マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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京都府南部地方の節分豆の民俗調査

2017年11月22日 09時15分53秒 | もっと遠くへ(京都編)
明日は2月3日。

奈良県内の一部ではあるが神社に供えた節分豆を交換する風習がある。

天理の長滝町では寺院に供える豆である。

先にお参りした人が供えた節分豆を貰って帰るのである。

もちろん参拝者は我がとこの節分豆を供えてからのことであるが・・・。

加茂町銭司で人探しをしていたときである。

軽トラを運転しておられた80歳以上と思える男性に尋ねてみた。

男性は浄土宗派であるから、何もしないという。

だが、真言宗派の家ではヒイラギイワシや豆御供しているという。

真偽はいろんな人に聞かねばならないが、この件は初めて知る民俗である。

尤も「門徒もの知らず・・法華骨なし、禅宗銭なし、浄土情なし」と云って、何の行事もしないのは浄土宗であるが・・・。

男性がいうには春日神社の節分は、当日の午後に宮守さんがヒイラギイワシや炒り豆を準備して神社に調えるようだ。

その日は一斉にではなく、

各戸めいめいが神社に参拝されて節分豆を交換していると話してくれたのがありがたい。

ちなみに昨日の2月1日に取材した木津川市相楽清水の氏子さんの話しによれば、相楽神社でも同じように豆交換はしているようだ。

午後3時ともなれば集落氏子が家で炒った節分豆をもって参拝する。

すでに参った人が供えた豆をもらって帰るという風習である。

また、相楽郡笠置町切山に住む社寺総代のK家の奥さんに聞いた話である。

尤もこの話を直接聞き取られたのは写真家Kさんであるが・・。

チンチンガラガラの名で呼ぶこともあるメザシの頭を枝豆の軸の先に挿して、メヒイラギとともに切山八幡宮の各箇所に供えると聞いた。

これは昼過ぎに供えているが、豆の交換はないという。

地域によってあり方が違うということだ。

こうした風習は奈良県内の事例と同じようなことをするのであろうか。

これまで取材した地域は斑鳩町目安・春日神社のトシコシ、奈良市佐紀中町・門外釣殿神社の節分祭、大和郡山市新木町・新城神社の節分祭、同市額田部北町・推古神社の年越し、田原本町矢部・杵都岐神社および八王神社・榎木神社・愛宕神社の三社の他に金比羅さん、観音堂、薬師堂、ツナカケ場に地蔵尊まで節分豆を供えるトシコシ行事もある。

実に多彩な地域の在り方に感動したわけであるが、今後は足を伸ばして京都府の南部地域も伺ってみたいと思った類事例調査である。

加茂町銭司に笠置町切山を探訪して訪れたのは史料調査。

65歳であれば拝観料が無料になる京都府立山城郷土資料館の樹節展示物を拝見する。

ひと通り見渡して図録を漁る。

目についたのは平成11年10月に催された企画特別展の「花と鬼と仏-春の民俗行事オコナイ-」である。

京都府内すべてではないが、主だった南部地域のオコナイが詳細に載っている。

これは価値ある800円。

廃版になる前に買っておいて再出発。

行先は当施設がある山城町。

それほど遠くない地域を選んだ山城町の椿井。

椿井といえ一番に思い出すのが椿井大塚山古墳である。

昭和28年、当時国鉄奈良線(現JR京都線)の拡幅工事によって古墳後円部が破壊された古墳であるが、その工事に偶然発見された竪穴式石室。

なんと内部から当時最多の32面の三角縁神獣鏡が発見・出土したのであった。

現地にいかなくとも京都府立山城郷土資料館で学ぶこともできるのが嬉しい。

(H29. 2. 2 SB932SH撮影)