19日に、戦争法案(安保法案)を自公政権に野党3党を抱き込んで強行採決しました。当日の様子は、TVでも放映されましたが、前日に横浜と東京で公聴会を開き、それを討論に反映させずに、しかも締めくくりの討論もカットしての強行採決でした。
この安保法案は戦争法と言われるように、70年間の戦争しない日本をアメリカの戦争に加担させる内容が中心でした。採決の問題点を私なりに今までの新聞やネットの情報をもとに考えました。
①始まりは「アメリカ議会での約束」
この法案は、安倍首相がアメリカ議会で、日本の国会を無視して「8月までに成立させる」と約束してきたことから直接的には始まりました。こんなアメリカの属州の首相のような発言には驚きました。(これも実は確信犯的な発言で、自民党内や国民、野党に覚悟させることにねらい? もっとも、本当の始まりは、国会で明らかになったように昨年のうちから自衛隊幹部がアメリカ軍にそのことを話していたのでした。「軍部の暴走」の戦前を想起します。シビリアンコントロールは有名無実になり始めている?)
②閣議決定と、その根拠
戦争しない国から戦争する国へ、180度転換するのに閣議決定という暴挙です。しかも、歴代自民党政権自体が集団自衛権は違憲として認めてこなかったことを、50年も前の最高裁砂川判決を根拠と突然言い出して、しかも内閣法制局の長官を代えて。
よく安倍首相や高村氏がTVなどでも根拠は最高裁砂川判決にあり、そこで認められていると言っていました。この判決は占領中に米軍基地を存続させるために出されたもので、何ら集団的自衛権などは問題になっていなかった時期のものです。
③砂川判決のおどろく背景
しかも、驚くことに、2008年アメリカの議事録ですでに明らかにされていますが、当時のアメリカ政府の基地を残す方針のもとに裁判をアメリカの指示と誘導によって進行したというのです。それに基づき、1959年に田中耕太郎長官は基地の存続を認めるとともに、「安保条約のような高度に政治的な問題は憲法判断をしないでよい」という判決を下したというのです。これは今に続く、各地に騒音訴訟などの違憲訴訟で憲法判断せずに「門前払い」をする根拠になり、日米安保条約については治外法権になっていて、憲法は機能しないという驚く状態になっているというものです。一票の格差でも、「違憲状態」までは言いますがあとは、現状追認ですね。最高裁は憲法判断をする終審裁判所と憲法88条で規定しているのですよ。こんなものを根拠にして、アメリカの要請によって閣議決定をしていくことの狡猾さに権力の本質を見ます。(註1)
④違憲の法案であること
閣議決定から、法案の討論の過程では、憲法が違憲であることが憲法学者はじめほとんどの国民によって指摘されていました。討論の中では、アメリカ軍の武器を運搬することや、後方支援(兵站)は事実上の戦争行為であることなどが明らかになり、それは違憲そのものであることが分かりました。また自衛隊員は、直接日本のためではなく、アメリカのために戦闘に加わることになり、大義がないうえ、大きなリスクになるものであることがわかりました。(若者の命を軽んじるのは、イスラム国に殺された後藤さんの時の首相の 演説や行動を考えるとわかるのではないでしょうか。)
⑤政府の説明の詭弁と変化
当初、安倍首相などは、説明図を出して、日本人を助けるアメリカの船守るとか、ホルムズ海峡での事態に備えるなどをしきりに言っていました。所がこれが実情と違うことが明らかになりました。安保法案の始めの理由は、崩れたのだから、本来は立法する根拠がないのだから、廃案にすべきですが、今度は急に、北朝鮮と中国の脅威を言いだして、宣伝し始めました。中国の強引な政策に反発を持っている国民が多いことや、もともとある反中国、反北朝鮮の感情へ訴えるつもりだったのでしょう。
⑥理解が深まって、国民は立ち上がった
違憲の法案、戦争するための法案、徴兵制になる危険性など、絶対許せない戦争法案であることが広く国民に分かってきました。
これに対して、政府は、法案に反対が多いことに対して、「理解が深まっていない」ので「丁寧な説明」をしていくと繰り返していました。討論すればするほど、政府の答弁が「ウソの説明」「事実隠蔽の説明」など、ちぐはぐで、信用できないことが明らかになり、多くの国民は「これは危険だ。成立させてはいけない法案だ。」と、確実に理解したので、集会やデモに参加したのでした。大きな牽引力になったのは、SEALDsの学生でしたが、若者に触発されて多くの市民が駆けつけました。家庭の主婦や会社帰りのサラリーマンなど、いろいろな分野の人たちが文字通り「総がかり行動」に立ち上がったのは周知のことです。 私も微力ながら、諸集会に参加して意思表示はしましたが、これからも続けていかねばという思いです。
