マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
すべての写真、文は著作権がありますので無断転載はお断りします。

菅生大垣内の山の神

2015年10月18日 07時43分28秒 | 山添村へ
昨年の大晦日に在地を教えてもらった山添村菅生大垣内(おがいと)の山の神。

これまで後出(たんで)、峯出(みねで)は拝見したが大垣内は始めてである。

高台にある集落を抜けて峠に出る。

その辺りに垣内の墓地がある。

そこより西方が山の神の地。

峠道からはもう一本の急な里道もある。

そこからも登れる。

登り切った手前の樹木にカギヒキがある。

樹木に掛けていたのは先が自在鉤のような形をしたクリの木である。



大石の下に四方に竹を挿しているクラタテを多数並べていた。

中央にコウジミカン(柑子蜜柑)を挿したクラタテ。

大きなものもあればやや小さ目なものもある。



近寄った大石を見ればヤシロのような形をした彫りがある。

そこに詰め込むようにしたオヒネリ。

小さく刻んだカガミモチは山の神に供える御供である。

山の神の大石はイワクラであろう。



そこには太くて長い注連縄を懸けていた。

注連縄は前年暮れに作業場で作られる。

注連縄にある大きなフングリは「キンタマ」と呼んでいた。

上から見れば二股の木を絡ませた和合の印しもある。

この日の探訪は仕事を終えてからだ。

到着した時間帯は午後3時を過ぎていた。

在地や山の神の祭り方を拝見できた。

山の神参りはだいたいが朝8時ころだと聞いていた。

とうに時間は過ぎていたが、やってきた甲斐がある。

山の神の祭り方を撮っていた時間帯だ。

そこへ知り合いの大垣内住民のUさんが来られた。



この日は「用事がたくさんあったので朝は参拝ができずに午後4時になってしまった」と云う。

クラタテを立てて拝礼する。



クラタテに持ってきたモチは家の人数分。

供えて山の神のトンドでモチを焼く。

それを持ち帰って食べるという。

このモチは「ハガタメノモチ」と呼んでいた。

クラタテに挿すコウジミカンは三つ又の枝、それぞれに実が三つある。

これを「ミツナリノコウジ」と呼ぶ目出度いミカンだそうだ。

かつてはクラタテに山の神に祭る七つ道具があった。

今では誰も作っていない。

カギヒキもすると云われたのでこれも撮らせてもらった。



「カギヒキは昔からザァーザァーと声をかけながら引いて揺する」という。

カギは家の人数分を引っかけるそうだ。

カギには藁の房を括り付けている。

藁の房はワラヅトと呼んでいる。

注連縄には一際大きい房があった。

これをキンタマと呼ぶ。

カギヒキのワタヅトもまたキンタマの呼び名であると話してくれた。

(H27. 1. 7 EOS40D撮影)