さて次は、6>ビー玉である。この遊び方も実にシンプルで、遊び道具としてのビー玉が数個あれば事足りる。市販のビー玉も、あることはあったが、なにも市販品を買う必要はなく、駄菓子屋で買ったラムネ(昭和30年代前半は1本、5円)の瓶(ビン)に入ったガラス玉を使ってもよかった。剛(ごう)の子供などは、ラムネ瓶の玉、数個で、お金持ちの子供が買った色付きの綺麗なビー玉を、しこたま、せしめたものだ。で、その数多く手に入れたビー玉を、密(ひそ)かに隠し持って蓄(たくわ)え、宝物として自慢した・・というのが、当時の真相である。遊び方も実にシンプルで、2~数人がジャンケンをして遊びが始まる。場所は土の上が適当である。まず、ジャンケンで勝った最初の一人が1個のビー玉を片手に持ち、他の子供が地面に置いたビー玉に狙(ねら)いを定めて当てる・・という、それだけのものだ。当たれば、当てた玉は自分の物になる・・という寸法である。当然、外(はず)れるまで当て続けられるのだが、当てられた側の子供は、また別の玉を土の上へ置かねばならず、上手く当てられるか? という腕の見せ合いの遊びとなる。まあ、大方は男の子供の遊びで、女の子供はしなかった・・と記憶している。
「ヒヒヒ…これで25個だぜっ!」
腕のいいガキ大将が数人の子分を従え、せしめたビー玉を数えつつ悦(えつ)に入(い)っている。
「今日はシコタマ、手に入りやしたね、お頭(かしら)っ!」
子分の子供の一人が、ガキ大将のご機嫌(きげん)を伺(うかが)う。
「そうよ、チョロいもんよっ!」
一端(いっぱし)の親分風のしたり顔(がお)で、ガキ大将は子分どもを見回す。
「で、お頭、分け前はっ?」
「おっ! そうだったなっ!」
ガキ大将は、勝ち取ったビー玉を、ほんの数個づつ子分どもに分け与える。その数の少なさに、なんとケチ臭い…と思いながらも口には出せず、有り難く頂戴する子分ども。^^
まあ、こんな光景が昭和30年代前半は展開されていた訳だが、実に愉快な子供遊びである。
完