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原子力規制委 新基準づくり 原発マネーが議論誘導?

2013-02-06 13:07:31 | 日記
しんぶん赤旗             2013年2月6日(水)
原子力規制委 新基準づくり   原発マネーが議論誘導?
「安全要求過大」/ 対策“値切る”
 原子力規制委員会(田中俊一委員長)が、地震や津波、過酷事故への対策を義務づける原発の新しい基準づくりを急いでいます。6日にも基準骨子案を2週間の意見公募にかけます。検討に外部専門家17人が加わっていますが、うち7人が原発業界から寄付や共同研究費を受け取っています。原発マネーが議論に影響を与えていないのか懸念されます。(「原発」取材班)
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(写真)原発マネーをもらった専門家の自己申告書


(写真)原発の新しい基準骨子案を検討している規制の専門家会合=1月31日、東京都港区
寄付受けた外部専門家
 規制委に提出された専門家の自己申告書によると、地震・津波の新基準の検討に関わる専門家11人のうち3人が電力会社などから寄付や共同研究費として資金提供を受けています。自己申告書は、最近3年間に原子力関連企業からの報酬や寄付、共同研究の有無とその額を記載しています。
 過酷事故対策を義務づける新基準を検討している専門家では、6人のうち4人が原発業界から報酬や寄付などを受けています。本紙の調べで、自己申告書分以外も含め、原子炉メーカーの三菱重工などから、4人で少なくとも約6000万円に上ります(既報)。
 1月31日、過酷事故対策の基準骨子案をとりまとめる「発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チーム」の13回目の会合が開かれました。
 「過大な要求ではないか」。山本章夫名古屋大学教授が繰り返しました。山本氏は、電源車や消防車など移動可能な設備要求の項目に対しても「合理的な代替措置も認めるべきだ」と述べ、事業者が選択できるようにすべきだとしました。
 これは、25日に開かれた専門家会合の場で、電力会社が目的に応じて配備内容を考えるのが適切だと、過酷事故対策を“値切る”よう求めていた内容と同じです。
 自己申告書で、原発マネーが最も多い山本氏。原発関連企業3社から、報告義務のある年50万円以上の報酬をそれぞれ4年間、合計600万円以上受け取っています。さらに3社からの寄付、5社からの委託研究を合わせると資金提供は3314万円以上。自己申告書にもかかわらず、三菱重工の委託研究は資金額が黒塗りで隠されていて不明なため、合計額はさらにふくらみます。
 同じ専門家会合のメンバーでは山口彰大阪大学大学院教授が、原発関連企業から報酬や寄付、共同研究費として1300万円以上、阿部豊筑波大学教授が寄付など900万円、杉山智之日本原研安全研究センター研究主幹が約300万円の資金提供を受けています。
地震・津波の対応でも “骨抜き”要求を採用
 「地震・津波に関わる新安全設計基準に関する検討チーム」の会合でも原発マネーを受けている専門家から、基準を厳しくしないよう求める発言が出ました。1月22日に開かれた第7回会合では、活断層と原発の位置に関する基準について、こんなやりとりがありました。
 規制委の事務局案は、重要な建物や構造物は、真下に活断層が無いことが確認された地盤に設置するが、条件によっては認めるというものでした。
 谷和夫防災科学技術研究所研究員は「断層のずれに対処する技術は進んでいる」として、新幹線などで断層に対処する技術が次から次へと開発されていると強調し、事務局案を支持しました。
 これに反発したのが和田章東京工業大学名誉教授です。強い口調で「いいかげんなことを言っちゃいけない。新幹線のトンネルが断層に耐えられるようになっているんですか。半径30キロ圏に住んでいる人たちが何年も元に帰れないことと(新幹線とを)同じにしちゃいけない。無責任だ」と述べ、条件次第で直下の活断層を認める案の削除を求めました。
 谷氏は、事務局案の「活動性が無いことを確認」の表現に対しても注文。「ものすごく事務として大変」と述べ、「活動性が認められる場合は(建物などを)置かない」の表現に変更することを求めました。
 結局、意見の隔たりは埋まらないまま、29日の第8回会合に提出された事務局案は「将来も活動する可能性のある断層等の露頭が無いことを確認した地盤に設置」と、当日欠席し、意見書を送ってきた谷氏の主張を取り上げた内容に沿ったもので、それが最終的なとりまとめとなりました。
 谷氏は、9電力会社の寄付で設立された電力中央研究所出身で、前職の横浜国立大学教授の時に同研究所と200万円の共同研究をしています。さらに300万円の共同研究を契約していましたが、現職になった昨年10月以降は実施していないと自己申告書に記載しています。
 規制当局が電力会社の「とりこ」と指摘され、電力会社への規制強化や監視が骨抜きになった反省から出発したはずの原子力規制委員会。疑念を払しょくする抜本的な改革はされていません。

