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映画『風立ちぬ』を観ましたか?

2013年09月08日 | 日記・思い出
 映画「風立ちぬ」を観ました。話題のスタジオジブリ、宮崎駿監督のアニメ作品です。作家堀辰雄の同名の小説を下敷きにして、主人公などは実在の堀越二郎を配して、飛行機好きの少年がついには戦闘機「零戦」をつくる設計士になります。その間のロマンスも描かれていました。   
 
 原作『風立ちぬ』は高校時代に読み、節子(映画では菜穂子)の薄幸な生涯と愛しあう二人に魅かれ、さまざまな空想をしたことを思い出します。この映画に当たり、再度読んでみました。ここでは、サナトリウムの自然の移ろいが作者の心象風景のように細やかに描かれています。映画とは違って、主人公は作者の分身でしょうか、そして節子の衰えていく様も描いてあります。

 さて、この映画は、初めて実在の人物をモデルにした作品で、監督の集大成とのことでした。今までの宮崎作品のインターテイメント性とメッセージ性に共感を持ってきていたので期待していました。
 
 震災時に主人公が少女を助けるヒューマンあふれる行動や、一流のものを生み出そうとする一途さと能力は、さすが凡人にはないものです。
 その背景としての時代を表す生活や自然風景には懐かしさと感動を覚える描き方でした。

 しかし、いろいろな場面のすばらしい自然の風景にもかかわらず、何か違うという思いが次第にわいてきました。
 見終わっても今までのジブリ作品の時とは違って、何かすっきりとしませんでした。

 私が釈然としなかった理由。
 一つには、表向き戦死者も戦争に苦しむ人々も登場しないので、それらを排除して高度な技術を最高とする考えによって支えられている気がしました。
 主人公と友人が、戦闘機(零戦)を造るのですが、優れたものをつくることに情熱を傾ける純粋さに焦点を当てるあまり、人を殺すことへの苦悩や葛藤には目をつぶっているように思います。
 「あの時代をひたむきに生きた青年」を描くとした作品としては、青年期特有の正義感などがどこかに描いてあるのかと探す思いで観ましたが、残念ながら見つけられませんでした。
 どのように技術が優れているとしても、戦闘機は戦争のためであり、人々の死への思いや苦悩が描かれないのは不思議なことだと思いました。
 本当は、それらを表す抽象化したものでもあったのに私が見つけられなかったのか?
 
 技術の発達が戦争とともにあったことは事実としても、その技術が何をもたらすかが見えてこなかったのは残念です。
 この発想ならば、原爆や残酷な武器を発明した科学者も純粋に取り組んでだとして賛美されることになるのでしょうか。

 二つ目は、改憲や解釈などで、集団的自衛権によって戦争ができる国にするという政治勢力が大きくなり、国の右傾化への心配が国内外から高まっている時になぜ、この作品?ということです。どんな風が立ち上がってくるというのでしょうか。
 それとも、メッセージがどこかにあったのを見落としたのかなあ・・・・。

 今までのジブリ作品とのかかわりや、監督の発言との関わりなどについては論ずる力はないので感想のみにましましたが、映画を見た方はどんな感想を持ったのでしょうか。


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