読者の方々は、アレだけは、なんとかしたいっ! とお思いになられたことはないだろうか? ^^
なんとかしたいっ! という気持は、かなり逼迫(ひっぱく)した気分で、その人物をして行動させずにはいられなくする感情である。
とある街の通りを二人の男女が反対方向から接近し、擦(す)れ違った。擦れ違わなくてもいいのに…である。^^ というのも、接近した途端、男は女に一目惚(ひとめぼ)れしてしまったからである。男は擦れ違った直後、なんとかしたいっ! と思った。が、女の方はそうは思っていなかったから、要は空振り三振になった。
「行っちまったか…」
ふり向いた男は独(ひと)りごちると、無念そうな顔で踵(きびす)を返し、歩き始めた。これでは、なんとかしたいっ! も、なんともならないっ! のである。^^ 相場では、ここで『あのっ…』とかなんとか男が女に声をかける・・としたものだが、なんといっても擦れ違いの時間速度は微妙に早く、男は女を見失ってしまった。ここで、なんとかしたいっ! という男の気持が叶(かな)うのは、どういう場合だったのか? を考えてみることにしよう。別に考えなくてもいい訳だが、暇(ひま)だから考えるのである。^^
男は、なんとかしたいっ! と思った。ところが女の方は、それほどでもなかったのである。要は、ここに問題がある。手の平と手の平を近づけるように叩(たた)けば音がする原理がある。片方の手の平をもう一方に近づけても、もう一方の手の平が近づく手の平を避(さ)けようとすれば、肩透(かたす)かしの格好で音はしない・・現象に似通(にかよ)っている。ということは、である。なんとかしたいっ! という気持が叶うのは、もう一方もなんとかしたいっ! あるいは、なんとかなりたいっ! と思う他はないのである。これが縁[えん、えにし]と呼ばれるものだ。これだけはどうしようもなく、人智(じんち)の及ぶところではない。なんとかしたいっ! という気持が叶えられ、愉快な気分となれるよう、皆さんに幸(さち)多からんことをお祈りする他はない。^^
完