【国策への異議2】「避難者の無念晴らす」 敗訴20年、新たな闘い

2013-02-06 00:08:46 | 日記
転載          福島民報
【国策への異議2】「避難者の無念晴らす」 敗訴20年、新たな闘い


避難者訴訟原告団の記者会見で、思いを語る早川さん(前列左から2人目)=平成24年12月、いわき市

 「なぜ、また訴訟を起こす事態になってしまったのだろう」
 楢葉町の宝鏡寺住職、早川篤雄(73)の胸中には、やりきれなさが込み上げた。
 昨年12月初め。早川は「福島原発避難者訴訟原告団」の団長として、いわき市内で行われた記者会見に臨んだ。東京電力福島第二原発1号炉の設置許可の取り消しを求めた「福島原発訴訟」で、早川ら住民側の敗訴が確定してから20年余りが過ぎていた。
 かつて訴えた原発の危険性は、福島第一原発事故によって、現実となった。避難者訴訟の原告団には、福島第一原発から30キロ圏内の住民らが参加している。「避難者の苦しみを東電は分かっていない。無念を晴らしたい」。早川は新たな訴訟の理由を語った。
■工場の煙 
 約40年前、早川は、いわき市内にある平工高の国語教諭を務めていた。
 楢葉町の自宅と、いわき市を行き来する道すがら、工場の煙突から出る煙を目にしていた。いわき市内は高度成長期に新産業都市の区域に指定され、企業が次々と立地した。
 日本経済が活況を見せる一方で、深刻な公害が全国で社会問題となっていた。「四日市ぜんそく」などの公害訴訟が相次いだ。
 昭和46年3月、楢葉町といわき市の間にある広野町の町議会は火力発電所の誘致を決議した。同じころ、福島第一原発1号機が県内で初めて営業運転を開始した。
 「われわれが住む町にも公害が来るのかもしれない」。翌年、早川らは「公害から楢葉町を守る町民の会」を結成した。
■活動開始 
 楢葉町の北側に隣接する富岡町でも「公害から富岡町を守る町民の会」が発足した。両町にまたがる場所には、東電が福島第二原発の建設を計画していた。
 富岡町の団体には、県立高教組の仲間で、いわき市の平商高の理科教諭を務めていた小野田三蔵(75)が加わっていた。
 2つの会が合流する形で、昭和48年9月に「原発・火発反対県連絡会」が発足した。連絡会は、後に「福島原発訴訟」の原告団につながる。
 連絡会は専門家を招いて講演会を開いた。「火発も原発も公害を出す可能性が高いが、行政の在り方や科学技術によって防ぐことはできる。しかし、行政は地域住民に背を向けて企業寄りで、企業はコスト削減を優先させて十分な安全対策をしない」。早川の手元には、専門家の講演記録が今も残る。
 「多くの住民が立ち上がって国を動かすしかない」。早川らは活動を開始した。(文中敬称略)
(2013/02/05 11:23カテゴリー:3.11大震災・福島と原発)

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