まつや清の日記 マツキヨ通信

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21日の清水駅東地区文化施設整備事業への反対討論

2009年04月22日 | ニュース・関心事
これは原稿ですので実際はこの内容と違うところがあります。

宮沢議員が、自分の質問に対する答弁書がほしいと、財政局とやり取りしましたが、これまでは出していない、議会事務局のテープでやってくれ。本人としては、唖然。「質問の中身を渡しているのに、何故?」

信じられない当局側の情報公開への対応です。県議会では質問については終われば、知事部局としてはこういう答弁を作っていた、として答弁書を渡してくれます。沼津市議会でもそのような扱いとのこと。

それにしても、静岡市当局の情報公開の姿勢の悪さは目に余ります。そこで、会派「虹と緑」として、答弁書の提出の検討、その結果をきちんと説明する、を正式に申し入れしました。

どんな内容が返信されるのか、大いに期待です。




※※※

清水駅東地区文化施設に係る第106号、第107号、第108号反対討論(原稿)


会派「虹と緑」を代表致しまして、ただいま上程されています第106号、第107号、第108号清水駅東地区文化施設に係る議案に反対の立場で討論を行います。
旧静岡市議会から約10年間のブランクを置いてのこの演壇での討論になります。新人議員で不慣れな点ありますがご容赦願います。

さて、この議案でありますが、臨時議会での緊急提案であります。議案の正式提案は全員協議会が開催された14日です。現職の議員の方々は、すでにこの2年間にわたって審議を継続してきた議案でもあります。新人議員の方は12名おられますが、新人にとってこの議案の検証は、2年間の議会審議を振り返るようなもので、説明に対する理解、資料の読み込みなど相当なエネルギーが必要です。そこで、わたしども会派としては、「財政白書を市民の手で作ろうと活動してきました市民グループ」の皆さんと合同の勉強会を開催しました。
次から次に出る質問、疑問。
確かに、清水市民文化センターの老朽化、跡地への新高等学校の開校期限や大ホールの使用が出来ない空白期間など、急がなければならない事情を理解したとしてもあまりにも問題の多い事業ではないだろうか、ということが合同学習会での結論でした。そして、早速きのう、小嶋市長と市議会議長に以下の2点の申し入れとなりました。
1、静岡市長は、この事業についての全ての情報を市民に公開し、直ちに臨時議会での提案撤回と世論喚起を行い、6月定例議会での修正提案を検討すること
2、静岡市議会議長は、市長に6月議会への再提案を促し、議会としても公聴会を開催し専門家や市民の意見を取り入れ、議会としても独自の審査体制を整えること
 です。

会派「虹と緑」としても2点の申し入れ趣旨に同感であります。慎重審議をと再修正を求めるという趣旨で、やむざる反対の立場を取りたいと思います。

特に、議会は126億もの莫大な税金を投入する清水駅東地区文化施設事業について、本来なら常任委員会を開催して徹底審議すべきであります。そして、市民グループが述べている公聴会開催については、大統領制という二元制においてチェック機能だけが議会の機能の様に思われがちですが、当然にして表決機能があるわけであります。千葉県我孫子市の元市長である福島浩彦さんが議会の本来の役割について主張されています。「議会は、市長部局が検討重ねてきた提案過程に匹敵する審査を行って初めて議会のチェック機能と表決機能を果たせるはず、したがって、重要案件については、公聴会開催など議会としての独自の審査体制を構築すべき」という点です。選挙がおわったばかりの民意を直接受けた議会の初議会です。常任委員会も開催しない議事運営に遺憾の意を表明しておきたいと思います。

以下、この事業の5点にわたって、問題点を示しておきたいと思います。

第1は、昨年2月のPFI事業の民間事業者募集で応募事業者がなく、再度の10月の公示では1社のみの応募で競争のない形で事業者が決定されようとしている民間事業者審査過程に極めて不透明性が存在している点であります。
昨年の2月、公示したけれど応募が無かった、応募がなかったということは民間、マーケットの側がリスクを背負いきれないというメッセージを発したと理解すべきで、静岡市がとるべきは入札規定で「入札参加がない場合等においては、市の特定事業の選定取り消すこととし、その旨、速やかに公表する」とありますが、この規定に従うべきでありました。

