水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

愉快なユーモア短編集-52- 台風

2018年10月14日 00時00分00秒 | #小説

 台風にも気分・・というものがあるように思える。普通の一般的なコースを辿(たど)る台風もあれば、嘘(うそ)だろっ! と思えるような迷走台風もある。台湾近くまで進み、このまま中国大陸へ上陸か? と思わせておいて、急に進路を90°右へ旋回(せんかい)させる・・などという風変わりな台風だってある。中には、太平洋上をグルグルと回りながら人々をイライラさせておいて、急に本土直撃・・というフェイント形の台風もあるのだ。このように台風も気分で動いているのではないか? と思えなくもない。愉快な気分になると、台風も少し遠慮(えんりょ)ぎみに弱まって上陸したり、外(はず)れたりしてくれるようだ。ところが、怒らせるようなことにでもなれば、これは偉(えら)いことで、大酒を食らい、猛烈な勢いで本土を直撃して甚大な被害を各地に与え、ようやく溜飲(りゅういん)を下げて寝入る、いや、温帯低気圧になる・・などということになる。^^
 台風一過の青空が広がる中、二人の老人が家前を掃きながら話をしている。
「いやぁ~どうなるか? って心配していたんですがね。思ったほどでなく、助かりましたよ」‪
「確かにっ!」
「前日、人助けしたんですが、ソレとコレとは?」
「ははは…関係ないと思いますよ。ソレはソレ、コレはコレっ! …でも、ないか?」
「ははは…どうなんでしょう?」
「まさか! とは思いますがね。ははは…分りません」
 科学では到底(とうてい)、解明できない愉快な真実が台風にはあるのかも知れない。^^

                                 


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