⑦これから=憲法を取り戻す
「今まで戦争しない国として、世界各国から尊敬される国でしたが、憎悪の対象の国になる可能性がある」とも言われますが、現実の世界を見ると大げさではないでしょう。
東京新聞紙上、歴史家の保阪正康氏は日本は「準戦時体制」に入ったと言っていました。(註2)
憲法が無視され、立憲主義なんてという政治家がいて、このまま官邸の思い通りの政治がすすめられる先が心配です。
すでに、秘密保護法ができ、学校教育でも「教科書採択の異常さ」「教育委員会制度の改悪」「道徳教育の教科化」など戦前復帰が少しずつ進められている今が、大変な時代に入っているのだという思いです。
戦争は突然やってくるのではなく、国民の気づかないうちに、少しずつ進められて気づいた時にはもう後戻りができない状態になっているといいます。あの麻生財務相が「ナチスに学べ」いっていたではないですか。
政府が狙っているように、いつものように、このまま諦めたり、忘れたりするのか・・・。国民の民主主義のレベルが問われるという見解もありました。
憲法がしっかり機能する社会めざして、今ならまだ間に合うという思いで取り組もうと思います。
そのためには、自公の議席を減らすことにまず取り組まねばならないでしょう。その点では、日本共産党の志位委員長が選挙協力を提言して、民主党の岡田氏、枝野氏が前向きにという話があり、期待したい一つです。政府はまた、経済を前面に国民の目をそらす戦法と、野党分断策に出るでしょうから、目くらましを見破りつつ。
(時間の関係で問題の多かったNHKや民放のことは触れられなかったので、そのうちにと思います。)
(註1)「日本はなぜ、『基地』と『原発』を止められないのか」矢部宏治著2014年 集英社インターナショナル刊 参考にしました。日米間の密約や憲法問題など刺激的な内容で知らなかったことが満載でした。
(註2)
東京新聞9月18日保阪正康氏「日本準戦時体制」に移行、繰り返すのか)
氏は、戦争が起きるまでには過程があり、今は、三権のうち、司法、立法を行政(内閣)が従属させようとしているファシズム(独裁)になり始めているといいます。「はやく質問しろよ」などのヤジなども、戦前の議会を例に出して、議員に対して陸軍の幕僚が「黙れ!」と一喝したように、安倍首相が軍服を着て答弁しているようだとも。
この安保法案は戦争法と言われるように、70年間の戦争しない日本をアメリカの戦争に加担させる内容が中心でした。採決の問題点を私なりに今までの新聞やネットの情報をもとに考えました。
①始まりは「アメリカ議会での約束」
この法案は、安倍首相がアメリカ議会で、日本の国会を無視して「8月までに成立させる」と約束してきたことから直接的には始まりました。こんなアメリカの属州の首相のような発言には驚きました。(これも実は確信犯的な発言で、自民党内や国民、野党に覚悟させることにねらい? もっとも、本当の始まりは、国会で明らかになったように昨年のうちから自衛隊幹部がアメリカ軍にそのことを話していたのでした。「軍部の暴走」の戦前を想起します。シビリアンコントロールは有名無実になり始めている?)
②閣議決定と、その根拠
戦争しない国から戦争する国へ、180度転換するのに閣議決定という暴挙です。しかも、歴代自民党政権自体が集団自衛権は違憲として認めてこなかったことを、50年も前の最高裁砂川判決を根拠と突然言い出して、しかも内閣法制局の長官を代えて。
よく安倍首相や高村氏がTVなどでも根拠は最高裁砂川判決にあり、そこで認められていると言っていました。この判決は占領中に米軍基地を存続させるために出されたもので、何ら集団的自衛権などは問題になっていなかった時期のものです。
③砂川判決のおどろく背景
しかも、驚くことに、2008年アメリカの議事録ですでに明らかにされていますが、当時のアメリカ政府の基地を残す方針のもとに裁判をアメリカの指示と誘導によって進行したというのです。それに基づき、1959年に田中耕太郎長官は基地の存続を認めるとともに、「安保条約のような高度に政治的な問題は憲法判断をしないでよい」という判決を下したというのです。これは今に続く、各地に騒音訴訟などの違憲訴訟で憲法判断せずに「門前払い」をする根拠になり、日米安保条約については治外法権になっていて、憲法は機能しないという驚く状態になっているというものです。一票の格差でも、「違憲状態」までは言いますがあとは、現状追認ですね。最高裁は憲法判断をする終審裁判所と憲法88条で規定しているのですよ。こんなものを根拠にして、アメリカの要請によって閣議決定をしていくことの狡猾さに権力の本質を見ます。(註1)