第2は、当初の98億円予定価格が、建築資材の高騰を理由に133億円を上限とする債務負担額の変更、そして、建築資材の値下がりという事態の中で126億円もの高額な価格で仮契約が結ばれている点であります。

 宮沢議員も質問しました。何故、予定価格を変更できないのか、
何故、再入札できないのか、に生活文化局長は答えました。「入札説
明書では基準金利の変更などを除いて変更はできない」と。しかし、
入札説明書を作ったのは静岡市なのですから、対応はできないこと
いはずです。
                       
市民が一番納得できないのが建築資材が値下がりしているのに、
高騰を理由にあげた予定価格のまんまで契約が結んでいく「お役
所仕事体質」です。昨年の10月といえばスクラップ鉄材が大暴落し
た時期です。誰が考えても、このままの金額で契約が結ばれること
はおかしい、思うのではないでしょうか。

 問題は、こうした経緯が十分に市民や議会に伝えられていないということです。
先ほどの、宮澤議員が情報公開についても質問しました。答弁は
「契約前ということで事業者からの提案文書は公開していない、しかし、事業の進捗に応じて市のホームページに公表していく」と。
果たして、公表していない情報というのはそれだけなんだろうか。少なくも3つは公開されていないと思います。
1、 一つは、7月の経営会議で当局側が検討材料にしたこの事業に関する文書
2、 二目に、2月に応募がなく事業者選定審査会はずっと開催されておらず、12月の開催まで、各委員の方々との意見聴取の報告文書
3、 三つ目に、三菱UFJのアドバイザーとのやりとりの文書
いかに、行政が情報を独占しているか、です。

 このことを実感したのは、昨年7月15日の市長含む経営会議は、
PFI手法ありきで継続を決定しましたが、頂きました7月15日の経営会
議議事録資料、要求しなければ提出しない、があります。この議事録には実に重要なことが記録さ
れています。

第1は、従来手法とPFIについての比較を行い、従来手法を選択し
ても、基本設計、実施設計、確認申請期間は、PFI手法も従来手法
も同じ15,5ヶ月、建設期間はPFIで21ヶ月、従来手法で24ヶ月、
3カ月の遅れが出るだけであることが指摘されていること

第2は、この7月の段階で既に123億円の予定価格で公示すること
を決定しており、昨年の9月議会で133億円の債務負担額の変更議
案で議会において大きな争点となっていましたが、既に7月の段階
で123億円、VFMは1,8%を確定していること

先ほどの宮沢議員の質問で触れました。PFI手法の優位性はVFMによって
示されますが、議会に対しては昨年の2月段階で8,5%、再度の
公示の10月段階で3%、そして民間企業の決定段階1月で1,9%
と説明してきました。しかし、何のことはない、7月段階でVMF
1, 8%123億円、仮契約は126億円ですが、レールが敷かれ
ている。つまりは、議会軽視なんではないですか。9月議会の議論は何であったのか、になってしまいます。

しかも、1社しか応募がないということですが、「かんぽの宿のオリックス」とどうちがうのかなど、極めて不透明、そして、そのまま入札を是認した市当局の対応についって市民から大きな疑問の声があがっています。

仮に、市当局の立場にたつとして、経営会議議事録資料での「さらに物価変動があって、誰も応札できない状況が心配される。最近では、1年間工期が遅れることによって、建設費の20%がアップすると聞いている」としての危機感を認めます。7月段階で123億円の予定価格を決めていても、9月議会に133億円の債務負担行為の限度額の変更議案を提出した経緯を理解したとします。
しかし、その後の原油価格の大暴落、そして期間をずれての建築資材の値下がり、この過程に対しての危機感、つまり、市民からの税金の使い道の是非に対する緊迫感の欠如には納得できないものがあります。チャンスは2回、第1回目は、10月からの変動で11月議会に再度の債務負担行為の減額、あるいは、7月経営会議での123億円の決定の転換を11月議会で表明できたこと、第2回目は、現段階です。98億年の段階での建設費が66億円、126億円の段階での90億円の建設費、差額は24億円です。24億円という巨額な税金が市当局の「一度変更して、もう一度変更するのは」などという「お役所体質」の危機管理対応能力の欠如は、極めて残念な事態です。

