物事(ものごと)には程度(ていど)というものがある。いくら素晴らしいことでも程度が過ぎれば素晴らしくなくなる。これと同じように、愉快な出来事も度(ど)を超(こ)せば不愉快になるから、程度はことの他、難(むずか)しいといえる。
湧水(わきみず)家の細めの大黒柱、恭一が、珍しく父で今年、古稀(こき)を迎えた恭之介の肩を揉(も)んでいる。
「ほう! なかなかいい具合だぞ、恭一。ははは…嵐にならんといいがなっ!」
「ははは…私だって、たまには肩くらいは揉みますよっ、父さん」
「いや、だから怖(こわ)いんだ。お前が親孝行? …考えただけでも不吉(ふきつ)だっ!」
恭之介の愉快な気分は、たちまち消え失(う)せた。
「まあ、そう言わないで下さい…」
恭一は、やんわりと恭之介の肩を揉み解(ほぐ)していたが、不吉と言われて腹が立ったのか、一瞬、揉み手に力が入った。
「ウウッ!! い、痛いっ!! な、なにをするっ、この無礼(ぶれい)者(もの)っ! そこへなおれっ!!」
「す、すみませんっ!!」
恭一は恭之介の剣幕(けんまく)に恐(おそ)れをなしたのか、足早(あしばや)に離れから去った。
これが、程度の難しさなのである。^^
物事(ものごと)には程度(ていど)というものがある。いくら素晴らしいことでも程度が過ぎれば素晴らしくなくなる。これと同じように、愉快な出来事も度(ど)を超(こ)せば不愉快になるから、程度はことの他、難(むずか)しいといえる。
湧水(わきみず)家の細めの大黒柱、恭一が、珍しく父で今年、古稀(こき)を迎えた恭之介の肩を揉(も)んでいる。
「ほう! なかなかいい具合だぞ、恭一。ははは…嵐にならんといいがなっ!」
「ははは…私だって、たまには肩くらいは揉みますよっ、父さん」
「いや、だから怖(こわ)いんだ。お前が親孝行? …考えただけでも不吉(ふきつ)だっ!」
恭之介の愉快な気分は、たちまち消え失(う)せた。
「まあ、そう言わないで下さい…」
恭一は、やんわりと恭之介の肩を揉み解(ほぐ)していたが、不吉と言われて腹が立ったのか、一瞬、揉み手に力が入った。
「ウウッ!! い、痛いっ!! な、なにをするっ、この無礼(ぶれい)者(もの)っ! そこへなおれっ!!」
「す、すみませんっ!!」
恭一は恭之介の剣幕(けんまく)に恐(おそ)れをなしたのか、足早(あしばや)に離れから去った。
これが、程度の難しさなのである。^^
※ 湧水家のお二人は、風景シリーズからの特別出演です。^^
完