④違憲の法案であること
閣議決定から、法案の討論の過程では、憲法が違憲であることが憲法学者はじめほとんどの国民によって指摘されていました。討論の中では、アメリカ軍の武器を運搬することや、後方支援(兵站)は事実上の戦争行為であることなどが明らかになり、それは違憲そのものであることが分かりました。また自衛隊員は、直接日本のためではなく、アメリカのために戦闘に加わることになり、大義がないうえ、大きなリスクになるものであることがわかりました。(若者の命を軽んじるのは、イスラム国に殺された後藤さんの時の首相の 演説や行動を考えるとわかるのではないでしょうか。)
⑤政府の説明の詭弁と変化
当初、安倍首相などは、説明図を出して、日本人を助けるアメリカの船守るとか、ホルムズ海峡での事態に備えるなどをしきりに言っていました。所がこれが実情と違うことが明らかになりました。安保法案の始めの理由は、崩れたのだから、本来は立法する根拠がないのだから、廃案にすべきですが、今度は急に、北朝鮮と中国の脅威を言いだして、宣伝し始めました。中国の強引な政策に反発を持っている国民が多いことや、もともとある反中国、反北朝鮮の感情へ訴えるつもりだったのでしょう。
⑥理解が深まって、国民は立ち上がった
違憲の法案、戦争するための法案、徴兵制になる危険性など、絶対許せない戦争法案であることが広く国民に分かってきました。
これに対して、政府は、法案に反対が多いことに対して、「理解が深まっていない」ので「丁寧な説明」をしていくと繰り返していました。討論すればするほど、政府の答弁が「ウソの説明」「事実隠蔽の説明」など、ちぐはぐで、信用できないことが明らかになり、多くの国民は「これは危険だ。成立させてはいけない法案だ。」と、確実に理解したので、集会やデモに参加したのでした。大きな牽引力になったのは、SEALDsの学生でしたが、若者に触発されて多くの市民が駆けつけました。家庭の主婦や会社帰りのサラリーマンなど、いろいろな分野の人たちが文字通り「総がかり行動」に立ち上がったのは周知のことです。 私も微力ながら、諸集会に参加して意思表示はしましたが、これからも続けていかねばという思いです。
⑦これから=憲法を取り戻す
「今まで戦争しない国として、世界各国から尊敬される国でしたが、憎悪の対象の国になる可能性がある」とも言われますが、現実の世界を見ると大げさではないでしょう。
東京新聞紙上、歴史家の保阪正康氏は日本は「準戦時体制」に入ったと言っていました。(註2)
憲法が無視され、立憲主義なんてという政治家がいて、このまま官邸の思い通りの政治がすすめられる先が心配です。
すでに、秘密保護法ができ、学校教育でも「教科書採択の異常さ」「教育委員会制度の改悪」「道徳教育の教科化」など戦前復帰が少しずつ進められている今が、大変な時代に入っているのだという思いです。
戦争は突然やってくるのではなく、国民の気づかないうちに、少しずつ進められて気づいた時にはもう後戻りができない状態になっているといいます。あの麻生財務相が「ナチスに学べ」いっていたではないですか。
政府が狙っているように、いつものように、このまま諦めたり、忘れたりするのか・・・。国民の民主主義のレベルが問われるという見解もありました。
憲法がしっかり機能する社会めざして、今ならまだ間に合うという思いで取り組もうと思います。
そのためには、自公の議席を減らすことにまず取り組まねばならないでしょう。その点では、日本共産党の志位委員長が選挙協力を提言して、民主党の岡田氏、枝野氏が前向きにという話があり、期待したい一つです。政府はまた、経済を前面に国民の目をそらす戦法と、野党分断策に出るでしょうから、目くらましを見破りつつ。
(時間の関係で問題の多かったNHKや民放のことは触れられなかったので、そのうちにと思います。)
(註1)「日本はなぜ、『基地』と『原発』を止められないのか」矢部宏治著2014年 集英社インターナショナル刊 参考にしました。日米間の密約や憲法問題など刺激的な内容で知らなかったことが満載でした。
(註2)
東京新聞9月18日保阪正康氏「日本準戦時体制」に移行、繰り返すのか)
氏は、戦争が起きるまでには過程があり、今は、三権のうち、司法、立法を行政(内閣)が従属させようとしているファシズム(独裁)になり始めているといいます。「はやく質問しろよ」などのヤジなども、戦前の議会を例に出して、議員に対して陸軍の幕僚が「黙れ!」と一喝したように、安倍首相が軍服を着て答弁しているようだとも。
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