※(SPCの代表企業が清水区に多大な影響力を持つ鈴与グループ、鈴与コンストラクションホールディングス株式会社となるとその疑いが強くなります。大成建設株式会社、株式会社SBSプロモーション、株式会社東急コミュニティの4社を構成員とし、11の協力企業、協力企業には、現段階で静岡市民文化会館、清水文化センターの指定管理者となっている文化振興財団も入っているのが、ただの1社の民間企業であります。このPFIには、全国大手の鹿島、清水建設も調査活動に入っておりましたが、既に、受注先が調整されていると判断したのか、応募に至っていません。ますますあやしい、という市民の声も無視できません。)

問題点の大きな項目の第3は、清水区民は本当にこのような莫大な税金投入しての文化会館施設を希望しているのか、既存施設との組みあわせ活用や縮小の可能性はないのか、このような施設で「都心の賑わい」を本当に作り出せるのか、などまだ議論すべきことがある点であります。

事業目的は「文化を核とした賑わい創出を図る」とありますが、審査講評によれば、「にぎわい創出」については、D評価というレベルで、そもそも全体の採点結果は、宮沢議員も指摘しておりますが、25項目中D評価が10個、C評価が9個、B評価が6個、Aはゼロという中身ではたして、価格ではPFI事業の意味が半減するけれども性能でというのも疑わしいわけであります。
 
第4は、126億円の税金は清水区の他の分野への有効な使いみちはないのか、財政危機の中でこの施設建設で77億円もの借金をすることは未来の子供達へのツケを回すことにならないのか、私達の世代の責任がある点

 この事業の問題が合併特例債でまかなわれることを前提にしての大盤振る舞いで、起債残高がますます増やしているという問題です。実質公債比率は、今の時期に際しても右肩上がりの静岡市・・・。新しい財政健全化指標では大丈夫とのことですが、日本経済新聞の基礎的財政収支全国ワースト5という静岡市です。当局に言わせると、繰越金が除外されていることが原因だ、大丈夫だと、いうことのようであります。2002年度に決定した事業でありますが、その後の社会情勢の変化、財政状況の悪化、大不況時代の到来の中で、126億円もかけるのならもっと他に清水区民の求めるものがあるのではないかと推察いたします。あらためての市民アンケートなり意識調査を行うことが求められていると思います。

第5は、公共施設の設計、建設、維持管理、運営に関してPFIといった手法の是非をめぐる問題であります。静岡市としてははじめて、しかも、PFI手法でのホール単体建設は全国でも初めてという事業契約案であります。官から民へという流れの中、官分野を市場に委ねるPFIという手法が法制化されて10年がたちますが、国政においては小泉構造改革路線からの揺り戻しの中にあり、なし崩し的な財政出動路線の中で、「大きな政府と小さな政府」「官と民」の二項対立を超える新たな行政構造が求められています。今日の議案提出までの清水駅東地区文化施設整備事業の1年2か月はある意味PFI手法のあやうさが露呈したといえます。その意味で私は、元逗子市長の龍谷大学教授・冨野きいちろう氏の「官民」二極構造を超える、つまり公共を独占してきた「官」を「公」と「共」に分解し、民を「私」とする「公共私」3極行政構造を考えていく必要がある杜考えます。その意味でPFI手法の功罪に関しての検討が必要であると考えています。詳しい展開は次の機会にしたいと思います。


以上、問題5点を指摘しましたが、すべての情報を議会、市民に提示して6月議会で審議しても遅くないことを最後に述べまして、私の反対討論を終わります。