないかと疑問を呈しています。
(首相自身もあの戦争の結果できた現行憲法の重みが分かっていないのではないか。:自註)
第三章 「熱狂なきファシズム」にどう抵抗するか
・「麻生発言が露呈したもの」では、麻生副総理の発言を紹介しつつ、現状がその通り進んでいるこ とに警鐘を鳴らしています。
麻生発言は「今回の憲法の話も、・・・・。静かにやろうやと。憲法はある日 気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。誰も気づかない で変わった。あの手口学んだらどうかね。ワーワー騒がないで。」。
麻生氏の言う通り、安倍政権は着実に実行しつつあります。
・「政治に無関心」「投票に行かない」という結果が何をもたらすか。政治をサービスとみなす、消 費者民主主義になっていないかとも問います。サービスが悪ければ買わないというのと同じで投票 にも棄権するということが何をもたらすかと私たちに熟考を促します。
・著者は『選挙』上映中止事件などを経験し、一人一人が直面したら逃げないことが必要と、日常の 小さな闘いの積み重ねの大切さを強調します。
・不断の努力が民主主義を守る=日本国憲法第12条:この憲法が国民に保障す る自由及び権利は。 国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。
(憲法制定時に、国民がしっかりしないと権力者の思い通りになるぞと、今日の事態を想定してい たかのような12条です。:自註)
・民主主義破壊に抗していくには、スーパーヒーローはいない。一人一人が少数意見を大切にして筋を通していく・・・・こととしています。
(自註とあるのは私の見解です)
****
私は、この重い話と結論に対して、一つ著者の触れていない部分に焦点を当てることが大切と思い ます。
それは、結果として自民党の大勝ですが、比例区の自民党の票を見ると、そう多くはないこと、多 くの議席は小選挙区制度という非民主的な装置によって得たものであることです。
ですから、これからはこの4割の得票で7割以上の議席を独占できる不公平な部分にメスを入れるよ うに選挙制度に関心を持ち、民意を反映する比例代表制に切り換えてくことだと思います。
それにしても、大勝した政権のやっていることを監視していかねばならないことは確かです。
そして、この非民主的な小選挙区制を導入したのが細川内閣の時であり、応援団だったマスメディ アであるということも忘れてはいけないでしょうね。
岩波ブックレット70ページの小冊子 600円+税でした。
この本は著者の次のような問題意識で書き始められています。(はじめにの項より)
・日本の政治の民主主義がいつまでも続かないのではないかという危惧を持ったということです。
その理由として次に三つのことをあげます。
①公務員や労働組合、知識人など次から次へと〈敵〉を作り出しては攻撃する橋下氏の登場に、主権 者の多くは溜飲を下げ、拍手喝采を送り、一部を除くマスメディアも賛美したこと。その後の維新 の会の結成と躍進、民主主義とは真逆のような人たちが民主的な手続きで急速にのし上がる光景を 目の当たりにしてからと言います。
②そこに、現行の民主主義を否定する自民党改憲案と自民党の躍進。
③日本国民はと言えば、歴史的な低投票率で、半分近くの主権者が投票しませんでした。成人の二人 に一人は、投票する権利を放棄することによって、民主主義の終了をめざす政党に圧倒的な議席を 与えてしまったのです・・・・・・・・。
つぎに目次にそって、私の関心のある項目を見ていくことにします。
第一章 言葉が「支配」するもの=橋下支持の「謎」を追う
・「橋下氏の言葉の感染力」では、人々の不満や懸念を掬い上げ、理性ではなく感情に訴える能力に たけていること。「民意」「決定できる政治」「既得権益」「税金で飯食う官僚」「文句あるなら やってみろ」等々。
・彼が次々と過激なネタを提供して、それが毎日のようにメディアにのり、ニュース報道を操ってい るかの如くエスカレートし、彼の宣伝になり支持率を上げることにつながった。
第二章 安倍政権を支えているのは誰なのか?
・「日本国憲法に点る黄信号」=改憲を掲げる自民党だけではなく、「みんなの党」「維新の党」な ど自民党以上に右翼的な側面を持つ党が抬頭してきていることにより憲法が危ない、民主主義が危 なくなっている。
(共産党や社民党以外の民主党は創憲、公明 党は加憲などあいまいさがあります。:自註)
・菅官房長官の言葉
「あたらしい日本をつくるために、自分たちの手で憲法を改正する。まずは96 条から変えていきたい。」を引いて、
自民党の憲法案での新しい日本とは、「国民の基本的人権が制限され、個人の自由のない、国家権 力がやり放題できる、民主主義を捨てた全体主義の国家」となるのではと危惧しています。
・自民党案の九章「緊急事態」は、ナチスの全権委任法と同じで、政府批判する個人は逮捕、新聞社 やテレビを閉鎖、宣戦布告も自由にできるうえ、徴兵拒否者は逮捕できると指摘しています。
(戦前の国家総動員法下の日本も同じです。現行憲法ではこんなことは決めていません。:自註)
・このように政治家がやりたい放題できるのは、主権がある民衆にこそ決定権がありますが、その国 民がどうも?ではないかと疑問を呈しています。
(首相自身もあの戦争の結果できた現行憲法の重みが分かっていないのではないか。:自註)
第三章 「熱狂なきファシズム」にどう抵抗するか
・「麻生発言が露呈したもの」では、麻生副総理の発言を紹介しつつ、現状がその通り進んでいるこ とに警鐘を鳴らしています。
麻生発言は「今回の憲法の話も、・・・・。静かにやろうやと。憲法はある日 気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。誰も気づかない で変わった。あの手口学んだらどうかね。ワーワー騒がないで。」。
麻生氏の言う通り、安倍政権は着実に実行しつつあります。
・「政治に無関心」「投票に行かない」という結果が何をもたらすか。政治をサービスとみなす、消 費者民主主義になっていないかとも問います。サービスが悪ければ買わないというのと同じで投票 にも棄権するということが何をもたらすかと私たちに熟考を促します。
・著者は『選挙』上映中止事件などを経験し、一人一人が直面したら逃げないことが必要と、日常の 小さな闘いの積み重ねの大切さを強調します。
・不断の努力が民主主義を守る=日本国憲法第12条:この憲法が国民に保障す る自由及び権利は。 国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。
(憲法制定時に、国民がしっかりしないと権力者の思い通りになるぞと、今日の事態を想定してい たかのような12条です。:自註)
・民主主義破壊に抗していくには、スーパーヒーローはいない。一人一人が少数意見を大切にして筋を通していく・・・・こととしています。
(自註とあるのは私の見解です)
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私は、この重い話と結論に対して、一つ著者の触れていない部分に焦点を当てることが大切と思い ます。
それは、結果として自民党の大勝ですが、比例区の自民党の票を見ると、そう多くはないこと、多 くの議席は小選挙区制度という非民主的な装置によって得たものであることです。
ですから、これからはこの4割の得票で7割以上の議席を独占できる不公平な部分にメスを入れるよ うに選挙制度に関心を持ち、民意を反映する比例代表制に切り換えてくことだと思います。
それにしても、大勝した政権のやっていることを監視していかねばならないことは確かです。
そして、この非民主的な小選挙区制を導入したのが細川内閣の時であり、応援団だったマスメディ アであるということも忘れてはいけないでしょうね。
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