まつや清の日記 マツキヨ通信

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B型肝炎ワクチンのユニバーサル化(生まれてくる全ての乳児への接種)は日本の公衆衛生上正しい選択だろうか

2016年10月12日 | ニュース・関心事

《議案第203号一般会計補正予算中 B型肝炎ワクチン予算》
補正予算には10月から定期接種化されるB型肝炎ワクチンの国による2016年4月1日以降に生まれた1歳未満の乳児だけでなく2015年4月2日以降2016年3月30日までの乳児へのワクチン予算、静岡市が3分の2負担、自己負担3000円、併せて1億200万が計上されています。

B型肝炎の感染経路は感染者の血液や精液などの体液を介して感染し、このうちがん化する持続感染は、B型肝炎ウイルスキャリアである母親からの子どもへの垂直感染、小児期の水平感染とされています。感染した患者ががん化する持続感染化する割合は1歳以下であれば90%、1から5歳は25%から50%、それ以上の年齢になると1%以下と蔓延等を恐れる必要はありません。成人での初感染は多くは一過性感染で自覚症状はないまま治癒し、20%から30%が急性肝炎、劇症化するのは0.4%~1%で予後は良好とされています。B型肝炎ウイルスはA型からH型までの8 種類があり、従来の日本ではC型が一番多く、次がB型、最近グローバル化によりA型が広がっているということであります。

B型肝炎対策は、日本、北欧、イギリスなどのセレクティブワクチネーションとWHOが推奨する全出生児にワクチン接種を行いその後の水平感染を防ぐユニバーサルワクチンネーションの二つがあります。日本でのセレクティブワクチネーションは、1985年から母子感染防止事業として開始されました。妊娠時に母親のB型肝炎の抗体検査を行い、生まれた乳児にB型肝炎ワクチンや抗B型肝炎人免疫グロブリンを投与し、1995年には母子感染によるB型肝炎キャリツア率は、1985年の0.26%から0.024%に低下し全世界でもまれにみる公衆衛生上の成果を上げてきました。

ところが、1988年生まれの10歳の学童の調査で陽性率が0.03%、0.04%であったとして小児の水平感染の実態把握とユニバーサルワクチンの検討を2013年11月の厚生労働省予防接種基本方針部会で確定し、その後、小児の水平感染の実態が把握されないままに2016年2月に10月からの定期接種化を決めたという経過であります。 
新しい予防接種ワクチンを定期接種化する条件は、必要性、安全性、有効性の3点が満たされていることであります。以下、どれも要件を満たしていないということで反対をしたいと考えます。

まず第1に必要性についていうなら、WHOは5歳児のB型肝炎ウイルスキャリア率は2%以下である場合は十分にコントロールされているとしておりWHO基準からしても日本においてユニバーサルワクチンは必要がない物であります。小児のB型肝炎ウイルス疫学調査をまず徹底すべきであります。
第2に、安全性について。2013年から16年6月末までに任意接種でありますが延べ1250万人が接種し重篤な副反応は0.001%、1000人の一人、厚生委員会でも答弁がありました。副反応報告書をよく見ると死亡報告8例、後遺症2例、アナフィラキシーショック24例であります。8人の死亡のうち単独B型ワクチンは一例で、7例は同時接種でB型肝炎ワクチンの9割が同時接種されています。今の子どもたちは本当にたくさんの予防接種が予定されています。2016年9月1日、20日の厚生労働省報告ではB型ワクチン含む同時接種後死亡4名について1名因果関係否定、2名不明、1名調査中で、このような中での「安全」宣言がなされて定期接種化されました。
第3に有効性。B型ワクチンは2種類あります。化学及び血清療法研究所の製造する「ビームゲン」肝炎ウイルスC型対応、MSD株式会社が製造する「ヘプタバックスー2」B型肝炎ウイルスA型対応の2種類があります。当初、血清研の0.25mlを乳児用に使う予定でしたが、熊本地震で工場が被災しワクチン製造ができなくなりました。急遽、MSD社のA型対応の5mlを使うことになりました。半分だけ使えと厚生労働省は指示しています。そもそも、B型肝炎ワクチンは先に述べましたAからHまでの8種類があり、遺伝子の型が違うワクチンの有効性については短期間の疫学調査だけできちんとした情報が提供されていません。費用対効果も問題です。

日本におけるB型肝炎対策は、これまでのセレクティブワクチネーションの強化策で十分です。キャリアの母親だkでなく家族の抗体検査とワクチン接種、職業上のリスクを抱える医療、警察、消防関係者やや養護・介護施設の利用者・職員、乳児施設職員などへのワクチン接種で十分に対応できるものであります。全国で集団訴訟となっている子宮頸がんワクチンを通じて私たちは既に多くのことを学びました。新しいワクチン導入はもっと慎重であるべきであるという点を強く述べて反対討論とします。